第34話 風邪をひいた姉と看病する妹
~姉視点~
目が覚めた。窓の外は明るい。
「………?」
なんか頭が重い。それにぼーっとする。
「…おきなきゃ。」
体を起こそうとするが、どうにも上手くいかない。
「…やば…からだおも…。」
壁をつたってどうにか体を起こす。これだけでかなり疲れた。
「…ふぅ、ねつはからなきゃ…。」
どうにかリビングに向かい、棚にしまってある体温計を取り出す。体温は38.2℃だった。
「はぁ…かぜひいた…。」
これ以上動く気力が湧かず、リビングの床で横になる。フローリングがひんやりとしていて気持ちいい。
「あ~……だる…。」
のどが乾いたが、動けない。そのまま、うとうととまどろんでいると、人の声が聞こえてきた。
―――――
~妹視点~
大学の講義に間に合うようにお姉さまを起こしに部屋に向かったが、そこはもぬけの殻だった。
「早起きしたのでしょうか…?」
となれば、リビングにいるのだろう。そう思い、リビングに向かうと床で寝ているお姉さまの姿が目に映った。
「あらお姉さま、床で寝ているとかぜ…。」
近くまで来てやっと顔が赤く、息が荒いことに気づく。
「……!!大丈夫ですか!?」
急いで駆けつけ、お姉さまの額に手を当てる。とても熱い。
「…わ~…みゆだぁ…。」
私が触れたことによってお姉さまが目を開ける。お姉さまは私と目が合うとふにゃっと笑う。こんな時でも可愛いと思ってしまった自分が嫌になる。
「ねつでちゃった…。」
「そうみたいですね。体温は測りましたか?」
「うん…38.2…。」
「分かりました。ここで寝ていると悪化するかもしれないので、部屋に連れていきますね。」
お姉さまを背中に背負い、部屋を目指す。そして、なんとか部屋にたどり着いた私はお姉さまをベッドに寝かせる。お姉さまがいくら軽いとはいえ、人を背負うのはなかなかに厳しかった。疲労で全身がぷるぷるしている。
「ありがとぉ…。」
「どういたしまして。なにか欲しいものとかはありますか?」
「みず…。」
「分かりました。今取ってきますね。」
キッチンへ向かう途中、萌と千咲さんにお姉さまが熱を出したことと、私達が大学を休むことを連絡をしておく。すぐに二人からお大事にと返ってきた。
「お姉さま、水を取ってきました。」
お姉さまの体を起こして壁に寄りかからせ、ストローをさしたペットボトルを近づける。ストローの先を口元に持っていくと、ちゅうちゅうと吸って飲んでくれた。
「……ふぅ…ありがと。」
「他に何か欲しいものはありますか?」
「ん~ん、だいじょぶ…。」
「分かりました。では、買い物に行ってくるので安静にしていて下さい。」
そう言って部屋を出ようと立ち上がるが、お姉さまに服の裾を弱弱しく引っ張られた。
「…えっ、あっ…。」
無意識な行動だったらしく、お姉さまはすぐに手を引っ込めて恥ずかしそうにしている。
「……。やっぱりもう少しここにいようと思います。」
「…うん、ありがと。」
お姉さまの手を握り、早く熱が下がるようにと願う。しばらくすると、お姉さまの寝息が聞こえてきた。名残惜しくもゆっくりとお姉さまの手を離し、掛け布団の中に入れる。優先順位を間違えてはいけない。
「買い物に行ってきます。今はゆっくり休んでいてくださいね。」
頬にキスをしてから立ち上がる。
さて、買わなくてはいけないものは…。
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