第26話 妹の水着を見る姉

〜姉視点〜


 コスメショップが並ぶエリアについた私たちは、各々が気になるところを順番に見て回っていた。


 お互いが使用しているブランドはどこのやつなのかとか、どんなスキンケアをしているのかとかを話しながらぶらぶらする。どうやら美優は最低限のスキンケアでこの白い肌を保っているらしい。すげぇや。


 ふと、とあるバスグッズが目に留まる。それはバスオイルの詰め合わせだった。


「…ねぇ美優、誕生日プレゼントこれなんかどうかな?」


「なるほど、バスオイルですか。」


「うん。いろんな種類の詰め合わせだから飽きないだろうし、母さんも肌綺麗だからいいんじゃないかなって。」


 おそらく母さんは40代だと思うんだけど、そんな年齢に見えないくらい若々しい。知らない人に私の姉ですって言ってもバレないと思う。………今度やってみるか??


「値段も悪くないですし、いいと思います。これにしましょうか。」


「そうしよ。いいもの見つかって良かったね。」


 そんなこんなで母さんの誕生日プレゼントはバスオイルの詰め合わせに決まった。


「無事に誕生日プレゼントが見つかって良かったです。それで、この後に行きたいところがあるんですが良いですか?」


「うんうん、いいよ~。」


 行きたいところと言ったらやっぱり洋服とかかな。美優は服のセンスいいし、どんな感じに選んでるのか教えてもらおう。



―――――


「行きたかったところってここ?」


 私たちは水着ショップの前に立っていた。確かに、もうあと1か月ちょっとで海水浴シーズンになる。


「はい。お姉さまと海に行きたいなと思って。どうでしょうか?」


 ほっぺたを若干赤く染め、こちらをチラチラと伺ってくる美優。


 はぁ~~~~~????なんだこの子可愛すぎないか???皆見てくださいようちの可愛い妹。


「いいねいいね。絶対に行こうね。」


 美優が誘ってくれてとっても嬉しい。絶対に行きたい。


「他にも夏祭りとかバーベキューとかにも行ってみたいな。ちーちゃんとか萌ちゃんも誘ってさ。」


「是非行きましょう。楽しみにしていますね。」


 夏にやりたいことが盛りだくさんだ。早く夏休みにならないかな。




 現在、試着室の前で中にいる美優が着替え終わるのを待っている。私に選んで欲しいとのことだったので、美優に似合いそうな胸元がフリルの水着に着替えてもらっている。


「お姉さま、ちょっとよろしいですか?」


 顔だけをひょこっとカーテンから出した美優が話しかけてきた。


「どうしたの?何かトラブルでもあった?」


「いえ、無事に着替えられたのですが、少々恥ずかしいので中で見ていただいてもよろしいですか?」


「な、中に?ダメじゃないそれ??」


 それに、狭い空間で水着の人と二人っきりってなんか良くない気がする。流石にその……えっちじゃない…?


「周囲に人もいませんし、こっそり入ってください。」


「わ、わかったよ…。」


 平常心平常心。私達は姉妹だから水着を見ることなんて普通。これはえっちなことじゃない。


 自分に言い聞かせながら中に入ると、水着を来た美優が目に入る。思わずぼーっと見惚れてしまう。やっぱ肌綺麗だな美優。


「そんなに見つめられると恥ずかしいのですが……いかがでしょう?」


 美優が後ろで手を組んでもじもじしている。


「えっ、あっ、ごめん!すっごい似合ってるよ。美優にぴったり。」


 素材がいいからどんな水着でも似合いそうだが、今着ている水着は美優の雰囲気にぴったりだ。美優のために作られた水着と言っても過言じゃないと思う。


「そうですか。それなら良かったです。これを買いますね。」


 そう言って微笑む美優。微笑む水着の美少女ってめっちゃ絵になるな。写真を撮っておきたいくらい。




「では、着替えるので少々お待ちください。」


 美優が水着を脱ぎ始める。ってちょっと!!


「ちょちょちょ、ちょっと待って!!私まだ中にいるから!!」


 慌てて後ろを向き、美優を視界に収めないようにする。チラッと見えてしまった胸のことは忘れなくては…。


「別にお姉さまになら見られても構いませんよ?」


 何言ってるんだこの子は!?


「いやいや!!私が気にするから!!着替え終わったら出てきて!!」


 急いで外にでる。外に人がいなくて良かった。


 私が目の前にいるのに、急に水着を脱ぎ始めちゃうんだもん。びっくりしちゃった。完璧美少女な美優だけど、天然な一面もあるんだね。………ふぅ。


 ……一瞬見えた桜色が忘れられない。落ち着け私。相手は妹だぞ??何考えてるんだ。


 悶々としながら美優が出てくるのを待つ。やけに時間が長く感じられた。




 そのあとは普通に出てきた美優に、私の水着を選んで貰った。


 美優曰く、「お姉さまの綺麗な肌を他の人に見られたくないです。」とのことで、アウター付きの水着を買った。


 私を見たがる物好きなんかいないでしょって言ったら、何言ってるんですかって真顔で迫られた。怖い。


 実際、私を見たがる人がいるなら既に彼氏の一人や二人はいると思うんですけど…。




 おかしいなぁ……?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る