第14話 朝の姉
~姉視点~
「お姉さま…起きてくださいお姉さま。」
「う~ん…もうちょっとねさせて…。あと1じかん…」
わたしはねむいんだ…。もっとねさせてくれ…。
「お姉さま、それでは講義に間に合わなくなってしまいます。」
「こうぎはまだだよ…。」
そもそもオンラインだからぎりぎりまで寝ててもいいし…。
「お姉さま、今日から対面で受講ですよ。起きてください。」
「たいめん…?あっ!」
ガバッと布団をめくって身体を起こす。そうだった…家に帰ってきたんだった。
「おはよ~美優。」
伸びをしながら美優に挨拶をする。
「おはようございますお姉さま。お母さんとお父さんは既に出ていますよ。」
「朝早いねぇ。ってことは二人きりで朝ごはん?」
「そうなりますね。」
「わかった。すぐに行くからリビングで待ってて。」
「分かりました。お待ちしております。」
そう言って美優は部屋を出ていく。私も手早く準備を済ませ、リビングへ向かう。
今日から普通の生活だぁ~。やっと日常が戻ってきた。やりたかったことがいっぱいある。これから何でもできるようになるだろうから本当に楽しみ。
「「いただきます」」
朝食はザ・和食って感じのメニューだ。
「そういえばお姉さま。同好会の件ですが、入部するにはどうすれば良いのですか?」
「あ~、ごめん伝え忘れてた。非公認だし、どこかに申請する必要は無いけど、メンバーと顔合わせはしときたいよね~。…ん~、せっかくだし今日一緒に行ってみる?あれならメンバーに声かけるけど。」
「そうですね…。お願いしても良いですか?それと友人も一緒に行けると嬉しいのですが…。」
「おっけ~おっけ~。全然大丈夫。お姉ちゃんに任せて。15:30くらいで大丈夫?講義ない?」
「はい大丈夫です。友人の方も問題は無かったはずです。」
「りょ~かい。」
グループチャットで入部希望が二人いることと、可能であれば今日集まってほしいことを伝える。……すぐに既読が付き、メンバーから了承を得る。
「ん。大丈夫そう。まぁ人数が多い同好会ってわけでもないから安心して。」
「分かりました。ありがとうございます。」
「うん。午後の講義終わったら連絡するね。」
「はい。お待ちしております。」
―――――
大学へ行く準備ができ、外に出た。
…ついに美優と一緒に通学ができる。わぁ~!!家から二人並んで一緒に通学ってめちゃくちゃ姉妹っぽいじゃん!!
「ごめんお待たせ。じゃあ行こっか!」
「はい、行きましょう。ではお姉さま、手をこちらに。」
そう言って手を伸ばしてくる美優。……?その手は何?えっ、お手でもすればいいの??もしかして美優には私がわんちゃんに見えてたりする??
「…わん。」
しょうがないからお手をする。わんわん。
「んっ……とても愛くるしいですが違います。手を繋ぎましょうということです。」
………えっ?……やばめっちゃ恥ずかしい。普通に考えれば分かるのに何してんだ私。絶対今顔真っ赤だ。
ってか手を繋ぐの?えっ?姉妹って手を繋いで通学するの?まじ?恥ずかしくないそれ??
「み、美優。姉妹って手を繋いで通学するものなの…?」
「どうしましたか?手を繋いで通学は姉妹だと当たり前ですよ。ほら、講義に遅れちゃいますから早く行きましょう?」
どうやら普通らしい。
「そ、そっか…。それならいいの…かな?」
そーっと手を伸ばしては引っ込める。美優が普通と言ってるのだし、恥ずかしいことでは無いのだろうが、どうしても恥ずかしくて二の足を踏んでしまう。
そんな私の様子がじれったかったのだろう。美優は私の手を取り指を絡めてつないできた。
「ちょ、み、美優!これいわゆる恋人繋ぎってやつじゃ…!」
「ほらお姉さま、早く行きましょう。電車にも間に合わなくなってしまいます。」
「で、でも…。」
「でもじゃありません。行きますよ。」
「わ、分かったからそんなに引っ張らないで!」
なんでこの子はそんなに普通にしていられるの!?
美優と並んで駅に向かう。すれ違う人がなんだかこっちを見ている気がして恥ずかしかった。きっと私の顔が赤いから不審に思ったのだろう。手を繋いで通学するのに早く慣れなくちゃ。
……ほんとに慣れるかな…。
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