第9話 モテる姉
~姉視点~
4月に入り、ようやくギプスが取れた。動く部位のリハビリは前からやってはいたが、ようやく骨折したところのリハビリも始めるらしい。
いや~、ここまで長かった長かった。もうね、ベッドの上でやることが無さ過ぎて虚無だった。
美優が車いすを押してくれるとは言え、ずっと付きっ切りになってしまうのは流石に申し訳なさ過ぎたので、ある程度時間が経ったらいつも帰ってもらっていた。毎回粘ろうとしてくるのはちょっと嬉しかったけどね。
それと、美優の高校の卒業式と大学の入学式が過ぎてしまった。美優の晴れ姿を見れなかっただけにとても残念だ。まだ講義は始まってないが、私はオンラインでの受講が許可されている。美優と一緒に講義を受けるなんて経験をしたかったが、これからいくらでもできるので今は楽しみにとっておこう。
そんなこんなでリハビリが始まって数日が経ったのだが、リハビリ部屋の常連さん達とはとても仲良くなった。
「陽菜ちゃん、今日も可愛いねぇ~。あとでこっそりおばちゃんの部屋においで。お菓子をあげるよ。」
「おばちゃんありがと~。おばちゃんも綺麗だよ。あとでお菓子貰いに行くね。」
お菓子嬉しい。何貰えるんだろ。おせんべいとか?
「あらやだ綺麗だなんて。皆聞いた?もう照れちゃうわ。」
「こんにちは陽菜ちゃん。そんなおばさんのところなんかに行かずにわしの部屋においで。お小遣いあげよう。」
「おじいちゃんこんにちは〜。嬉しいけど、流石にお金は貰えないよ。気持ちだけ受け取るね。」
お小遣いは欲しいけど、流石に家族や親戚じゃない人からは貰えない。
「ぷぷっ。お金で釣ろうとするからそうなるのよ。まったく見ていられないわ。」
「なんだと。良い年したおばさんが、陽菜ちゃんのお世辞にも気づかずに身をよじっている姿の方が目に毒だわい。」
「なんですって!いい度胸ね、表へ出なさい。」
「なんだわしとやろうってのか。上等だ。後悔させてやる。」
「ちょちょちょ、二人ともストーップ!!あとで両方の部屋行くから今はリハビリに集中して!ほら職員さんが困ってるでしょ!」
この人たちはしょっちゅう喧嘩する。喧嘩するほど仲がいいってやつか?いやなんか使い方が違う気がする。まぁいいや。
「まあ陽菜ちゃんが言うならしょうがないわね。次は覚えてなさい。」
「陽菜ちゃんの言うことは聞かんとな。命拾いしたな。」
私は神かなにかなの?何?実は高貴な生まれだったりする?
「お姉ちゃん!!こっちこっち!!」
可愛い声で私を呼ぶ女の子がいる。この子は以前間違えて私の部屋に入ってきた女の子だ。名前は有紗ちゃんで、小学生らしい。遠くでこの子のお父さんとお母さんがこちらに頭を下げているのが見える。
「お姉ちゃん聞いて聞いて!今日はね、嫌いなピーマン食べたよ!有紗えらい!?」
「ピーマン食べれたの!!えらいねぇ!!お姉ちゃんほめちゃう!!」
顔を赤くさせて話しかけてくるのが可愛いのなんの。思わず抱き着いて頭を撫でてしまうが不可抗力なので仕方ない。あぁ〜癒されるわぁ…。
その後も色々な人から声を掛けられる。中には連絡先を知ろうとしてくるおじさんとかもいる。「今日もフラれたかぁ残念残念。」とか言いながら笑っているけど、それセクハラだからね?私だから良いものの、普通の女の子にやっちゃうと一発アウトだよ?病院の次は刑務所で過ごすとか絶対に止めてね。
ってかなんだこれ。私モテモテじゃん。えっ、ついに念願のモテ期?ッカ〜つれ〜、モテすぎてつれ〜。まぁ私ってば可愛いし?千年に一度の美少女だし?ハーレム出来てもおかしくないよね!………はぁ。
これが年齢の近い子だったら良かったと何度思ったことか………!!!どうして同じ年代の子がここにはいないんだ!!!私に彼氏はいつできるんだよ!!!
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