第3話 お出かけに誘う姉

~姉視点~


 やべーよ、ガチギレさせちまったよ。流石に自分でもしつこいかなーとか思ってたら案の定怒られたよ。


 やっちゃったなー…。もう少し距離感を考えるべきだった。でも他にどうすればいいか分からなかったんだよなー…。父さんにアドバイス貰いに行くか。


「ってわけで美優と仲良くなるにはどうすれば良いかな?」


「何がというわけなのかは分からないが、大方美優の不興でも買ったんだろう。美優は口数が多いわけでもないだろうし、関わり方を考えなくてはならんな。」


 …よく分かったね。周りから見ても分かるくらいしつこかったのかなぁ。


「それと、俺には陽菜が焦りすぎているように感じる。少し冷静になった方がいい。」


「あー……父さんから見てもそう感じる?自分でも薄々そうじゃないかって思ってたんだよね。初めての妹が嬉しくて周りが見えていなかったかも。」


 今考えると、初めての妹に興奮して空回りしちゃってたなぁ…。反省反省。


「そうだな。俺も陽菜たちに仲良くなってほしいとは思っているが、無理に距離を縮めるべきとは思っていない。人にはそれぞれ距離感があるのだから。」


「…うん、そうだね。もう少し考えるべきだった。ありがとう父さん。冷静になれた。」


 やっぱり父さんは頼りになる。私を男手一つで育ててきただけある。父さんのためにも美優とは是非仲良くなりたい。


 それはそうと、どうしようかなぁ…。いっそお出かけにでも誘ってみるか?でも今誘ったところで了承してくれるわけが無いしなぁ…どうしたもんか。



―――――


 「あっ、閃いた!」


 父さんに相談してから数日後、天才的な頭脳を持つ私は妙案を閃いた。母さんの誕生日もうすぐじゃん。一緒にプレゼント買いに行けばいいんだ。えっ私天才じゃん。


 は~~~~~辛いわ。自分が天才過ぎて辛いわ。あふれる才能が止まらない。


 ………いやまぁ、自分のお母さんの誕生日プレゼント選びなら断らないだろうっていう打算的な考えはあった。出しに使ってごめんよ母さん…。絶対に美優と仲良くなるから許して!!!


 今日は夜遅いし、明日誘ってみよう。



―――――


 誘うのに勇気が出ず、うだうだしていたら夜になってしまった。ええい、女は度胸。当たって砕けろだ。…いや砕けちゃダメか。


「ねぇ美優…すぐ終わるからちょっとだけいい?」


「……まぁすぐ終わるなら良いですけど…」


 あれ以降相変わらず視線は合わないけど、しょうがない。意を決して誘ってみる。


「その…もうすぐ母さんの誕生日じゃん?だからプレゼント選び、一緒にどうかなって。私、母さんの好みとか分からないから教えてほしいなって…。」


 美優は一瞬だけこっちを見て何か考えているそぶりをする。やっぱりだめだったかな…。


「………いいですよ。」


「やっぱりだめだよ…ね………えっ今なんて言った?」


 今美優はなんて言った?


「だから、いいですよって。」


「まじ?いいの?本当に?後でやっぱり行かないっていうの無しだからね!じゃあまた明日!10時くらいに部屋ノックするね!おやすみ!!」


 やったやったやった!!まさか承諾してもらえるとは思ってなかった。嬉しすぎる。


 は~~~~~勇気出してよかったぁ…。めっちゃ嬉しい。妹とのお出かけとかすごく姉妹っぽくない?このお出かけで少しでも好感度を上げられたら良いな。


 って、えっ、待って今気づいたけど、明日バレンタインじゃん。ってことはバレンタインデートってこと???えっまじ?やば、どうしよう。せっかくだし、プレゼント選びが終わったらバレンタイン限定のスイーツとか一緒に食べに行きたいな。




 美優は甘いもの好きかな?そうだと良いな。明日が楽しみ。

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