第32話

よく見ると、あちらこちらでダンジョンの壁に紫の筋が入っている。

これが異変ってやつなのか。

そして、奥から出てくる敵も凶暴さを増していた。

まるでなにかに取り憑かれたように。

「やっぱり異変は起きている。ダンジョンハートをすぐに直さないと」

神奈川ダンジョンは、Sランクダンジョンだ。

理由は、冥層まで存在するのと、単純に敵の強さが他のダンジョンの二倍だからだ。

なので、比較的人が少ない。その代わり、高ランク探索者がたくさんいる。

つまり、いまダンジョンが全て異変化してしまうと、敵が外に溢れ出てしまう。

探索者が少ないから食い止めきれず、地上まで上がってきてしまう。

だから、WDAは俺たちを派遣したんだ。


異変が起こっても、律さんは変わらないスピードで下層まで進んでいった。

下層では、魔力の霧が出たり、敵が大量に発生したりといろいろあったが、なんとか抜けることができた。

問題は、深層だ。

「やばい。ここから先は進むことが不可能だ」

そう、律さんは言った。

それもそのはず、深層の入り口にはざっと500体の敵がいたから。

そして、そのすべての目が紫に光っていた。

異変により極限化したモンスターだ。

通常、極限化モンスターは極稀にしか出現しない。

だが、異変で簡単に出現してしまう。

極限化モンスターは、通常の15倍も強い。

SSランカーの人でも倒すのに一苦労だ。

Zランクだからって、楽勝に攻略できるわけではない。


しかし、この状況の中、とあるクランメンバー「たつき」が手を上げた。

「俺、この状況どうにかできますよ」

「たつき、どういうことだ?」

「ずっと隠してたんですけど、実は俺。




 神級魔法持ってるんですよね。」


「「「「「「「「???」」」」」」」」


神級魔法。

世界で10人しか習得していない魔法だ。

その力は、どの魔法よりも圧倒的に強い。

そして、いろんな種類がある。

「召喚」「全素材オールエレメンタル」「全破壊オールデストロイ」など、様々なものがある。


「ちなみに、たつきが持っているのは何?」

「全衰弱化です」

「ちなみに、習得レベルは?」

「98です」

「「「「「「「「まじで?」」」」」」」」


習得レベルが80を超えていると、その魔法やスキルをマスターしたことにある。

100でその魔法やスキルを自由自在に使えることができる。

ただ、神級魔法は扱いづらく、レベルが上げにくい。

そのため、神級魔法を持っていても高ランクではない人も多い。




つまり、たつきはZランクに相当する力を持っている。

--------------

たつき、すごいですね。


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