第30話

とりあえず、ポータルへと入った。

「「「ふぅ。」」」

見覚えのある町。

吸ったことのある空気。

やっと、元の世界へと戻ることができた。

早く、クランメンバーに伝えないと。

あ、この世界は今どうなっているのかな。

俺は、ニュースを開いた。

芸能人が引退だとか、逮捕とかいろいろなことがあったらしい。

しかし、一際目立つ記事があった。


"WDA、会長が交代"


俺は、そのニュースをイザベラと律に見せた。

イザベラは「ふーん」と興味なさそうだった。

しかし、律はそれを見た途端震えあがった。


「もう終わりだ、、、」


「そんなにやばいことなんですか?」

「やばいっていうか、そもそもの話。考えてみてほしいです。

 この世界に、突如ダンジョンができた。

 この事実だけでも、やばいですよね。

 Zランクになって結構長いのでいろいろわかるんですけど、この会長。

 



 この人ほど会長に適任な人はいません。」

「それはどうして?」

「ダンジョンができた。それを最初からまとめたのは彼です。

 世界でそれなりのポストを持っていた彼は、いち早くWDAを立ち上げました。

 もちろん、世界的な組織を独断で作るなんて普通ではありえません。

 だけど、その時世界ではダンジョンパニックに陥っていました。

 誰も行動したがらなかった。単純に怖いから。

 だけど、彼は動いたんです。

 

 探索者という制度。

 それは、彼が作ったものです。

 そして、彼が最初の探索者。」

「と、いうことは?」




「彼が、最初で最後のZZランク保有者です」

「「?!」」


まてよ。

この世界の最高ランクはZランクだったはずでは?!

「そう。Zランクが最高ランクだ。

 だけど、WDA、つまりランクを管理してる所の会長だ。

 その上のランクぐらい作れるし隠すこともできる。

 実際、前に見せてもらった機密文書にも書いてある。」

「ということは、会長が変わることで


 ・以前のようにWDAが健全に機能しなくなる

 ・会長がZZランクほどの実力でこの世界を変える可能性がある


 てこと?」

「そういうことになるな。」

「まじか、、、」

「このことは絶対に口外するなよ。」


会長が変わる程度、たいしたことないと思っていた。

けれど、実際はあの事件よりもやばいことだったのか。


「話は変わるけど、御子って異世界に何人で行ったんだ?」

「たしかに」

「ほかの4人に聞いてみる?」

俺たちは、事務所で保護している4人の探索者に事情を聴いた。

「実は、私たちは政府に集められたんです」

「日本人だけってこと?」

「そうです。日本人のSランク以上、1000人が招集されました」

「1000人?!あれ、でもあの時いたのは御子合わせて5人だった気が、、」


「そうなんです。

 異世界探索の途中ではぐれました。

 10人ほどになってしまった私たちのグループは、そのまま目的地であるアシュアダ 

 ンジョンへと向かいました。

 そこに、きっとみんなが集まっていると思ったんです。


 だけど、行く道先で彼らが次々と倒れていたんです。

















 おそらく、生き残って帰れたのは私たちだけです。」

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