第29話
世界ランク一位のDESTROYER。
彼は、たった今イザベラのいとこであることを明かした。
「イザベラ、それ本当?」
「うん、、、、」
どうやら、あまり言われたくないそうだ。
「あ、名乗るのを忘れていました。DESTROYERこと、山田律です。」
え。
「日本人?!」
「そうわよ。律は、母の姉の子よ。」
「そういうことだったんだ。ていうことは、日本人Zランクは、3人だったってこ
と?」
「そういうことになりますね。ただ、自分は探索者になってから一切名前を明かして
こなかったので。」
「それはどうして?」
「ずっと外国に住んでいたのと、日本に少し嫌悪感を抱いていたんです。
今は明るみに出ましたが、実は私は以前からあのことを噂程度には知っていたんで
す。ただ、それが事実かはわからなくて、言えなかったんです。
ただ、この感じは本当だなと思ったんです。」
そういうことだったのか。
なら、どうしてイザベラは彼がいとこということを言われたくないのか。
「イザベラ、もしかして劣等感を抱いていたのか?」
俺はそう感じた。
イザベラは、お金持ちの娘だ。
だから、当然見比べられる。
それに、前少し聞いたけどイザベラの母とその姉は仲が悪いそうだ。
だから、それぞれの子を使って見比べていたそうだ。
イザベラより、律のほうが強い。
そのせいで、彼女の母は何回もその姉にいびられていた。
だから、八つ当たりに彼女を叱ったのだ。
決して、律は悪くない。それはわかってる。
だけど、ここまで母が起こるのは律のせいでもある。
イザベラより、律のほうが強かったから。
だから、イザベラは探索者になってから一度もDESTROYERといとこであることを明かさなかった。
本当なら、その関係だけでも相当力を持つことができるだろう。
DESTROYERこと律は、本気を出せば世界を変えられるほどの能力「蘇生」を持っている。
彼が、歴代の勇者や偉人などを蘇生させたら、間違いなくこの世界は変わる。
「イザベラ、そんなことがあったんだ、、」
どうやら、彼はそのことを知らなかったようだ。
イザベラがどんな気持ちで、律と向き合ってきたか。
彼女は、「DESTROYERはダン友」と言っていた。
関係性を隠すことで、自分の気持ちに蓋をしていたのだろう。
「イザベラ、本当にごめん。
ずっと気づいてあげられなかった。」
「もう大丈夫。TKSのおかげで、気持ちが整理できた。
私こそ、今までごめん。」
こうして、異世界でイザベラと律は仲直りをした。
(仲直りかは微妙だけど。)
まあ、こんな感動的なシーンを見て普通は何も言えないのだけれど、、
「お二人さん、ここ異世界です」
「「あ」」
「目の前にポータルがあるのに、まだ入ってないですよね」
「「あ」」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます