第24話

―ダンジョンへの攻撃を察知しました。

どこからかそんな声が聞こえた。

「今すぐ脱出しませんか?」

そう、メンバーの一人が言った。

本当はそのほうが安全だ。

しかし、そうしてしまうと困ることがある。

「ダンジョンブレイクが起こる可能性がある。みんなは先に逃げててくれ。

 未衣は結構実力があるから、みんなを守ってくれ」

「了解」


俺は、みんなを先に避難させると、魔力を使ってとある人にSOSを届けた。

すると、次の瞬間目の前に人が現れた。

「久しぶり、盟友」

「久しぶりだな、ノア」

彼は、ウィリアム・ノア。SSランクの探索者だ。

そして、俺と彼はダン友だ。

出会ったのは、俺が出張で海外に行っているときだった。

海外のダンジョンに試しに潜っていたら、たまたま会いそのまま意気投合してダン友になった。

彼と出会った5年前、まだCランクだったけど必死に努力してSSランクまで上り詰めた。

だから、俺は彼のことを尊敬している。


「曹、Zランクおめでとう」

「そっちも、SSランクおめでとう」

「どうしたらそんな強くなれるんだ?」

「たまたまだよ、たまたま。」

本当にそれしか言えない。

魔力が増えたのも半分運だから。


「で、ここに未知の脅威が潜んでるってこと?」

「そうなんだよ。しかも、多分異世界につながるポータルがある」

「そんなのが存在するのか?」

「考えてみろ。そもそも、もともとダンジョンすら存在してなかったんだ。

 ダンジョンも急に出現したんだ。ポータルが存在してもおかしくはない。

 最初は俺も疑ってたけど」


とはいえ、今まで発見されてこなかったものが目の前にあると流石に疑う。

俺は、どんどん湧いてくるモンスターと戦っているとき、一つの異変に気がついた。

「普通のモンスターよりも三倍ぐらい魔力持ってるな、これ」

いつも戦っている敵よりも硬い。

そして、攻撃力も上がっている。

すなわち、魔力で全体のステータスを底上げしている。

これは、「魔力調整」というモンスターしか使えない能力だ。

通常のモンスターは、魔力調整が下手なので少ししか上がらない。

Sランクのモンスターでもせいぜい2倍。

しかし、ここにいるBやAランクの敵はすべて3倍以上のバフがかかっている。

そして、スピードも早い。

異世界の敵は、ここまでこの世界の敵と変わるのかと思った。

でも、もう逃げられない。

いつも通りに戦えばなんとかなるはずだ。

ノアもそう思ったようで、二手に分かれて戦った。

しかし、ポータルは閉ざされていない。

つまり、閉じるまで永遠に敵が入り込んでくる。

そこれ、俺はとある事を考えた。


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