第10話

帰宅後。

とんでもない武器ととんでもない素材を持って帰ってきた。

さっそく、このことをダンジョン研究所に伝えるか。

「ダンジョン研究所には伝えないほうがいいよ。」

そう、御子が言ってきた。

「こんだけすごいものが世の中に知らされたら、悪用される可能性も高いよ」

確かにそうだ。

この剣は、未知の武器だ。

御子やほかのクランメンバーにも使ってもらったけど、どのランクでもバフがかかっていた。

つまり、この武器が世の中に出回ってしまったら、市場が破綻する可能性がある。

今まで、ゴースト系は物理攻撃は効かないと言われていた。

それが、このバフで変わってしまった。

この世界には、コピー能力を持った職人もたくさんいる。

そして、高ランクの職人に見つかってしまったら、おそらくバフごとパクられてしまうだろう。

そうなると、今まで対ゴーストのものを売っていた人たちは困るのは当然だ。

だから、このことは伏せておくことにした。


その間、世間はダンジョンのあのことについて触れていた。

「東京ダンジョンにて、世界二位のZランク"イザベラ"が目撃された。

 そこには、SSSランクの優月御子と、黒いフードを被った覆面の男

 も目撃されていた。

 巷では、彼こそが正体不明のZランク"TKS"と言われている。」

そう、テレビに流れてきた。

「「「は???」」」

俺たち三人は、一斉に声を上げた。

「そうか、御子と俺が同じクランなのは知れ渡っていたか、、」

「そうなると、イザベラのクラン加入もばれたようなものでしょ?」

「別にいいわ。むしろ、そのほうがいいわ。」


―ピンポーン


そう話をしていると、チャイムが鳴った。

ここは事務所だから、よく客が来るけど、、、

「私が出るわ」

そう、イザベラが言った。

「なぜわざわざイザベラが出るの?御子でいいのに」

「念のためだ。強敵が来たらまずいだろう?」


「すみません、ご用件をお聞きしても?」

「はやくTKSを見せろ!大スクープにするんだ!!」

なんだ、マスゴミか。

「マスコミの対応はしないとそこに書いてありますよね?」

「そんなのどうでもいい!早く開けろ!」

そういって、マスゴミの人間はチェーンソーを出した。

無理やりこじ開けるつもりだ。


「Zランク、なめてるよな?」


彼女が指を鳴らした瞬間、人の気配が消えた。

「イザベラ、なにしたの?」

「転移よ。東京ダンジョンの下層に送り込んだわ」

鬼畜だ、、、

あのマスゴミ、恐らく探索者じゃないからきついだろうな、、、

「まぁ、絶対無事だから大丈夫よ。

 シールドを張っておいたから。」

そういうところの優しさはいるのだろうか、、、、


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いつも通り会社に行った。

相変わらず俺はみんなに見下されている。

「曹、これやっとけよ」

「本当にのろまだね」

「会社辞めれば、無能君w」

まぁ、ここでストレスが溜まってもダンジョンで解消できるからいいや。


だけど、この後起こることによって手のひら返しされることをまだ知らない。

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