chapter 12
常盤サクラは装置から解放された。
しかし、長く身体を動かしていなかった上に、与えられ続けてきた強烈な痛みの感覚が残っていたので、その場にへたり込んだまま身動き一つとれずにいた。
皮膚に触れる風、目から入る光、鼓膜を叩く音、自分の身体の重み、その総てが痛かった。
筋肉を緊張、弛緩させるなどもってのほかだった。
「……けた……見つけた」
目の前に現れた青年の姿も、ぼんやりとしか認識出来なかった。
光を遮ってくれたその影に初めは感謝したが、青年が彼女に触れ、抱きかかえると、その感情は憎悪に変わった。
だが、彼女にとってはもはや、そのような感情すらも曖昧だった。
青年の名は――田利本ガリア。
シキシマ秀典とともにアーマーを開発した彼の研究助手である。
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