第7話

目が覚める。起き上がると涙が頬を伝っていた。もう彼らには、俺の家族には会えないのか。涙を拭い部屋を出る。顔を洗いに行くと父親がいた。

「おはよう」

目があったので声をかける。

「おはよう。今日は皆んなで食べに行くからな」

「ああ、うん。いつ行くの」

「お昼か夕食かどっちがいい?」

「......夜がいいかな」

「分かった。夜に行こう。それと......、1日過ぎたが誕生日プレゼント何か欲しいものあるか?」

「......いや特にはないかな」

「…..そうか」

「何か欲しいものできたら言うね」

そう言ってご飯を食べに行った。

リビングに行くと義母が料理をしていた。

「朝ごはんできてるけど食べる?」

「うん、ありがと」

朝食を持ってテーブルに座り、食事を済ませ部屋に戻った。

本を読みながら考える。来年の今頃はどちらかの世界で僕は存在しない。椛かハルトかどちらかはいなくなる。オリバーたちには俺が必要で父親たちには僕は邪魔になる、そう思っていたが。オリバーは本当にやりたいことを見つけろと言い、疎まれていると思っていた家族は誕生日を祝ってくれる。このまま選んで一年後に後悔しないだろうか。もっと自分から関わって知ってた上で選びたいと思った。オリバーみたいに、父親のように僕の知らない想いがあるのかもしれない。この一年間、もう少し関わりを持ってみよう。

ふと昨日行った本屋を思い出す。もっと詳しい話を聞きたい、そう思いまたあの場所に向かった。記憶をたどり歩みを進める。

「あれ、ここに道がない」

記憶ではあるはずの道が見当たらない。おかしいな、間違えたかな。少し戻り道を探すがやっぱり見当たらない。しばらくうろうろしたが見つけることがっできなかった。あまり長くいると家族が心配するだろう。夕食の約束もあるし、諦めて帰るか。

帰ると父親に声をかけられた。「何か食べたいものあるか」

「うーん、皆んなで行くなら優斗が食べたいものでいいんじゃない」

優斗はまだ7歳。優斗が食べたいものを食べに行くのがいいだろう。

「椛の誕生日だから椛が食べたいものにしないとな」

そう言われてもやっぱり優斗が食べたいであろうものを考えてしまう。

「ハンバーグとかオムライスとか?」

「椛が食べたいものでいいんだぞ」

「いや。ちょうど食べたかったし、色々食べられるレストランでいいと思う」

その日久しぶりに四人で顔を合わせてご飯を食べた。

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