第十話 クラスメイトの反応
「レア、本当にありがとう。あそこで死ぬかと思ったよ」
「それにしてもめっちゃカッコつけてなかった?まるで必ず勝つ!みたいなテンションで話してたじゃん」
「まあ、そこはね?人生ときには信じる心が必要だから」
「ははっ、どこでそんな自信をつけてきたの?」
レアに笑いながら頭を撫でられる。レアはかなり俺の頭を撫でるのが好きみたいで、シリエルやネーヴェがいるときはあまりしないが、二人でいるときは必ず撫でられる。子供だと思われてるのだろうか。
「それにしても頭撫でるのが好きだな、お前」
「お前ってなによ、さっきも思ったけど最近急に礼儀がなくなったよね、コジー」
「ごめんなさい。レアさん、むやみに貴方様のことをお前とは言わないようにします」
「急にめちゃくちゃ礼儀正しくならなくてもいいから!」
「じゃあどうすればいいんだよ」
「いい感じにするの!」
いい感じ!?いくらなんでもその言い方は曖昧すぎるよ。無礼講でいいなんて言われたけどそれでも流石にちょっとぐらいは距離があった方がいいってことなのか。
「じゃ、じゃあちゃんでもつければいいのか?」
「前も言ったけど理想はそれで呼んでほしい!」
「レ、レアちゃん……」
「そうそれで!これは私に無礼講を働いた罰だから、今後はずっとそれで呼んでね」
「わかりました……」
無礼講を働いていいっていったのはそっちだぞ、と思いながら俺はちょっと落ち込んだ。
そして、俺とレアは奴隷市場から少し離れた場所でネーヴェとシリエルにもう一度出会った。
「あら、レア。小嶋をちゃんと助けれたようですわね」
「うん、コジーなかなかタフでさ。私がいることに気づいたのか、敵をわざと煽りまくって敵を攻撃する時間を作ってくれたの」
「まあ、あれは賭けみたいなものだ。上手くいったから良かったけど間違えれば死んでた。レ、レアちゃんのおかげだよ」
「レアちゃん?」
「レ、レアちゃん!?すごい、いつの間にそんな関係に……」
事情を知らない二人はレアちゃん呼びに本当に驚いたみたいで、口開けて動揺した声を漏らす。
「レ、レアちゃん!?いつ私がそんな呼び方を許可したの!?コジーもしかして私のことが好きなの?」
「い、いやそれは、おま……いやレアちゃんがそう呼べって――」
レアはわざとはしごを外すように他の二人と同じような動揺した声を漏らした。
はしごを外された俺は為す術もなく孤立無援の状態になり、ネーヴェとシリエルの顔を見て俺は喋らないほうがいいと悟り、激昂させた感情を抑え、自分の顔を徐々に無へと戻していった。
「レ、レアちゃん……」
「レアちゃん呼び……」
ど、どうすりゃいいんだよこれ。
「お兄さん、私たちと仲良くなりたいならそんな不器用な真似をせず早く言ってくださいよ」
「そ、そうですわ。師匠である私がそれに気づけなかったことは誤算でしたわ。小嶋様には次から戦闘以外に礼儀をお教えいたしますわ」
二人はすごく気まずそうな顔を見せて、必死にどこかと距離感のあるフォローに回っていた。いや、気まずいのはこっちだよ。
ふと、レアの様子が気になり彼女の様子を見ると
うつむいて必死に顔を抑えて笑いをこらえていた。
最悪だ。やっぱり全てこの女の罠だったッ!!!!
「まあまあ、コジーが私と仲良くなりたいのはわかったからさ、そっちの二人はどうだったの?」
「こっちは私とシリエルさんが協力して敵を撃破した。フィールド魔法を組み合わせてシリエルさんにも近距離戦闘がしやすいようにしたよ」
「一瞬ネーヴェが倒したかと思っていましたけど、私のために技を使ってくれたみたいで感動いたしましたわ」
彼女らの様子を見て何となく彼女らが苦労して勝ったのがわかる。
「みなさん、これからどうしますか?」
「ええ、途中追ってきた者はうまく撃退したけれど、確かあと二十人もいるのでしたわね」
「二十人って、気が長くなる話だね」
ああ、仮に五人倒したとしても彼らにはまだかなり仲間がいる。もし彼らがまた攻めてきたらどうすればいいのだろうと思いながら立つことに疲れたので床にしゃがみこむ。
「そうだよなー、ってか俺ら仮面忘れてないか」
今更ながら気づいた。俺たちは変装する服を着るだけ着て、全く仮面を全くつけてないかった。
「あ、確かにそうですね。すいません」
ネーヴェはそれを聞いて仮面を顔にちゃんとつける。
「そうでしたわ。私も完全に忘れておりましたの」
「やべやべ、早くつけなきゃ」
彼女らの焦り様を見て俺も急いで仮面をつけた。変に誰かに見られてないといいな。
「でもさすがにもう追いかけてこないよね」
「ああ、おそらく元から四人しか派遣しないつもりだったのだろうな」
「なら、さっさと帰りましょう。私たちは魔力をたくさん使ったので、疲れてしまいましたわ」
「うん、今すぐにでも帰るべきです」
「シリエルに言われなくとも今から帰るよ」
「じゃあ悪役になってからの初勝利を祝して美味しいものでも食べに行かないか?」
「いいね、早くいこういこう」
俺たちは宿に戻る前に戦勝会をあげることになった。いや、まさか無事に今日を終えれるなんて思いもしなかったよ。
◇ ◇ ◇
一方、クラスメイト側
「おいおい……このクラスにいる人がどんどん減ってるじゃねーか。まさか俺たちが舐めていた小嶋があんなに強かったなんて」
「よねよね、もうクラスの中心人物が全員やられちゃった。あの人たちは全員大丈夫なの?」
昨日ワチャワチャした雰囲気とは一転して、クラスにはお通夜のような雰囲気が漂っていた。今のクラスは弓使いである相川の仲間である大魔道士西口とその西口と付き合っているクラス公認のカップルである東出。そして口数の少ない気だるげな雰囲気を醸し出すミステリアスな如月カオルが仕切っていた。
「ヒーラーの草加によれば救助が遅れたため、全員意識不明の重体らしい。まあつまり、あいつらがあの状態から復活できるかわからないと言ってた。どうするんだ?このまま小嶋を追いかけて殺しに行くのか?」
「いや、これでは国からの任務遂行にも支障出るだろう、だから私たちはここで一旦諦めることにしよう」
「まさかこうなるとは思わなかったな。そうだ、戻ったらパサイセンの偉い人に小嶋を魔王討伐軍に戻すよう申請しないか?」
「どうだろう。あの貴族たちは話を聞かないから実現しないと考えてもいいと思う」
「はは、しかしこのクラスもかなり静かになったな。リーダー陣が全滅してからクラスもバラバラになり、一部のメンバーもそんな一人すら狩れないチームよりそれを撃退できる小嶋の仲間になりたいなんていうことになったりしてさ」
「ああ、柱を失った組織はバラバラになるのが世の常だ。私たちは今できることするしかない。」
格のある話し方をする如月は少し苦しそうに作戦会議をする机の上で話をしていた。
「え〜カオルちゃん、めちゃくちゃ真剣な顔してる」
「そりゃあするよ。リーダー陣や国が嫌いだった男を今度こそ私たちの手で処分しようとしたらどうなったと思う?全滅だ。どうこの戦争を終結させるんだ?小嶋側に行こうとしてる奴らもいるが、正直に言えば彼が許すなら私も奴隷商人側に寝返ろうなんて少しは思っている」
「それはパサイセンの人に失礼じゃないの〜」
「失礼になるから私は仮にも作戦は最後まで遂行しようとしている。しかし、クラスの中心人物がここにいないおかげで、私のような日陰者が話せるようになるのは嬉しい」
「まあそれは進行したがる人いないからね〜」
「ふむ、作戦は前と同じだ。これから明日へ向けて動こう。そこで私のこの
「じゃあ私は東出くんと大魔導師コンビの実力を見せなきゃね」
「ああ、一緒にがんばろうぜ!カリン」
クラスに残った数少ない者たちは、明日に向けて武器を磨いて戦の準備をする。
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