第13話
桜井の家が出火していると聞いて早川は急いで桜井の家へと向かった。
桜井の家はごうごうと燃えていた。早川は桜井に声をかけるように
「桜井さんはこの中!?桜井さんはどこにいるの!?桜井さーーーーーーーん!」
消防隊員の抑止を振り払うように中に入ろうとするが、憚られた。早川の涙は炎で金色となっていた。
翌朝、炭化した死体が現場に残っていた。それは桜井日奈子だと調べがついた。警察内ではあれは「自殺」と断定された。
「河本さん、桜井さんが自殺なんておかしいですよ。絶対に山本大悟による殺しですよ!」
と早川が突っかかると、
「確かに現場で山本大悟を見かけたという話は聞いてある。しかし鑑識の判断だと自殺の線が濃厚らしい。先入観でものを言うな。」
「絶対に山本大悟だ。地の果てまで追いかけてやる。」
と早川は山本に強い憎しみを抱くのであった。
早川はまずデータベースで山本の顔写真をコピーし、それを元に聞き込みをして回った。すると山本は水島臨海鉄道に乗ったという情報がいくらか集まった。そしてそれを辿って行くと、倉敷貨物ターミナル駅に破れたジャケットが落ちてあったそうだ。
「駅員さん、これが貨物の所に落ちていたんですね?」
と早川が問いただすと、
「ええ。恐らくこの部分がここに引っかかって破れたんでしょう。だからこれを脱ぎ捨てたんだと思います。」
と駅員が答えた。
「とするとこのコンテナからの行先は分かるか?」
と早川が問うと
「それは様々ですね。どのコンテナに潜り込んだかは分かりませんよ。恐らくもう出ている貨物に乗っていると思いますね。」
と駅員が言うと
「クソ!」
と早川は怒鳴り声をあげた。
「取り合えず署に連絡だ。『山本は水島臨海鉄道の貨物から姿をくらました模様。倉敷発の貨物を調べるように伝令を。』」
「しかしこうなるとローラー作戦になるのか?時間がかかるな...。」
と早川はボソッと呟いた。
署に戻り、早川は河本に一連の話をした。
「気持ちは分かるがな、あれはあくまで自殺だ。確かに山本大悟の姿は気になる。だが、お前の私情をはさむな。いいな?」
「桜井さんが自殺なんてするはずないじゃないですか!私が必ず山本大悟を捕まえてみせます!」
「ふぅ。お前をこの操作から外す。桜井の亡骸を拝んでやれ。」
「そんな!この事件は私一人でもやります!」
そう言って早川は一人で外へ出て行った。
しばらくして、名古屋貨物ターミナルから連絡が入った。
「倉敷貨物ターミナルからのコンテナからハンカチが見つかったそうです。それはそのコンテナの内容物とは全く関係が無いものらしくて、山本大悟のものかもしれません。DNA鑑定をしますか?」
と名古屋県警から連絡が入った。すると早川は
「私が山本大悟の毛髪を持ってそちらに向かいます。」
と言い、名古屋県警へと向かった。ちなみに山本大悟の髪の毛は以前山本が住んでいたコーポから採取したものである。
「山本大悟め。名古屋に行ったのか。」
そう意気込んで名古屋に向かった早川であった。
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