道場訓 七十六 お前は1秒だ
試合開始の合図が
しかし、俺はすぐに構えなかった。
俺は専用の
そこで俺はようやく自流の構えを取る。
すると――。
「ようこそ、
開口一番、オンマは
同時に両手と両足を大きく左右に広げる。
まるでどこからでも掛かってこいと言わんばかりの
そんなオンマは身長2メートル強の総髪の男であり、身体付きは典型的なパワーファイターのそれだ。
しかし、こんな場所に出場している人間が見た目通りのわけがない。
俺は両目に
〈
直後、俺の目にオンマの個人情報が飛び込んできた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:オンマ・タイニーマン
年齢:24歳
職業:〈
称号:
特技:地属性魔法、総合格闘術
備考:快楽殺人の
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〈
なるほどな、と俺はオンマの力量と
それだけではない。
この
最初こそ俺のような外からの参加者が多いのだろうと思っていたが、どうやら根本的に違うらしい。
おそらく
でなければ、個人情報に〝専属〟などという文字は浮かんでこない。
しかも称号が
これは
何も知らない外から舞い込んできた表の参加者を、裏の武人が
「おい、さっきまでの
オンマは俺が
「だが無駄だぜ。この
そう言うとオンマは全身の
「
次の瞬間、オンマは地属性の魔法を発動させた。
リングを形成していた素材の一部が細かく
やがて俺の目の前に人間の言葉を話す
そんな岩人間と化したオンマを俺は冷静な目で見つめる。
「あはははははは――ッ! 表の世界ではどれだけ強かったか知らねえが、軽い気持ちで裏の世界に足を突っ込んだ自分の
なので俺はその前に言い放つ。
「お前は1秒だ」
そして俺は瞬時に〈
両足に
長距離用に使えば普通に走るよりも何倍も速く目的地にと到達する。
だが、短距離用に使えばあまりの速度に相手は俺が消えたと
現に俺は一瞬でオンマの背後を取ると、オンマは俺の姿を見失って明らかに
もちろん、俺は背後を取るためだけに〈
すぐさま俺は地面を蹴って
ゴシャッ!
俺の〈
当然ながら俺は返り血を浴びないように移動済みだ。
やがてオンマは巨体をフラフラとさせて地面に崩れ落ちる。
同時に肉体に張り付いていた
ふと気がつくと観客席はしんと静まり返っていた。
「おい、今のお前は
俺はリング上にいた
『勝者――ケンシン・オオガミ!』
俺が予告した通り、勝敗が決するまでジャスト1秒だった。
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