道場訓 七十四 灼熱の本選会場
本選会場へと
地下の空間なのに真夏の昼間のような熱気が伝わってくる。
「ここが
俺は正面を
「いかにも。ここがヤマトタウン
本選会場の中央には出場者同士が闘う円形の
それだけではない。
まるで人間の1人や2人は楽に入れる巨大な鳥かごだ。
しかし、その2つの
なるほど……悪趣味もここまで行くと
などと俺は2つの
先ほどから
明らかに普通の人間ではなかった。
身なりからして貴族や豪商などの富裕層たちで間違いない。
そして劇場のような観客席にいる富裕層たちの顔からは、死を感じさせる
俺は再び
「それではケンシン・オオガミさま。お連れさまと一緒に本選会場のリングへと向かってください。ほどなくして、あなたの1回戦が始まりますので」
このとき、俺は
「ちょっと待て。
いいえ、と
「1回戦の第1試合は、まず予選を勝ち抜いた外の人間からと決まっております。そして闘う相手は
俺は小さく
どうやら、この
おおかた、優勝特典に釣られて予選を勝ち抜いてきた地上の参加志望者の闘いぶりを真っ先に観客は観たいのだろう。
「どうしました?
「馬鹿を言うな。むしろ本選も予選のような
「これはこれは……さすがにそのような
「それほど自信があるのなら、せいぜい派手に勝ち抜いてください。あなたの威勢と実力が本物ならば〝マコトさま〟に気に入られるかもしれませんよ」
マコトさま?
俺が聞き慣れない名前に
照明の
「ケンシン師匠」
俺は暗闇でもまったく動じずにいると、後ろからエミリアが近づいてきて声をかけてくる。
「大丈夫だ。お前が命を賭けるのはあくまでも表向きのことで、何があっても俺はお前は守ってやる」
嘘でも偽りでもない。
本気で俺はエミリアの命を賭けさせるつもりはなかった。
どのみち、まずは最優先するのはキキョウを助けることだ。
そのためには今のところ
キキョウさえこの手で取り戻せば俺たちはそれで構わない。
あとは途中でここから逃げ出してしまえば事足りる。
などと考えていると、円形の
おそらく
その10以上はある照明の魔道具は、高い天井に取り付けられている。
暗闇の中で
しかし、俺が驚いたのはその魔道具ではなかった。
『
明るく照らされた円形の
しかも
あいつ、いつの間に。
やはり
会場全体が暗闇に包まれた瞬間、気配を消して円形の
〈
そして
なぜなら視界が
ウオオオオオオオオオオオオオオオ――――ッ!
俺がそんなことを考えていると、観客席から地鳴りのような叫び声が上がった。
『それでは早速、
突如、どこからか強烈な光の一部が俺を
『さあ、地上からの勇者よ! どうぞ、
俺とエミリアは脳天に響くほどの観客たちの声に包まれながら、1つだけ掛けられていた橋を渡って円形の
すると
〈
『何か一言、
この問いかけに俺は思わず苦笑してしまった。
まるで「
このとき、俺はまともに闘う必要はないなと判断した。
なので俺は
『トーナメントなんてくだらないことは止めて、他の出場者を順番に俺へ当てろ。何人いるのかは知らないが、俺がまとめて相手をしてやる』
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