道場訓 七十三 闇試合のライフ・パートナー
「ケンシン師匠、ご無事だったんですね!」
部屋の中へと入るなり、先に案内されていたのだろうエミリアが俺に声をかけてきた。
「当たり前だ。俺がそんな簡単にやられるか」
俺はエミリアに言い放つと、部屋の中をぐるりと見渡した。
どうやらここが本選出場者の
広さは10
おそらく、その扉から本選会場へと行けるのだろう。
しかし、俺が疑問に思ったのはそこではない。
この
「ここは
俺が
「本選出場者には
「
そうです、と
「過去には自身の勝ちを要求するため、相手の
まあ、そうだろうな。
一般人が観客の表の
そんな
表の
俺がちらりとエミリアを見ると、エミリアも俺を見つめ返してくる。
この
無関係な人間からすれば、このような闘いに命を賭けて参加するなど馬鹿だと言われるだろう。
キキョウのことも自業自得なのだからと。
それでも俺たちは同じ
いや、仲間以上に家族同然になったと言ってもいい。
だからこそ、俺たちはここにいるのだ。
たとえ他人からどう思われようが家族の命は必ず助ける。
俺が心中で新たに意を決した直後、その決意を
「さて、それでは役者が
俺たちはコジローから詳しいことは知っていたが、あえてここでは何も知らない振りをして
裏の
それはヤマトタウン最大の
そしてこの
もしも本選の出場者が対戦相手に負けた場合、自分が死ぬか
自分を選択した場合は当然ながら自分が死ぬが、
ただし対戦相手に殺された場合は、その殺された人間の
まさに
そんな
そうしてトーナメントを勝ち上がった優勝者には、
金、名声、地位など何でもだ。
もちろん、俺たちの願いはキキョウをこの手に取り戻すことだ。
当然と言えば当然だったので、そこで俺は
すると
そこで俺はキキョウが
それだけではない。
他にも分かったことがある。
どこにいるかは分からないが、今のキキョウは
なぜなら、そうでないならキキョウは俺の継承スキル――【神の武道場】へと
けれども、
そんな状態では
特に俺には弟子の3人が
今もそうだ。
現在、【神の武道場】を使っている者は誰もいない。
つまり、キキョウは肉体を拘束された状態でこの裏の
ならば、俺がまず真っ先にやることはトーナメントを勝ち上がってキキョウを無事に取り戻すことだ。
ゲイルやコジローから頼まれた非合法な
何だったらキキョウさえ取り戻してしまえば余計な
この裏の
などと考えていると、
俺は大きく
「ああ、分かった。分かったから早く本選会場へと案内してくれないか? とっと闘って優勝したいんだ」
「ほう……見かけによらず
了解しました、と
「それでは早速、お2人を本選会場へとご案内
「待て。闘うのは俺だけだ。それなのにエミリアも連れて行くのか?」
「はい。本選会場へは出場者と
そう言うと
「さあ、参りましょう……表舞台ではお目に掛かれない裏の強者たちの元へ」
望むところだ。
誰が相手だろうと俺は絶対に負けん。
俺はエミリアに
安心しろ、エミリア。
お前の信頼と命は絶対に無駄に散らしたりはしないからな。
やがて俺たちは
だが、このときの俺たちはまったく知らなかった。
ズズズズズズズズズズズ…………。
誰もいなくなった
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