道場訓 五十七 勇者の誤った行動 ㉒
――オンタナの森で大規模な火災発生、重要な資源採掘場が使用不能に。
このような見出しの
しかし、他のメンバーは誰もいない。
俺1人だけがすべての装備を
「おい、どうして俺だけが
だからこそ俺はこの
なぜ自分だけがこのような目に
それでも
「おい、聞いてんのか! 何とか言えよ、この
すでに
すると、一人の
「うるさいぞ、この犯罪者が!」
そして
「さっきから黙って聞いていれば、自分の都合の良い言い訳ばかりをベラベラと
「おまけに貴様の放火のせいでオンタナの森は大規模な被害を
「だから何度も説明しただろうが! 俺は森を焼くつもりなんてこれっぽっちもなかった! 俺たちは王宮からの
本当は
そう考えていた俺が息を切らせながら主張すると、
「つまり、すべては貴様に
「そうだ!」
俺は胸を張って言い放つ。
このクソ野郎が、俺の言葉を信じるのが遅えんだよ。
と、ほっと胸を
「……何て言うと思ったか、この馬鹿が! そんな嘘が通るわけないだろう!」
「元勇者のくせに貴様はどこまで嘘をつけば気が済むんだ! うちの
何だと?
俺は
「仮に王宮が貴様にオンタナの森で何かしらの
「そ、それは……」
こればかりはさすがの俺も言葉を
王宮からの
俺が黙っていると、看守は「フンッ」と鼻で笑う。
「それみたことか! やはり、オンタナの森の大火災は貴様の独断から起こったことなのだろう! まったく、元勇者なのが聞いて
俺は
現在、この
なぜならカチョウとアリーゼの2人は、あろうことかオンタナの森を焼いた犯人として俺をこいつらに売ったからだ。
これは後から
そして3人――おそらくはカガミが全
オンタナの森を焼いた犯人としてだ。
しかもあいつらは
それだけではなかった。
あいつらは自分たちに罪が
もちろん、これがカチョウとアリーゼだけの証言だったならば疑われただろう。
だが、
そのせいで今回の大火災の罪はすべて俺に降りかかり、こうして俺1人だけが罪を
俺だけでは罪を逃れる方法がない。
しかし、1つだけ俺がここから出られる可能性がある。
殺人などを犯せば話は別だったが、そうでない場合はある程度の
たとえば非合法な
特に往来の激しい街中などで使用した場合、それは殺人の意図があると思われて重罪もしくは極刑になるが、所持だけしていた場合ならば捕まると5年から10年単位で
ただ、そこで
もちろん、生半可な金額の
今回の俺に当てはめた場合、俺の罪はオンタナの森の放火と非合法な
こうなると大金貨(約100万円)が何枚……いや、それこそ十数枚は必要になってくるかもしれない。
当然ながら俺にそんな
だったら、どうするか?
決まっている。
このとき、俺の頭の中に1つの
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