道場訓 四十九 勇者の誤った行動 ⑭
「下手するとこのパーティーは全滅するッスよ」
カガミの
しかもカガミはその前に、
「このまま引き返しましょう。そしてケンシンさんの怪我が治るのを待って、回復したケンシンさんを連れて来るッス」
と、よりにもよって俺たちの
それゆえに俺は我慢ができなかった。
「おい、カガミ。言って良いことと悪いことがあるぞ」
俺は魔物に向けるような鋭い目つきでカガミを
「俺たちが全滅する? ケンシンの怪我が治るのを待つ? まったく意味が分からねえ。どうして、そんな結論になるんだよ!」
俺が感情に任せて
「そうよそうよ、サポーターのくせに適当なことを言わないでよ! ケンシンなんていなくても私たちだけで
「うむ、他の2人の言っていることが全面的に正しい。それに対してカガミの言っていることは意味不明だ。どうしてケンシンがいないと
へっ、そんなもんあるはずがねえ。
俺は
では、なぜカガミは全滅するや引き返そうなどと言ったのか?
決まっている。
「どうせそんな
だがよ、と俺は鼻で笑った。
「言っておくが、その場合は
本来、
だが、カガミのように
冒険者ギルドで正式登録したメンバーではないため、臨時のメンバーの場合は仕事の前に
しかし
そして
もちろん、これらの内容はあくまでも表向きのことだ。
冒険者ギルドが
そこでカガミは前金を返さなくてパーティーから
もしかすると、街へ引き返した
「待ってください、アタシはそんなつもりで引き返そうと言ったんじゃないッス」
「はあ? 嘘つくんじゃねえ。そうでなかったら何なんだよ。大体、お前は俺たちのどこを見て全滅するなんて思いやがった? ましてや街に引き返してケンシンを連れて来るだと……」
「そうッス。キースさんは雇い主とはいえ、命が
カガミは俺たちを見回しながら言葉を続ける。
「このままだと高い確率でアタシらは全滅するッス。それはキースさんたちがあまりにも森の中の魔物のことを軽んじているからッス。今のゴブリンたちにしてもそうッスよ。キースさんたちはゴブリンに襲われたのは偶然みたいに言っていたッスが、あれは偶然なんかじゃないッスからね」
おいおい、こいつは何を言いやがるんだ。
「まさか、お前はゴブリンどもが
こくり、とカガミは大きく
「はっ、そんなことあるわけねえじゃねえか。相手は低能な
俺の意見にアリーゼが同意する。
「キースの言う通りよ。そもそもゴブリンが私たちを待ち伏せしていたってことは、どこかで私たちを先に見つけてたってことでしょう? でも、私たちはゴブリンに見つかった覚えなんてないわ」
「それなんッスが……」
カガミは自分のあご先を人差し指と親指で
「おそらく、ゴブリンたちはアタシたちが
待て待て、とすかさずカチョウが
「仮に
「それはキースさんたちの実力が、ゴブリンたちにとって未知数だったからだと思われるッス」
実力が未知数?
ふふん、それってつまり……。
俺はその言葉を「あまりにも俺たちは
それはカチョウも同じだったらしい。
「なるほど、
俺はカチョウの答えに
目線だけでカガミに「そうなんだろう?」と問いかける。
しかし――。
「いいえ、申し訳ないッスが違うッス。キースさんたちはゴブリンたちから見て強そうな態度を取っているが
これには俺も黙ってはいられなかった。
「ふざけるなよ、カガミ。その言い草だとまるで俺たちがゴブリン程度の
そうッスよ、とカガミは真剣な表情で答えた。
俺たちが
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