幕間
「嬢ちゃん、まだその時計持ってたのか」
「ええ、彼の形見みたいなものよ、でも戦死した親友の遺品だそうよ。なんでも死ぬ前に無理矢理渡されたらしいわ。弾除けの御利益があるから持ってろ、って」
「そんなことはじめて知ったよ。あいつ、聞いても何も教えてくれなかった。ただ寂しそうな顔してこの時計は大切なものなんだ、としか言わなかったからな」
「彼は比島で死んだそうよ。昭和一九年に壮烈無比なる最期、ってね……」
「まさか……そうか、だからあいつは何も言わなかったんだな」
「そうよ……そしてこの時計の御利益はもうその時には無くなっていたわ」
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