第23話 エルルと二人で――ってちょっと待て!?
「あまり待たせるのも悪いし、またピザトーストでも作るか!」
キッチンへ行き、パンに薄くスライスしたソーセージと玉ねぎ、それからチーズを乗せ、前回同様フライパンと火魔法を使ってこんがり焼き上げた。
トマトを買い足しておけばよかったと後悔したが、ないものは仕方がない。
最後に今日買ってきたパセリを刻んで乗せると、それなりにいい感じの見た目になった。これで良しとしよう。
――そういやコップが一つしかないな。
俺は追加でガラスのコップ(100P)、ランチョンマット二枚(150P×2)、クッション一つ(300P)を購入した。
クッションは一つしか買えないが、まあ今はエルルさんの分があれば問題ない。
早速、残金(ポイント)が枯渇したか。残り60ポイント……。
レポート作成頑張ろう。
「エルルさんは、スープとこちらのピザトーストをどうぞ。簡単なものですみません。俺は昼にエルルさんにもらったのをいただきますね。あとこれ使ってください」
「わあ……! ありがとうございます。おいしそう! クッション、私が使っちゃっていいんですか? ふかふかで肌触りも良くて、とっても気持ちいいですね」
エルルは受け取ったクッションをぎゅっと抱きしめ、気持ちよさそうに顔を綻ばせる。可愛い。そしてクッションが似合う!
ちなみにパソコンの操作は、ドアを閉めた状態でキッチン側で行なった。
幸いなことに箱もキッチン側へ届いてくれたため、その瞬間はエルルには見られていない。
「それはよかったです。食材は、ほとんどレスタショップで買ったものですけどね」
「ふふ、たくさんのご利用ありがとうございます♡」
エルルは、悪戯っ子のような目つきで笑ってそう言った。
どちらかというとふんわりした癒し系のエルルに突然こんな顔で見つめられると、思わずドキッとしてしまう。
まったく、人生三度目だというのに俺というヤツは!
「それじゃあ、冷めないうちに食べましょうか」
「はいっ。ではいただきます。フィーナ様に感謝を」
――――えっ!?
エルルは手を合わせて目を閉じ、そう言った。
恐らくこの国でいう「いただきます」のようなものなのだろうが。
だがそんなことより!
フィーナって、あの女神のことか……?
フィーナが信仰されている!?
「――――! おいしいっ!」
「あ、ああ。エルルさんにいただいたこのサンドイッチもおいしいです。キャベツの酸味と燻製肉の塩気のバランスが絶妙ですね」
「本当ですか? よかったー! お口に合ったようで嬉しいです」
エルルは心底ほっとしたようで、ふわっと表情を溶かす。
フィーナの件は、またいつか聞けばいいか。今じゃないな、うん。
とりあえず今は、この二人での食事を楽しもう。
*****
所持金:4,764,190ボックル
ポイント:60ポイント
*****
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます