第41話 『称号』

 俺たちは異界で女王を救出し、無事に地上へ帰還した。国王を始め、王国民は女王の生還を心より喜んだ。


 いやぁそれにしても、地上の空気は美味うまいっ! いかに異質な世界に居たのか、よく分かる。俺は国王に簡単に経緯だけ説明し、今日のところはゆっくり休むことにした。



――一夜明け。


 今日は帰還式、並びに俺個人への『称号』の授与式。さらには午後からパレードで、王国を一周とイベントが目白押しだ。


 王国は内外問わず、女王陛下の帰還で盛大に賑わっていた。約十年振りに女王は、本来の玉座へと腰を下ろした。

 代理の国王は、脇でハンカチ片手に号泣していた。それが嬉し涙なのか、ワシの時代オワタと哀しいかは定かではない。


 そして、俺は女王から『闇の侵略』を阻止したという名目で、王国ヴァンクリーフで『唯一無二』の称号を得た。


 その名も……【究極の一アルティメット・ワン】!!


 なんか授かった方が、小っ恥ずかしいな……女王によると、意味は『神に近いもの』だそうだ。



 午後からのパレードでは、俺の姿を一目見ようと多くの人が押し寄せた。こんなに人がいたんだと、びっくりするほどの人数だ。

 みんな笑顔で、俺たちに惜しみない拍手を送ってくれた。この笑顔が守れたのが、俺の細やかな誇りだ。


 中には、懐かしい顔もあった。冒険者ギルドの面々だ。わざわざ遠方から来てくれたのか。ロゼさんに行商、それにスキンヘッドの好青年。


 アレって、もしかしてダイヤモンドか……!? やるなぁロゼさん。あのダイヤを『更正』させるなんて。


 おまけにロゼさんは、パレードに似つかわしくない重装備・・・だ。恐らく終わったら、“取り立て”に異界へ赴くのだろう。


……終わったな“アレ”、まぁ所詮は『他人事』だし(すっとぼけ)



 パレードは盛大に終わり、夜からは祝勝会だ。俺はフルコースに舌鼓したつづみを打った。露天風呂も堪能し、腹を擦りながら自室に戻った。


「ふぅ……食った食った。てか、あのまま『還ってたら』あんな旨いの味わえなかったよなぁ」


 俺は冗談半分に独りごちた。もちろん『残った』以上は、やるべき事は果たす。つまり、人間と魔族の『共存』だ。


 アリシアによると、まだまだ『難しい』らしい。両者の間には、長年の『遺恨』があるからだ。魔王がいなくなっても、すぐに解決できる問題ではない。


 まぁこれに関しては、今後じっくり考えよう。この世界では、頼れる『仲間』がいるのだから。そう考えながら、自室の扉を開けると……


「待ってたわ、タクミ」

「ア……アリシアっっ!?!?」


 俺は一瞬、目を疑った。それもそのハズ……なんとパンイチ・・・・のアリシアが、ベッドの脇に待機スタンバイしていた。



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