第40話 俺の軌跡(みち)

「「へ…………??」」


 俺に二人は、目をパチクリさせた。


「えっと……タクミ? 今なんて……?」


「うん? だから俺は、この世界に『残る』って言ったんだ」


 俺は言い直したが、二人は顔を見合わせている。お互い信じられない、といった感じだ。


「ほ……本当なの? タクミ」


「ああ。決心きめたんだ、この世界で『生きていく』ってな」


 ハッキリ告げると、二人は抱き合って喜んだ。


「タクミよ、本当にそれでよいのですか? この機を逃せば、二度と元の世界には『戻れない』かもしれないのですよ?」


「俺なりに色々と考えたんですよ」


 俺は『残留』の理由を述べた。


「最初は方法が見つかったら、すぐに還るつもりでした。ですが、俺は『必要以上』にこの世界に踏み込みました。それなら、この世界での『責任』を果たしたいです」


 俺も将軍を始め、かなりの魔族を手に掛けた。魔族側も『指導者』の魔王を失い、混乱するだろう。ならば、これを収めるのも俺の『やるべき事』だ。


「あい分かりました。タクミ、あなたの意思を尊重します」


「タクミ……あなたなら、残ってくれると信じてたわ。王国に帰ったら、正式に『婚約』しましょう」

「何よレティシア。さっきまで、見送ろうとか言ってたクセに。私との『子作り』が先よ!」


 二人は俺から離れず、キスの雨を降らせた。


「あらあら、若いわねぇ(*´艸`) 私も『参戦』しようかしら?」


「は……母上っ!? ダメよっ、タクミは私の『婚約者フィアンセ』なのですからっ!」

「そーよ! 年増オ○さんが、何どさくさに紛れて乱入してんのよっ!」


「オ○……さん…………?(#^ω^)」


……( ´゜д゜`)アチャー。アリシアのやつ、地雷を踏んじゃったよ。


「誰がオ○さんよっ!? 私はまだ『二十代』(強調)よっ!」


 異界の空に、女王の叫びが木霊こだました。まぁ『石化』で、十年間も過ごしたからなぁ……。


 ともあれ、全員無事に地上に帰還できる。だが、俺は色々と思うことがあった。

 俺はアリシアに『100番目』の異邦人として召還されたが、もし『最初』に召還されていたらどうなっていたのか?


 あるいはアリシアが『無作為』ではなく、念入りに準備した上で召還をり行っていたら? さらに言うと、もし他の異邦人がそれこそラ○ベ主人公並みの能力を発揮して、生き残っていたのなら?


 『たられば』を言い出したら切りがないが、もしかしたら魔王本人と『直接』やり合う展開もあったかもしれない。

 個人的には、ってみたかったなぁ……。果たして、異界をべた実力がどれほどのものだったのか。


 ぶっちゃけ、ラスボスがあんな『小物』じゃ消化不良もいいところである。まぁ今さら感はあるし、結末こたえは誰にも分からない。


 けど、俺が辿ってきた『軌跡みち』は他には代えられない。だから、俺はこの世界で胸を張って歩んでいこうと思う。



 かけがえのない『仲間』と共に。

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