第33話 魔竜王

 すみません! また遅くなりましたm(_ _)m


 ◆ ◆ ◆



「ククク……腐ってもタイか。よくぞ見破った」


 魔王(?)は、堂々と開き直った。


「ふざけないでっ! 本物のパパはどこなのっ!?」


「アリシアよ、さっきから何を言っておるのだ? 我は汝の『父でも』あるのだ。それよりもタクミ・セナ、それに人間の女。久方ぶりだな?」


「は……? アンタとは『初対面』のハズだが……??」


 俺とレティシアは、揃って首を傾げた。


「ククッ、これは失礼。なら『この姿』なら分かるだろう」


 魔王が天にえると、見るみるうちにその姿は変容かわった! 元の姿の比ではないほど、巨躯おおきな漆黒の竜。


「お……お前はっ!」


『やっと思い出したカ。我もずっと、貴様ニ再会あいたかっタぞ!』


 竜は満足そうに喉を鳴らした。



「誰だっけ……?」


『をい』


 竜はズッコケそうになったが、なんとか踏ん張った。


『貴様ァアァアあああッ! 己が下した相手も忘れたんカァ!?』


 ドシンドシンッ! と地団駄を踏む竜。


「あー思い出したわ。確かダンジョンで、俺の『虚空渦ブラックホール』にあっさりふっ飛ばされた闇ナンとかだったっけ?」


『ハッ! 騙し討ちしか出来なかった人間ヤツに、言われとうないワッ!』


 再会あうなり、バッチバチの俺たち。


「そんな事より、なんでパパに成りすましてたのっ!?」


『さっきから五月蝿うるさいのぅ。魔王めの“魂”は、我が喰らってやったワ』


「「「「なっ…………!?!?」」」」


 あっさりと白状する闇竜に、俺たちは愕然となった。魂を喰った……だと?


『ムハハハハッ、これは流石に驚いたカッ! 我は魔王を内に取り込み、魔竜王へと“進化”したのダッッ!!』


「んなこたぁどーでもええわ! くっだらねぇ事に注釈してんじゃねぇよ、三下! 肝心なことに答えろや!」


 思わず苛立つ俺。ダイヤどもと異なり、不快度はぐんを抜いている。


『ンー? 気になるカ? そーだろそーだろ。我は貴様に“次元の狭間”に飛ばされてナ。そこに“意外な先客”がおったのだ』


 クソ……! 完全に『誤算』だ。虚空渦を以てしても、コイツの体力を削り切れなかったとは!


「……それが魔王だったのか?」


『その通りッ! まさかかつて、我と異界を二分した宿敵がおるとは思わナンだ。彼奴きやつめも我にさぞ驚いた。こんな所で何しとんや? と問い詰めてきおったワ』


 その先は、なんとなく予想できた。要するに『会ってはならない』者同士が、接触してしまった。


『お互いの事情を知った我らは、人間も決して侮れない相手だと認識を改めた。そこで我は、“ある提案”を魔王めに持ち掛けた。とどのつまり、打倒人間の為に一時的に“同盟”しようとナ』


「もうやめて……」


 アリシアが、小刻みに震えていた。が、魔王竜はお構いなしに続けた。


『よもや魔王たる者が、あっさりスキを見せるとはナ。我は遠慮なく、いただきま~す! したわ。無論、多少の抵抗にあったが彼奴も“封印”で、かなり弱体化シテおった。魔王めを取り込むことで、彼奴の“知識”も吸収できた。いやはや、なんとも愉悦至極……』


――ゴワァアァアアアアッッ!!


 魔竜王が言い終わる前に、猛烈な殺意オーラが吹き荒れた! これは終焉の焔メガフラッシャーか……!?



「死に晒せぇえぇええええええええっ、外道があぁああああああああああああああああっっ!!」 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る