第28話 『封印』

「やっと鬱陶うっとうしいGがいなくなったか」


 俺たちはゆっくりと、将軍ジェネラルの方に振り返った。


「G? 誰だ其奴そやつは? 小生の『記憶』にそんな存在モノはおらぬぞ?」


 Oh……速攻で『存在』を消去けされるとは。


「……それより、うぬだ」


 将軍は俺を真っ向から睨みつけた。こいつ強ぇわ……相対しているだけで、圧が伝わってくる。


「うぬは何者だ? 一瞬にして、異界精鋭の我が部隊を壊滅させるとは」

「何者と言われてもな……まー分かりやすく言えば、異邦人ってところか」


 俺の返答に将軍は、アゴをしゃくった。


「フム? アリシア嬢が、定期的に行ってた『召還の儀』か。下手な弾も、数撃てば当たったという例か」

「……うっさいわね。そもそも召還だって、魔王軍の戦力増強の為でしょ?」


「そうでもあるが、スカウトに失敗したのは事実であろう?」


 将軍の鋭い突っ込みに、アリシアは「ぐぬぬ……」と歯噛みした。


「タクミ・セナだったか? うぬを改めて、我が魔王軍にスカウトしよう。うぬなら小生と並んで、魔王様の左腕になれる。小生が保証しよう」


「あいにく俺は、異界ここに長居するつもりはないんでね。さっさとレティシアの母さんを救出たすけて、おいとまさせてもらうわ」


「フム? あの女の石化を解くと申すか。さすれば、我が魔王様も封印から解かれるであろう」


「「なっ…………っっ!?!?」」


 サラリと爆弾発言をした将軍に、俺とレティシアは驚きを禁じ得なかった。一方、アリシアは何故か俯いていた。


「き……貴様、知っていてたばかったというのか……!?」


 レティシアが憤慨するも、アリシアは黙ったままだ。道理ですんなり異界まで来れたと思ったら、そんな画策ウラがあったのか。


「なによ、悪い? 魔王パパの復活は、魔王軍の悲願なんだから」

「貴様という奴は……地上がどうなってもいいのかっ!?」


 一触即発の二人。やはりこの問題は、避けて通れないか。なんとか人間と魔族が、平穏に暮らせる手はないのか……。


「やっぱ魔王が復活したら、地上侵攻を再開するのか?」


「当然であろう。そもそも『弱肉強食』こそが、本来の在るべき姿。タクミ・セナ、うぬも『頂点』に立つ者なら理解わかるであろう?」


「俺が頂点……? そんなつもりはないし、興味もないが」


「フッ、度が過ぎた謙遜だな。うぬの強さは、この世のものとは思えん。最早、魔王様でも太刀打ちできるかどうか」


 おいおい、それはいくら何でも盛り過ぎだろ……。


「故に……!」


 将軍が天にえて、再び軍勢を展開した! 同時に天から紅蓮の馬が降り立ち、将軍がまたがる。


「小生は敢えて、うぬに挑もうぞッ! たおすのが叶わなくても、消耗させる事は可能ッ! 最終的に魔王様が勝利かてば善しッッ!!」


 なんかアリシア以外で、初めてまともな奴が出てきたな。敵対するのが惜しいくらいだ。お望み通り受けて立とう、全力でな……!

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