第21話 押し掛け皇女

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 ◆ ◆ ◆



「えっと……? 『追放』って、あの・・追放だよな?」

「他にどの追放があるのよっ!?」


 フム? 追放というのは定番だと、主人公がパーティーからされるものだが?


「急にまたなんで? そもそも皇女なのに追放されるのか?」


「私が訊きたいわよっ! なんか知らないけど、魔王パパの部下の将軍ジェネラルって奴がお冠でさ……。敵に背中を見せる軟弱者は、魔族にあらずッッ!! とか、なんとかで追い出されたのよ……」


 アリシアは、よよよ……と泣き崩れた。


「これも全部、アンタのせいよっ! だから、責任を取りなさいっ!」

「なんでやねんっ!? そもそも攻めてきたのは、そっちだろっ!」


「タクミの言う通りだ。涙目で逃走した敗北者に、何も語る資格はない」


 レティシアが、涼しい顔で毒を吐いた。まるでゴミを見るような目で、アリシアを見つめる。


「うぅ……私はどーすればいいのよ? 他にいく宛なんてないし……」


 知らんがな……てか、魔族ってこんなのばかりなのか?


「……決めたわ」


 泣いてたと思ってたアリシアが、顔を上げた。てか、立ち直るの早くね?


「今日から王城ここで働くことにしたわ! タクミの『身の回りの世話』は全部、私がやる!」


「「は…………??」」


 唐突過ぎる宣言に、俺とレティシアはポカンとなった。


「待て待て待てっ! なんでそーなるっ!?」

「その通りだ。そんな勝手が、許されるとでも思ったか?」


「もう決めたことよ。闇の皇女たる私がお世話してあげるんだから、有り難く思いなさいよね!」


 いや、そこ勝ち誇られてもな……。


「貴様、ふざけるのも大概にしろ。タクミがそんな勝手を許容ゆるすわけがない」


「でもなぁ……放置してっと、何しでかすか分かんねーし。それに追放されたってことは、もう闇の皇女じゃなくね? 今はニー◯ってワケか」


――ピキッ


 俺の一言で、アリシアが硬直した。あら? 地雷踏んだか?


「なななな……よりによって、この私をニー◯呼ばわりするなんて……! 屈辱の極みだわ!」


「いや、そー言われても現にニー◯じゃん」


「まぁ無能ほど、無駄にプライドが高いからな。流石の私も笑いを禁じ得ないぞ、ククッ……」


 こんなレティシアも珍しい。スルースキルだけではなく、煽りスキルも一級品とは。


「うるさいうるさいうるさーいっっ!! アンタたち、見てなさいよっ!? いずれ目にものを見せてあげるわ! その時泣きついても、もう遅いんだからっ!」


 人んに転がり込んできた割には、随分態度がデカいな。結局、アリシアは監視つきで面倒を見るハメになった。


 こんなにポンコツ化するなんて、誰が予想できただろうか?

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