第22話 『子作り』宣言

――アリシアが押し掛けてきて、早一週間。


 レティシアは即追い出す気満々だったが、意外にもアリシアはすぐに適応し、今は侍女じじょの仕事をしている。


 宣言通り主に俺の『身の回りの世話』を担当した。掃除、洗濯や料理など、意外(?)にも器用にこなした。



――そんなある晩。


 俺は風呂に入った後、自室に向かっていた。城の再建は、予想以上のペースだ。帰還方法については、未だに進展なしだ。


 俺は部屋に入り、すぐに『違和感』を覚えた。それもそのハズ……ベッドが『不自然』に盛り上がっていたのだ。


「えっと……?」


 俺は勢いよく、掛け布団を剥がす。中には、あられもない姿のアリシアが横になってた。


「あっタクミ、やっと来たのね。待ちくたびれて、寝るところだったわよ?」


「……何やってんだぁお前ェ!!」


 室内に響く俺の絶叫。これには某麦わらもビックリだ。


「何って言ったじゃない? 『身の回りの世話』は、全部私がやるって。当然、夜伽よとぎも含まれてるわよん♪」


「わよん♪ じゃねぇえぇ! んなの誰も頼んでないわ!」


「あら? あんなに強いのに初心うぶなのねぇ。もしかして童◯?」


――ピキッ


 アリシアの一言に硬直する俺。


「あらら? 冗談のつもりだったけど、本当に童◯なのね。タクミの弱点発見♪」


「だだだだ……誰が童◯やねんっ!?」


「フフ……人のことは、散々ニー◯とか煽っておいて。可愛いわ」


 アリシアはさっと、俺の首に手を回した。そのままベッドに俺を押し倒す。


「アアアア……アリシアっ!?」

「タクミ……夜は長いから、楽しみましょ?」



「――そこまでだっ!」


 バァン! 部屋の扉が勢いよく開いた!


「レ……レティシアっ!?」


「ちょっとぉ? イイところだったのに何よ? 大体、人の部屋に入るときはノックしなさいよ」


「貴様、どの口で言っている? 私はタクミの悲鳴が聞こえたから、駆けつけたまでだ」


……俺、そんなに情けない声上げたっけ?


「私には、重要な『使命』があるのよ? 邪魔しないでよね」


「使命……だと?」


「そ、タクミとの『子作り』よん。メイクラブってやつね♪」


――――ピキピキッッ!!


 空間に振動が走った。なんか聞こえてはいけない音が聞こえたような……(冷や汗)


「きききき……貴様っ、なんという破廉恥なことを……!?」


「なんで顔を赤くしてるのよ? 強いオスとの子を望むのは、女としての本能でしょ?」


「いきなり飛躍し過ぎだっ! そもそもタクミは、私の『相棒パートナー』だぞっ!? 恥を知れ、この泥棒猫がっ!」


「あらあら? 皇女サマともあろう御方が、随分と『お上品』ですこと(笑)」


「貴様が『その気』なら、私にも考えがある。明日、タクミとの『婚約』を発表するっ!」


 はぁ!? なんでそーなるっ!?


「どうぞ、ご自由に(笑)私は『既成事実』を作って、“婚約破棄”に追い込んでやるわ!」


「貴様は他にやる事はないのか? どう言おうが、婚約を成立してみせるっ!」


「子作りが先よっ! 最低30人は欲しいわね」


 なんの争いしてんだよ……。


「もういいっ、これではらちが明かない。アリシア・グレイス・ヴェルサス、貴様に『決闘』を申し込むっ!」



 唐突な宣言……決闘って、えぇ……!?

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