第17話 世界の半分
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◆ ◆ ◆
「レティシアの……親族?」
俺はチラリと国王を見た。国のトップたる王は、隅っこで大臣と抱き合って震えている。とてもじゃないが、魔王を封印できる『器』には見えない。
「魔王を封じたのは……私の母だ……」
「へぇ? 私の『具現化』に抵抗できるなんてね? 我が父を封じた、女王の血を引いてるだけはあるわ」
「女王……?」
「……ヴァンクリーフ王国は、母が治める女王体制なの。父は所謂『
あー成程、しっくりきたわ。それならそうと、早く言ってほしかったね。
「……母は魔族の地上侵略を察知して、討伐軍を率いて異界に乗り込んだわ。そして、魔王の『封印』に成功した。けれども……」
レティシアの顔が歪んだ。
「封印に力を使い果たした母は、帰らぬ人となったわ……。魔族さえ現れなければ、こんな事にはならなかった……!」
「フッ……何を言い出すのかと思えば。そもそも地上は、アンタ達人間が治めるのに相応しくないわ」
「……どういう意味だ?」
アリシアは俺に対し、そんな事も解らないの? と呆れ顔だ。
「だってそうでしょ? より強い
「母を亡き者にしておいて、よく言う……!」
レティシアは、今にも飛びかかりそうな雰囲気だ。そうしないのは、アリシアの実力が未知数だからだろう。
「それに魔族が地上の覇権を握った後、人間を悪いようにはしないわ。下手に逆らわなければ、私たちがしっかりと『面倒』を見てあげる。何事もケースバイケースよ」
しゃあしゃあと言い放つアリシア。まるで家畜を管理するような感覚だな。
「それにタクミ。魔族に協力するなら、あなたの望みを何でも叶えるわ。それこそ世界の半分、この地上をあなたに任せてもいいわ」
出たよ、ボスお得意の勧誘。誰がその手に乗るかっての。
「まぁ別に世界の半分じゃなくてもいいわ。あなたが望んでる『元の世界』への帰還とか、ね?」
この女、なかなか用意周到だ。俺の要望も把握済みってワケか。
「どうするタクミ・セナ? 私と組んだ方が、よりあなたの望みは叶えやすいわ」
「タクミ……」
レティシアは、不安げに俺を見つめた。俺はボリボリと頭を搔く。
「あのなぁ……余所様の城を、こんな風にした連中を信用できるか? お前は部下にどういう教育をしてんだ?」
「……ダイヤの奴、相当ヤラかしたみたいね。こりゃ処刑じゃなくて私刑だわ。それにあなたの回答も想定済みだしね。だから……」
――ブワァアァアアアアッッ!!
アリシアの長髪が逆立ち、異質なオーラを放った! そう来ると思ったよ。
「タクミ、私はね? 欲しいものは、手に入れないと気が済まない
「やってみろよ。あんま人間を舐めるなよ?」
さて……招かれざる客には、速やかにご退場願おうか。
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