第11話 『伝承』
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◆ ◆ ◆
ハードな『初任務』を終えた俺は、レティシアと共に無事に帰還できた。一晩ぐっすり寝た俺は、レティシアと落ち合う為ギルドに向かった。
◇ ◇ ◇
ギルドでレティシアと合流した俺は、まず受付のロゼさんに任務報告をした。案の定、ロゼさんはブチ切れ今度ダイヤを発見したら、速やかに連絡してほしいと念を押された。
俺とレティシアは、ギルドで目立たない席に腰を下ろした。人には聞かれたくないようだ。
「さて……積もる話は色々あるけど、まずダイヤとセレナなんだが……」
「魔族……だったんでしょ? 闇竜と戦いながら、あなた達の会話は要点だけ聞いてたわ」
なんと……あの状況で器用なマネするな。
「それなら話が早いな。で、あの二人が『気になる』ことを言ってたんだが……」
レティシアは「そうね……」と一旦言葉を切り、やがて意を決して話し始めた。
「既に聞いてると思うけど、私はヴァンクリーフ王国の第一皇女よ。本名はレティシア・ユニヴェール・ヴァンクリーフ」
「ちょ……ちょっと待ってくれ」
ストップをかける俺を、レティシアは手で制した。
「タクミ、あなたの言いたい事は分かるわ。なぜ皇女たる私が、身分を隠して冒険者になったのか? と訊きたいのね。それはね……」
レティシアは、俺をじっと見つめながら続けた。
「
は…………? 話が飛躍し過ぎて、俺はきょとんとなった。そりゃそーだ……まだレティシアと出会って一週間しか経ってないのに、いきなり世界を救ってほしいときたもんだ。
「俺を探してたって、それは一体……?」
「ごめんなさい、話が突飛すぎたわね。順を追って話すわ。私の王国には、古くから伝わる『伝承』があってね。『彼の地より
フム……? 『彼の地』というのは、別世界のことだろうか? 確かに俺は当てはまるが……
「でも『異邦人』って、俺以外も多数いたんだよな? なんで俺が、世界を救うことになるんだ?」
「それはタクミ、あなたの『創作』スキルよ」
「俺の創作スキル……?」
「ええ。伝承では『その力は
いやぁあの状況なら、誰でも必死扱くでしょ。えらい持ち上げられてるな。
「……俺を買い被り過ぎじゃないか? まぁ俺自身も出来が良すぎたとは思うが」
「タクミ、あなたは自分を過小評価し過ぎよ。あなたの力は、戦局すら左右するわ。私と一緒に魔族と戦ってほしいの……!」
レティシアは、俺から目を逸らさなかった。うーん……必要としてくれる事は嬉しいが、俺としてはそう簡単に首を縦に振れないな。
「……俺にとってのメリットはなんだ? あいにくこっちも、
「もちろん見返りもあるわ。タクミ、あなたは元の世界に還りたいのよね? 私の王国には古い文献が沢山あるわ。その中には、異邦人について記している書物も多数ある。それらを紐解けば、帰還の手掛かりを掴めるかもしれないわ」
成程……
「分かった。ただし、俺は必要以上にこの世界に干渉しないからな? そこは頭に入れといてくれ」
「承知したわ。そうと決まればタクミ、早速いきましょう」
は……? 行くってどこに? 首を傾げる俺に、レティシアは手を伸ばした。
「――私の祖国、ヴァンクリーフ王国へ!」
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