第8話 『刺客』

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 ◆ ◆ ◆


 俺は『初任務』で、ダンジョンに潜ることになった。前日の夜には、部屋に所狭しと並べられた荷物の数々。レティシアから金を預かり、色んな物を買い揃えた。


 大型パックに詰め込んだが、これじゃ部屋から出られんよな。そこで『創作』スキルの出番だ。この三日間、俺なりに試行錯誤して色々と創作した。その一つが『収納』だ。


 これは『異世界もの』で、お馴染みの『アイテムボックス』だ。これくらいの荷物なら、楽々と収納できる。収納を終えた俺は、明日に備えてさっさととこについた。



 ◇ ◇ ◇


――翌朝。


「おはようございまーす」

「はよう……って新人ルーキーッ! お前、荷物はどーしたッ!?」


 挨拶すると、ダイヤが俺を指差しながら喚いた。レティシアとセレナも何事なの? と俺に注目した。


「いや、荷物はちゃんと持ってきましたよ? 仕舞って・・・・あるだけッス」


「ハァ? ウソならもっとマシな嘘を……」


 俺が指パッチンをすると、即大型パックが目の前に現れた。これには俺以外、メンバー全員が驚いた。


「……信じられないわ。一体、何をしたの?」


「何って、俺の『創作』スキルですよ。話してませんでしたっけ?」


 メンバーには初顔合わせの時、どんなスキルが使えるかなども話した。皆、ふーん? 程度にしか聞いてなかったが。


「でもあなた、確か攻撃系のスキルしか使えないって言ってたじゃない?」

「三日前まではそうでしたけどね。準備期間中、色々と『創った』んッスよ」


「「「は…………??」」」


 一同、きょとんとなる。あれ……? なんかヘンなことでも言ったかな?


「創った……とは、どういう意味かしら?」


「いや、そのままの意味ッスよ。『具体的』にイメージ出来れば、出来上がりッスね」


「出来上がりってお前、ンな三分クッキングじゃあるまいし……」


 まだブツブツ言ってるダイヤ。てかその用語、どこで覚えた?


「……まぁ実際にの当たりにしたらね。けど、なかなか考えたじゃない? これなら狭い通路も問題ないしね」


「よかったじゃねーか、ルーキー。ただの『荷物持ち』にならなくてよ?」


……なんか褒められてるのか、ディスられてんのか判らんな。



 ◇ ◇ ◇


 『一角獣』のダンジョン攻略が始まった。流石にギルドの看板パーティーだけあって、出てくる魔物は物の数ではなかった。


 俺も色々、創作スキルを試すことが出来た。特に野営で、“料理”スキルは大変重宝された。



――そして、攻略開始から三日後。


 『一角獣』は、ダンジョンの最奥さいおう部に到着した。ちなみにレティシアによると最短で、他のパーティーなら優に三ヶ月は超えるという。


 俺たちの眼前には、いかにも意味ありげな巨大な扉。この奧に、今回の依頼の討伐対象がいる。扉の前からでも強烈な『殺気』がひしひしと伝わり、これは締めて掛かる必要がある。


「……みんな、この奧に討伐する『ベヒーモス』がいるわ。強敵だけど、私たちが力を合わせれば負けないハズよ」


 俺たちは頷き合って、ボス部屋に入る。


――バタンッ!


 しばらく進むと、扉が強制的に閉まった。成程……『倒すまで』脱出できない一方通行か。


 グルルル……! まだ交戦もしてないのに、俺は額から汗が噴き出た。こいつは強い……対応を間違えたら、ここで詰むぞ。


 鋭く光る紅い双眸そうぼう。同時にバッ! と部屋中が明るく照らされた! ボス戦のBGMでも掛かれば、テンションが上がるんだけどな!


 目の前に現れたのは、漆黒の竜。あれ? ベヒーモスって、こんな魔物ヤツだったっけ? ロゼさんから貰った資料と全然違うし。


「そんな……話が違うわ! それ以前に、なんでコイツがここ・・に居るの……!?」


 レティシアの叫びは、絶望に近かった。


「……そんなにヤバい奴なんッスか?」



「……ヤバいとか、そんなレベルじゃないわ。存在が天災級、異界最凶の『刺客しかく』……闇竜ロードオブドラゴン!」

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