第2話 『創作』スキル

 俺は瀬名 拓海せな たくみ、底辺作家で『異世界』にいる。今しがた“スライム”に遭遇して、咄嗟に思いついた『技』で倒した。

 直後にもう一度、同じのを繰り返したらまた出来たから、“偶然”じゃなかった。


 どうやら手帳を『持った』状態なら、色々と『スキル』を生み出せるようだ。

 しかもさっきの熱閃ファイアボルト……どこかで見たかと思ったら、俺が手帳に書いてたスキルだった。


 まさかムダだと思ってた『知識』が、俺自身を助けるとは……場合によっちゃ『長く』世話になりそうだ。


 その後、道中の魔物で色々試してみた。鋭いかまいたちを飛ばす『風刃エアロカッター』、汎用性の高い『蜘蛛糸ウェブシュート』など。

 この辺の魔物が弱くて助かった。いずれも一撃で倒せたので、当面はこれで大丈夫だろ。


「ん……?」


 俺はここで遠方から、黒煙が上がっているのを発見した。テンプレ展開では、通りすがりの馬車が襲撃されてるってところか。

 俺は一瞬迷ったが、現場にいくことにした。厄介ごとは御免だが、早く人に会ってこの世界について知りたかった。



 ◇ ◇ ◇



「ヒャッハー☆ ヒャハハハハッ!」


 青空の下、響き渡る世◯末の雄叫び。ならず者って、どこにでもいるんだな(呆)


「ひぃいぃいいっ!? 命だけはお助けをっ!」


「そいつぁオメーの態度次第だなぁ? 大人しく出すモン出せば……ぐわたぁ!?」


 俺に襟首を引っ張られ、チンピラは後ろに吹き飛んだ。


「あんだぁ!? どこのドイツだッ! 俺らを金刃虎コンバトラーって知ってのローゼキだろうなァ!?」


……なんだよ、その壊滅的なネーミング。こいつら、そこら辺の魔物より弱いだろ。


「あー、一度だけ警告するな? バカなマネしてねーで働け」

「あ"あ"んッ!? 俺らに働けたぁナニ様だッ! しばくぞ我ッ!?」


 問答無用で襲ってくるチンピラども。ある意味、厄介だな……弱いのと戦うのって。殺傷能力が低いスキルがあってよかった。

 俺は蜘蛛糸ウェブシュートを張り巡らせ、あっという間にチンピラどもを拘束した。


「な……ナンだこりゃあぁああッ!? ネバついて身動きがとれねぇ!」

「下手に暴れない方がいいぞ? ますます絡まって、ほどけなくなるからな」


 ジタバタするチンピラどもを放置して、行商と御者に「大丈夫ッスか?」と声を掛けた。


「Oh! ユーはまさに命の恩人っ! 大したお礼は出来ませんが、何なりとお申し付けクダサ~イ」


……なんだか妙な行商だが、丁度いい。俺は近くの街まで相乗りさせてもらう事にした。もちろんお代は結構とのこと。


「待てコラッ!? 俺らはどーナンだっ!? このまま魔物のエサになれってか!?」

「さぁな? ま、運がよけりゃ誰かしら通って、通報してもらえるだろ」


 尚も喚いてるチンピラどもを放置して、俺らは隣町へと向かった。やっぱ、日頃の行いって大事だわ。

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