1047 貢がせる女

 只今、絶賛、眞子が倉津君にやっている勉強方法を公開。

興味がありましたら、前話を読んでみて下さい(笑)


***


「あぁっと、もぉこんな時間だね。……はい。じゃあ、今日の勉強は、これでお仕舞いね」

「ハァ~~~、面白かったなぁ戦国群雄伝。金柑頭(明智光秀)も、禿鼠(豊臣秀吉)も、うつけ(織田信長)野郎も最高だな」


大名の渾名な渾名。



「でしょ。……教科書を見ながら、必至に憶えなきゃって堅苦しく考えるより。こうやって楽しく勉強をした方が、暗記も捗るってもんでしょ」

「だな。あれほど面倒臭いと思ってた歴史の暗記が、キッチリ知れば、こんなに面白いとは思わなかったもんな。マジおもしれぇわ」

「ふふっ。そっかそっか、そりゃあ良かった」


いや……こう言っちゃあなんなんだが、オマエは天才だわ。

勉強嫌いの俺を、此処まで簡単に楽しく勉強させるなんてマジで天才だよ。


スゲェよ。


けど……疑問が残る。



「なぁ、眞子」

「うん?」

「あのよぉ。オマエも、この勉強の仕方してるのか?」

「してないよ。なんで?」


うん?してないとな?


んじゃあ、なんで、こんな奇妙な勉強方法を思い付くんだ?



「はぁ?じゃあなにか?俺の為にワザワザ考えてくれたって言うのか?」

「うぅん。それも違うよ」

「じゃあ、どうやって……」

「うん?あぁ……この勉強方法はね。以前、私がやってた方法なのよ。だから、真琴ちゃんにも合うかなぁって思って、試してみただけ」

「あぁ、なるほどなぁ。段階の話か。それに同じ細胞で構成されてるなら、多少は似た所が出るかも知れないって話か」

「そぉそぉ。勿論、そうは言っても、確固たる確証は無かったんだけどね。私も、元々勉強が、あんまり好きじゃない感じだったから。そこを崇秀に相談したら、このやり方を教えてくれたのよ」

「うん?……じゃあ、元々は、あのアホンダラァが考えたものなのか?」

「そう言う事だね。なんでもこれって、崇秀の小学校の時のやり方らしいよ」

「……マジかよ」


あのイカレタアホ王子。

そんな餓鬼の頃から、こんな訳の解らない効率の重視の勉強の仕方を、自分で思い付いてやがったのか。


アイツだけは、マジで病気も良い所だな。



「うん、大マジみたいだよ。だから真琴ちゃんは、この勉強の仕方の3代目襲名だね。おめでとう三代目」

「オイオイ、なんかヤクザみたいな言われ様だな。……まぁ、ヤクザみたいなもんだがな」

「あっ、ごっ、ごめん。そう言う意味で言ったんじゃないんだよ。……そう言うつもりじゃ」


おぉ……しょぼくれんな、しょぼくれんな。

んなもん位なら言われ慣れてるから、微塵も気にしちゃいねぇからよ。


それが俺の……ディスティニー(運命)だからな。



「あぁ、いや、今更、そこを気にすんなよ」

「ごめんね。私って……ホント、無神経だよね。直ぐに調子に乗って、こんな事を言っちゃうんだよね。本当にごめんね」

「いやいや、本当に気にすんなって。こんなもん、みんな思ってる事だから、慣れてるっての」


嫌な慣れだがな。

寧ろ、慣れたくもないもんだったんだがな。


だが、産まれた家が家なだけに慣れるしかない。


これぞ俺の……ディス……間抜けだから、二度は言わねぇぞ。



「そんなの……嘘だよね。私、真琴ちゃんと14年間も一緒に過ごして来たんだよ。そう言うのが、一番嫌だって言う気持ちが解らない訳がないじゃない」

「あぁ、まぁなぁ。……そう言われれば、そうだったな。あぁ、けどよぉ、これバッカリは仕方ねぇんじゃねぇか。成る様にしか成らねぇっての。だからもぉ気にすんなな」


仕方が無いのさ。


けどよぉ。

奈緒さんや、素直や、ステラや、眞子。

それに鬱陶しいが崇秀の馬鹿や、山中のアホンダラァ。

その他にも言い出したら切りが無い程、大勢の人間が、こんなヤクザな俺でも平然と受け入れてくれる。


だったらもぉ、それだけで十分じゃねぇかよ。


寧ろ、俺なんかには過ぎたる者達だ。


だから今は、昔ほどは気にしてねぇぞ。



「でも……」

「良いから、良いからよぉ。こんなもん、マジで、今に始まった事じゃねぇんだからよ。俺にとっちゃあ、今更でしかねぇんだよな」

「あぁ……」

「……つぅか、んな、どうでも良い事よりもよぉ眞子。あの新しいベースだ。オマエ、スッカリ忘れてただろ」

「……あぁいや、忘れてた訳じゃないんだけどね。まだ調整段階のベースだから」


早いな。

やっぱり、コイツも気持ちの切り替えが早い。

こう言う頭の切れる連中ってのは、比較的、直ぐに気持ちの整理が付けられる。


だから、話の転換期だけを見誤らなければ、上手く話しを合わせてもくれる。


まぁ流石に、今の言動は眞子が気を遣ってるのだけは丸解りだがな。



「調整中だと?んなもんペグ弄って、音の調整すりゃあ直ぐに終わる作業じゃねぇかよ。なに言ってんだオマエ?」

「あぁ、そう言う単純な話じゃないんだよね。このベース、ちょっと特殊なベースでね。大それとは弄れないんだよ」

「高級品って奴か?」

「あぁ、うん。専門店でのカスタムしたベースだから。多分、本体込みで、安く見積もっても5~60万はするかなぁ」

「ブッ!!なんじゃあ、その金額は!!」


なんだかなぁ。

これって、そんなに高いベースなのか?


いやまぁ、そりゃあよぉ。

物が良いなら100万だろうが、200万だろうが、それだけの価値が十分にして有るんだろうけどよぉ。


『女子中学生の持ち物じゃない事』だけは、日を見るよりも確かだよな。


まぁ以前あっしも。

数百万する『ZEMAITIS・フロント・ディスクベース』を、金持ちのボンボンからカツアゲして所持してた事はありやしたが。


あれは明らかに、あっしには過ぎたる物でやしたしねぇ。



「あぁ、因みにだけど、いつも使ってる『79 Sting -rayちゃん』も、その店のカスタム品だよ」

「マジでか!!つぅかオマエ、何所から、そんな金が湧いて来たんだ?」

「あぁっと、私自身は正真正銘の貧乏さんだよ。でもね。これは運が良いって言うのかなぁ?ショップの店長さんのご好意で……その……なんて言うか……」


オイオイ、こいつマジかよ?

たった1年で、ドンだけ人にモノを貢がせてやがるんだよ。


とんでもねぇ悪女だな。



「オイオイ、オマエ、それ、人としてどうよ?」

「あぁ、いや!!誤解しないでよ。此処でも、ちゃんと『ローンにして下さい』って言ったんだよ!!でも、なにを言っても相手さんがOKしてくれないんだもん」

「……っで、貰ったと」

「あぁ、いや、あのね。そこは貰ったんじゃなくてね。ベース自体は持込だから、カスタム料だけだよ」

「それでもよぉ。話を聞いてたら、カスタムだけでも結構な金額が掛かんだろ。一体、それ1本に幾ら掛かってるって言ってたんだよ?」

「えぇっと、確か40万ぐらいだったかなぁ」

「ブッ!!」


……スゲェな。


40万のカスタム料をカスタム屋の親父から貢がせた上に。

崇秀からは、60万のベースを貢がせるなんざ有り得ない事だぞ。


たった1年しか生きてない女子中学生のクセに、この女、早くも合計で100万以上も男から貢がせてやがる。


……なんて女だ。


それに、叩けば、まだなんか出てきそうな勢いだしな。


おっそろしい女だな。



「あぁ、でもね。あの、ちゃんと裏話が有るんだよ」

「なんだよ、その裏話って」

「いやね。このベース自体も頂いた物なのよ……」


+収支が入りましたぁ!!


『79 Sting -ray』なら、物が良かったら20万位するからな。

現時点で120万突破しました。


おめでとう!!



ヒッ、ヒィ~~~~!!



「それでね。まぁ全米45箇所ツアーの後に、奈緒ネェのライブツアーに付き合ったんだけどね。その時、崇秀の紹介で、テキサスのダラスに在る、その、これを作ってくれたカスタムショップに行ったのよ。そしたらね。このベース、元々が、そこの商品でね。カスタムする前に30万で販売したんだって……」


俺とした事が金額を見誤ったか。


どうやら『79 Sting -ray』の金額は30万だった様だな。

収支に+10万して置かねば。



「でねでね。そこの店長さんは、カスタム料を先に貰ってるから、無料でカスタムするって言う話になったのよ。だから、貢いで貰ってる訳じゃないんだよ」


うん……話に無理が有り過ぎて、信用しないとまでは言わないが、疑惑塗れだな。


まぁ兎に角だ。

結論的に言えば、オマエさんは、このたった一年間で130万もの金額を貢がせた事だけは確かな訳だな。


ホント、コイツだけはオッソロシイ女だな。



「なるほどなぁ、そんな経緯があったんだな」

「納得してくれた?」

「あぁ、納得したなぁ……オマエって、スゲェ悪女だわ」

「あり?」


おっ!!それ、可愛いな。



「おぉ!!」

「えっ?なになに?今ので、なにに納得したの?」

「いやな。その『あり?』って奴に、みんなが、オマエに首っ丈になる訳だな。って思ってな」

「あれ?そうなの?奈緒ネェと、崇秀は、可愛くないからヤメロって言ってたよ」

「あり?」


おっ……感染した。


それにしても、まぁなんだな。

奈緒さんも、崇秀も、意外と『萌』ってもんが解ってねぇみてぇだな。


女の子の『あり?』って表現は有りに決まってるだろうに!!

特に眞子みたいな美少女がやったら、その価値が跳ね上がるって言うのに……ホント解ってねぇな。


なんて思ってたら『コンコン』って、誰かがノックした。


静流さんか?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


勉強の疲れを癒すのに一番効果的なのは雑談。

なので勉強するのであれば、家族同士でも良いので、こう言う時間を設けた方が良いのかもしれませんね♪


ただまぁ、この効果があるのは『受験勉強でイライラしてない事』が前提条件に成りますので。

自分にあった勉強方法を見付け、効率良く勉強が出来てる事を祈るばかりです(笑)


さてさて、そんな雑談をしている中。

どうやら崇秀の家の中にある眞子の部屋に、誰かが訪ねて来た様なのですが。

此処は倉津君の予想通り、静流さんなのか?


次回はその辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾



……それはそうと、眞子、この一年でかなりの金額を貢がせてましたね(笑)

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