1045 ぬぉ……これはなんか緊張するな
今日、勉強する場所として選ばれたのは、新しく引っ越した崇秀の実家だった。
そして此処を選んだ理由としては、眞子自身が、静流お母さんにも可愛がられていて『設定上、クローンの立場である自分も幸せだよ』っと言う事を倉津君に伝えたかったからでもあった。
***
まぁそんな、やり取りがあった後、眞子の部屋らしき所にお邪魔する事に成ったんだが。
まず部屋に入ってからの第一印象は、部屋全体からスゲェ甘い良い匂いがする。
そんで次に気になったのが、全てが綺麗にコーディネートされてる上に、矢鱈と整頓されてやがる事。
その上、当然の様に床も綺麗に掃除されている。
敢えて、此処を大袈裟に言うなら『塵1つ落ちてねぇ』って表現がピッタリの当て嵌まる様な気がするぐらい綺麗な部屋だ。
この辺は、流石、几帳面な崇秀の彼女だと言え様。
それにしてもよぉ。
この部屋って、なんか色々女の子っぽい物が沢山置いてあるから、妙に緊張するんだよなぁ。
俺、こう言う女の子女の子した部屋って、妹の真菜の部屋以外には入った事ねぇもんだからよぉ。
って言うのもな。
俺の愛すべき奈緒さんは、あんまり、そう言う女の子っぽい物を置きたがらない人だろ。
だから、部屋に入った時の感覚が全然違うんだよな。
ホント、無駄に緊張するなぁ。
まぁそんな訳でだ。
俺は扉を潜ってからというもの、馬鹿みたいに、その場にズッと突っ立っていた。
「うん?真琴ちゃんどうかしたの?そんな所でずっと突っ立ったままで?」
「あぁ、いや、なんて事はねぇんだけどな。同じ女子なのに、オマエの部屋と奈緒さんの家とでは全然イメージが違うなぁっと思ってよぉ」
「あぁ、そこかぁ。……けど、そりゃそうだよ」
「なんでだよ?奈緒さんが女子っぽくねぇとでも言いたいのか?」
「違うっちゅうの。奈緒ネェは、生活を重視して家をコーディネートしてるから、基本的に不要な物は余り置きたがらない。でも、この部屋は、女の子の無駄を再現した様な部屋だから、些か感じが違う。それだけの事だよ」
無駄なぁ。
確かにぬいぐるみとか、その他諸々の商品は一般的に考えたら無駄ではあるなぁ。
でも、こう言う無駄なら有りだよな。
女の子としてのイメージが、かなり良いもんな。
あぁただし、此処でキッチリと言って置くがな。
俺としてはだな。
さっきも言ったが、こう言う女の子女の子した部屋は無駄に緊張するから、奈緒さんの家の方が、大分、落ち着くし、スゲェ好みなのだけは言うまでもない。
「なるほどなぁ。そりゃあ違いが出るってもんだわな」
「でしょでしょ。だから、これはそんな程度の話なんだよ。要するに個性の問題だね」
なんて眞子が言っていたので、どれだけ部屋の中に無駄な物が有るのか見回してみたんだが。
ぬいぐるみに、可愛らしいクッション、それに沢山の小物類が上手く部屋の中に配置されていたんだがな。
その中にあって、一箇所だけ、妙に異形を放つ商品があった。
それって言うのはな……
「オイ、眞子。なんだよオマエ、新しくベースを買ったのかよ?」
そぉ……なんか矢鱈と古臭いハードケースに入ってるであろうベース。
まぁそうは言っても、眞子がベーシストである以上、ベースが此処にある事自体は決して不自然な事ではないんだが。
この女の子女の子した部屋にあって、異様なまでのヴィンテージ感を醸し出してる商品だから、矢鱈と目につくんだよな。
なんか高そうだしよ。
普通の女子中学生が持つような商品じゃない様な気がしないでもないしな。
「あぁ、それ」
「おぅ、なんだよそれ?」
「これは、なんて言うか……崇秀に買って貰ったんだよ」
はい?ちょっと待て。
今、オマエさん、なんて言った?
俺の聞き違えじゃなきゃ……『崇秀に買って貰った』とか、有り得ない様な事を言わなかったか?
「ブッ!!買って貰ったってなんだよ?幾らの商品なのかは知れねぇけど、オマエ、アイツにも貢がせてるのか?」
「ちょ!!もぉ、イチイチ人聞き悪いなぁ。それは元々、崇秀を通して、私が崇秀の知り合いに注文を頼んだ商品なの。だけど崇秀が、先にお金を払い込んじゃって『ローンを組んで』って私が散々言ってるのに、崇秀が『その分、頑張れ』って言ってお金を一切受理してくれなかったから、そう言う結果になってるだけの話なの」
ハァ~~~ッ、そう言う事かぁ。
そう言う経緯があったからこそ、此処にそんなヴィンテージみたいなベースがあるし『自分にはローンを組んででもお金を払う意志があり』ただ単に貢いで貰ってる訳ではないと言いたい訳だな。
しかしまぁ、それが事実だったとしても、あの野郎、マジで眞子にドップリ嵌ってやがんのがよく解るな。
あの、女から貢がすのが極々自然だと思ってるホストみたいな糞野郎が、女子にプレゼントをするなんてビックリ仰天な話だからな。
まぁ勿論、眞子には可愛いし、性格も良い上に努力家だからこそ、それだけの価値があると判断して崇秀もプレゼントしてやったんだろうから、あのアホンダラァの心境も解らなくもねぇんだけどな。
「ふ~~~ん。っで、このベース、どうなんだよ?そこまでオマエが欲しがったって事は相当良い感じなんか?」
「うん。知りたい?」
「そりゃあまぁな。これでも一応は、俺もベーシストだからな」
「じゃあ、勉強の合間にでも一回弾いてみるからさぁ。その時にでも感想を聞かせてよ。兎に角、今は、先に勉強始めなきゃいけないでしょ」
( ゚д゚)ハッ!
「あぁ、そうだったな。そう言えば俺、此処に勉強しに来たんだった。イカンイカン。ベースの話に夢中になり過ぎて、完全に本末転倒になりかけてたわ」
「ふふっ、ダメじゃん」
確かにダメだな。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
皆さんは「貢がせる」っと言う意味をご存じでしょうか?
一般的な解釈の場合【自分の欲しい物を、誰かに買って貰った】からこそ貢がせたと履き違えてる人が多いのですが、これは大きな間違いでして。
本当に貢がせると言うのは【自分が何も言わなくても、勝手に相手が自分の欲しい物を調べてくれ】【それに見合うだけの価値が自分にあるからこそ】貢がせるって言うんですよ(笑)
そぉ……此処には【相手に持って欲しい】っと言う自然の気持ちがなきゃダメなんですよ。
もっと解り易く言うのであれば【自分から、欲しい物を口に出して相手に催促してる様じゃ下の下】
それじゃあただの【物貰い】と変わりませんからね(笑)
……っとまぁ、そんな一般的な社会勉強は終わりにして。
そろそろ本題である受験勉強に向かわなきゃいけない時間が来ましたので。
次回は、本格的に【倉津君に教えている勉強方法】を公開していきたいと思います。
なので良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
やっと受験らしい話になるんだな( ゚Д゚) (´д`;)面目ない
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