1044 必要性
眞子の指示に従ってやって来た、とあるビルの二階。
その扉を開けた瞬間、眞子が『ただいまお母さん』っと言う言葉に酷く違和感を感じる倉津君だったが……
***
「オッ、オイ、眞子」
「えっ?……あぁ、うん?なに?」
「いや、あのよぉ。話が話なだけに、非常に聞き難い様な内容なんだがな。奥に居る、オマエが言う『お母さん』って、一体誰なんだ?」
「あっ、あぁ、静流お母さんだよ。崇秀のお母さんだね」
おぉ……そうかそうか。
誰かと思ったら、奥から聞こえて来た声の主は静流さんだったのか。
なら、声に聞き覚えが有っても、別段不思議な事はねぇわな。
なんてったってよぉ。
俺も、静流さんには餓鬼の頃から散々世話に成ってるし。
よく崇秀と一緒に近所で悪さをして、静流さんには散々頭を小突き倒されたもんだからな。
此処に来て、漸く納得出来た。
・・・・・・
……って、ちょっと待てぇい!!
なんで眞子が、静流さんを、お母さんって呼ぶ様な関係に成ってるだよ!!
そこまで、あのアホンダラァと親密な関係に成っちまってるって言うのか?
流石に、そりゃイカンぞ眞子!!
「オイオイオイオイ。って事はなにか?オマエ、あれ程までに深く注意したって言うのに、崇秀と、そんな関係に成っちまったのかよ」
「……あのさぁ、真琴ちゃん。別に、そう言う話題を振っても良いんだけどさぁ。そう言うの『下衆の勘繰り』って言うんだよ。しかも、それ、大きなお世話とも言うからね」
いや、微妙に怒んなよ!!
そこは兄弟としては、当たり前の心配してるだけなんだからよぉ。
「イヤイヤ、大きなお世話じゃねぇって。女の子のオマエにとっちゃあ、なによりも大切な事だろうに」
「ごめんなんだけどさぁ。……それ、ウザイよ。これは私と崇秀の問題なんだから、変に口出ししないで」
馬鹿もん!!
女の子が、大切な体を易々と男に委ねるんじゃねぇよ!!
まだ1年しか生きてねぇオマエにゃあ、そう言う経験は10年早いわ!!
「いや、眞子、待てって。そう言う事を言ってんじゃねぇんだよ。俺はオマエの事が心配なんだよ」
「ハァ~~~、もぉ、心配性だなぁ。でも、心配は御無用。私と、崇秀はHなんかしてないから。私達は、そんな事をしなくても心が通じ合ってるから、そう言うのはイラナイの。……『Hしてる』か、どうかなんて発想が出て来る事自体、稚拙な話だよ」
あれ?そうなのか?
けどよぉ。
「いや、だけどよぉ。男女が一緒に居たら、自然と、そう言う関係に成るだろうに。それに、あのアホンダラァも、そう言ってた筈だぞ」
「それ……いつの話よ?明治天皇がご生誕された位の話?それとも、日露戦争が真っ只中だった戦時中の話だっけ?」
いや……そんなに古くないと思うぞ。
多分、あの馬鹿が、去年位にそんなロクデモナイ事を言ってたと思うしよぉ。
因みに、今年の文化祭でも言ってたぞ。
「いや、まぁ、そんなに歴史的に古い時代だとは思わねぇけどよぉ。アイツのHに対する思考って、そんなにまで変わってるのか?」
「変わったね。今の崇秀は、性的な快楽なんて、なにも求めてないよ」
「そっか。けどよぉ。オマエは、そうやって簡単に性的快楽って言うけどよぉ。Hは、お互いに対しての愛の育みでもあるんじゃねぇのか」
「そうだよ。だから本来は『子供が欲しい』と思わない限りHをする必要性なんてものは無いの。性的な快楽をモサボル為に、この体がある訳じゃないんだからね」
うぉ……コイツ、なんて大人な意見を言いやがるんだよ。
とてもとても生まれて1年の奴の言葉とは思えない様な発言だな。
……って事は眞子って、意外と貞操観念はシッカリしてるのかもしれないな。
「えぇっと、じゃあなにか?アイツとHしたいとは、全然思わないのか?」
「そりゃあさぁ。私だって全然思わない訳じゃないよ」
やっぱ、どれだけシッカリしてようと、その願望はあるのな。
寧ろ、この年代で、そこに興味がない方がどうかしてるってもんだしな。
「でも、それに対する必要性が無いんだもん。……あぁけど、崇秀がしたいって言ってくれたら、この体は好きにしたら良いとは思うよ」
「いや、だったらアイツの事だから、直ぐに求めてくるんじゃねぇのか?」
「まさかね。真琴ちゃんじゃあるまいし。それにさっきも言ったけどね。そんなエロイ考えは、今の崇秀には殆どないの。……なんてったって、今の私達2人の当面の目標は、今よりも、もっともっと高見を目指す事だからね。快楽に溺れて遊んでる場合じゃないの」
あの……なんかよぉ、今の話を聞いて思ったんだがな。
『オマエ等は、一体何所へ行くんだ?』って、質問したくなる様な心境だな。
って言うかよぉ。
大体にして、今以上の高見って、それ、一体何所だよ?
エベレスト?
チョモランマ?
果ては、天国にまで行っちまう気なのか?
コイツ等の吹っ飛んだ発想には、俺なんかじゃ付いて行けんな。
「そっ……そうか」
「ふふっ……ってかさぁ。そんなツマンナイ事バッカリ聞いてないで、さっさと上がりなよ。今は勉強をするお時間ですよ」
「あぁ、はい、そうでしたな。すんません。お邪魔します」
とうとう、生まれて1年の眞子にまで、雑魚語を使ってしまった。
マジで救いがねぇな俺。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
まだTSした当初の眞子であったならば、興味本位だけで崇秀とのHを迫っていたかもしれないのですが。
今ではすっかり女性と言う立場を弁えてるだけに、安易なHには走らない様ですね(笑)
まぁ、本心で言えば『抱かれたい願望』が無い訳ではないでしょうがね。
さてさて、そんな会話を挟みながらも。
漸く、眞子が、倉津君とやっている受験勉強の方法が明らかに成って行く筈なのですが。
無駄なぐらいに心配性の倉津君が、このまま話を脱線させずに、その話をする事が出来るのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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