1043 謎めいた場所
今日の勉強する場所へ移動する為に、眞子との待ち合わせ場所に向かう倉津君。
だが、そこで眞子がファンと交流する姿を見て『こうやってコイツは、人の心に入って行くんだな』と感心すると同時に、少々眞子の天然っぷりに恐怖を感じる。
……っで、その後、少しだけ口論が起こったのだが、此処で漸く、今日の勉強場所を目指す事に。
***
……っとまぁ、2人して変に納得した所で、眞子をチャリの後ろに乗せる。
そんで眞子に指定された目的地に向って、のらりくらりと移動を開始するんだが。
この時な。
去年の文化祭でステラをチャリの後ろに乗せて走った時以上に、男女問わず、眞子に対して視線が集まる事、集まる事。
特に尋常じゃない数の男の視線が、俺のチャリの後ろに注がれている。
まぁ……そうなるのには訳があってな。
この眞子のアホは、ステラと違って誰に対しても無駄に愛想が良いからなんだよ。
……って言うのも、これには、ちょっとした証拠が有ってな。
今さっき信号待ちしてる間に、チラッとチャリの後ろに乗ってる眞子を見てみたんだがな。
このアホタン、なにを仕出かしてるのかと思ったら。
男女問わず、誰かと視線が合ったら、相手が全く知らない奴でも無駄なまでに満面の笑みで、軽く会釈してるんだよな。
まぁ勿論、一定のモラルが有るのかして、流石に彼女連れの奴には、そんな真似はしてないみたいなんだがな。
それ以外の殆どの奴は、眞子の笑顔に釘付けに成ってジッと俺のチャリの後ろを見てやがる。
そりゃまぁ、これだけの美少女に、そんな表情で会釈されたらじっと見てしまう気持ちも解らなくもないんだが。
これは『普段なら優越感に浸る俺ですら』、眞子に『妙な恐怖と戦慄さえ』感じてしまう事態だ。
本当にコイツは、こうやって無意識の内に自身のファンを増やして来たんだろうが、自分のスペックを知り尽くした怖い女だとしか思えない。
でも、多分……こう言う事を狙ってやる様な嫌な奴じゃないから、これもまたただの天然なんだろうけどな。
そこが、また眞子の怖い所でもあるんだろうけどな。
***
……そうやって繁華街をチャリで飛ばしてる内に、眞子が指定した目的地である、とある2棟が連なった、何所にでも有る様なビルに到着する。
まぁそこは、結構、駅から近いビルなんだがな。
一階の部分のシャッターが全部下りてて、なんの店かすらサッパリ解らない。
そして隣のビルには、謎の妙に長い行列。
この2点、なにか関連性があるのかと考慮したものの……結局は、なんも解らんかった。
……って言うかよぉ。
大体にして、なんの目的が有って眞子は、俺を、こんな変な所に連れて来たんだろうな?
確か、受験勉強をする為に此処に来たってのが、当初の名目じゃなかったっけ?
そんな勉強をする様な雰囲気は、何所にも見当たらねぇんだけどな。
マジで、なんのこっちゃ?
……まぁまぁ、そうやって到着した謎のビル。
その横の路地に、一応チャリを止めはしたんだが。
此処でイキナリ眞子の奴は、その路地にある二階に向う階段を昇り始める。
此処も眞子が、何所を目指して行こうとしてるのかが全く持って訳が解らず。
今は眞子の指示に従って、この怪しげな二階に着いて行くしかなかった。
故に、なにも文句も言わず、俺も、その階段を、眞子の後ろから登って行く。
そして……先に階段を登る、眞子のスカートの裾から、少しだけ白い布が見えた。
だから此処は多くを語らず、素直に『ゴチ』と言って置こう。
***
……っで、まぁ、その階段を俺が登り切るまで、眞子が階段の上で待ってくれてたんだけどな。
俺の到着と同時に眞子は、妙に嬉しそうな顔をして、得意げになにやら鍵を取り出す。
そんで、ご機嫌なまま、なにも言わずに、少し無骨な通用口の様な鉄製の扉に差し込む。
まぁ当然、扉を開いて中に入るんだが。
その扉を潜ってからの、眞子の第一声目ってのが……
「お母さん、ただいまぁ~~~」
……っと言う声だった。
『それにしても、おかしな事を言うなぁ』
俺としては、当然そう思わざるを得なかった。
だってよぉ、眞子は俺の細胞から作られた特殊な人間、何所をどうやっても親が居る筈が無い。
いや……非常に言い辛い事なんだが『寧ろ存在する事自体がおかしい』
なのに眞子は、事も無げに、片足づつを上げながらローファーを脱ぎ、平然と、そんな事を奥に居るであろう人間にそう言っている。
まさに、俺にとっては『へっ?』って感じだ。
「あぁ、お帰り眞子。今日は、コッチに泊まるの?」
……って、謎を解明しようとしていたのも束の間。
一緒に入っって行った家の奥の方から、眞子の声に対してのキッチリと返答が返ってくる。
これにより、より一層、本格的に謎が深まった事になる。
……それにしてもよぉ。
今の奥から返答したきた声……どこかで聞き覚えのある様な声だな。
勘違いじゃなきゃ、俺、この声の主を知ってるぞ。
「うぅん。今日は、飯綱ちゃんと、ちょっと約束してるから上星川の実家の方に帰るよ」
「そうなの?それは残念ね。また眞子と一緒に風呂に入ろうと思ってたのにね」
「お母さん、ごめんね。あぁ、でもでも、明日は飯綱ちゃんと一緒に、コッチに泊まりに来る予定をしてるから、明日一緒に入ろ」
「明日、神楽も来るの?だったら、明日は少し夕飯を多く作らないとね」
「ははっ、本当だね」
あぁ……この様子じゃあ、奥の人物は、あのチビッ子の事も知ってる様だなぁ。
……っとなると、一体誰だ?
これで、かなり限定された筈なんだがな。
「……あぁそうだ、お母さん、今から、ちょっと部屋使うね」
「ハァ~~~、もうこの子は。そんな事はイチイチ私に断りを入れなくて良いから、勝手に使いなさい」
「あぁ……そうだったね」
会話の内容からして、この2人は、かなり親密な関係だな。
……にしても奥に居る通称『お母さん』とやらは、コチラに出て来る気配が一切感じられないな。
だから正体がイマイチ靄に懸かったまんまで。
解った様な、わかんねぇ様な、喉に何か引っ掛った様な感覚のままだ。
なんか気持ち悪いな。
なら、此処は一発、無駄に疑問を1人抱えて悩んでないで。
その辺を包み隠さず、眞子にハッキリ聞くのが良策ってもんだな。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
此処まで読んで下さった方でしたら、この場所が何処かは、もうお察しだとは思うのですが。
眞子の秘密をしる倉津君にしたら、何故、こんな事に成っているのか『?』が飛び交ってる状態ですね(笑)
しかしまぁ、何故、眞子は、この場所を勉強する場所に選んだのか?
勿論、そこには、それ相応の理由があるのですが。
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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