1040 眞子が居ねぇと、なんかヤル気が出ねぇんだよな

 60話を乗っ取られた恨み言を鱈腹言って、スッキリした倉津君でした(笑)


***


 ……さてさて。

そんな感じで、眞子との受験勉強を開始してから1週間が経過して、今現在は11月17日。


前回のあの日を境に、毎日の様に俺が奈緒さんの家に行ったり、眞子が俺の実家に来てくれたりして、眞子には、各教科、色々と勉強を見て貰ったりしている。

……んだが、今日に限っては、何故か勝手が違った。

学校の授業が終了と同時に眞子が3-Bの教室にやって来たと思ったら、今日の予定を話す間もなく、俺は、一旦、帰宅を促された。

そんで、意味が解らないまま、愛車のチャリに乗って自宅に帰り。

家に着いてからは、そのまま自室に直行して篭り、眞子先生からの連絡待ちをしてる状態になっている。


そんな訳なんで、一応、退屈凌ぎに、自分の部屋で、昨日した勉強の復習らしいもんをしてはいるんだが、待てど暮らせど眞子からの連絡が来ない。

まぁ恐らく、この辺は眞子の奴が、俺以外にも、他のクラスメイトの受験勉強も見ているから『なにかのトラブルで手間取ってる』と考えるのが順当だろうけどだ。


この時点で、既に問題が生じているんだよな。


それがなにかって言うとだな。


何故かは知らないが俺はな。

アイツが居ないだけで、全然、勉強する気分にならねぇんだよ。


まさに顔が濡れたアンパンマン状態で『眞子が居なくてヤル気が出ないよぉ~~~』ってな感じだ。


何故そうなるのかは、俺自身も良くは解っていない処ではあるんだが、兎に角、ヤル気が出ないのは事実。

その証拠に、今現在、部屋の中でしてる事と言えば、畳の上に寝転がったままペラペラと昨日取ったノートを見たり、無駄に教科書を見たりしてるだけ。


でも、丸っきりヤル気が無いから、一向に、その内容が頭に記憶されている様子がない。


完全に腑抜けた感じの勉強スタイルに成っている。


なんか知んねぇんだけどな。

そんな風に、なんとも言えない様な物足りなさだけが、この空間に漂ってる訳だぁな。


まぁ、このヤル気のなさに、唯一理由付けられる何かが有るとすれば、アイツと勉強してると、実はスゲェ楽しいのが理由。

アイツは俺と同じ細胞で構成されてるだけの事はあって、勉強中、なに1つとして嫌な事は言わねぇし、勉強の合間の休憩時間も常に楽しく過ごさせて貰ってる。


だから1人で勉強するのが、究極的にツマンネェんだろうな。


なぁ~~んか、独り善がりな気がしてならねぇしよぉ。


なんつぅかなぁ。

アイツって『奈緒さん』と『ステラ』と『真上さん』を足して3で割った様な性格だから『1粒で3度美味しい』つぅか、勉強するならするで一緒に居てくんねぇとダメなんだよなぁ。


まぁそうは言ってもだな。

勿論、アイツの事を1人の異性として見る様な無様な真似はしてねぇんだけどよぉ。


それでも……なんか退屈なんだよなぁ。


まさに『なんだこりゃあ?』って感じな訳だ。



ハァ~~~、もぉマジで、なにもかもがツマンネェなぁ。


***


 ……まぁ、そんなこんなの酷い有様の中。

あんまり受験勉強が進まないまま時間だけが無駄に過ぎて行き、気付けば、時刻は夕方を過ぎた位の17時頃になる。


なのにも関わらず、俺はと言えば……相も変らずゴロゴロと寝転がりながらノートをペラペラと捲る程度で、ほぼなにも手付かずな状況。


『なにやってんだかなぁ?』って状態が続いていた。


そこに……



「坊ちゃん!!坊ちゃん!!部屋に居やすかい?もし居られるなら、向井眞子って女の方から電話が掛かってますぜ!!坊ちゃん!!居られやすかい!!」


……っと、玄さんが廊下の向こう側から、矢鱈とデカイ声で呼んで来た。


これは、いつもの日常的な光景なんだが。

それに対しての俺の反応はと言えば、いつもとは違う。


普段ならダラダラとしながら、のらりくらりとしか動かないシステムの体なんだが、今回は玄さんの声に反応して、一気に『ガバッ』と起き上がり。


無駄にデカイ声で返答をする。



「おぉ!!部屋に居るぞ、玄さん!!だから、ちょっと待ってて貰ってくれな!!今、直ぐ電話に出るからよぉ!!」

「ヘイ。承りやした、坊ちゃん。……お嬢さん、少々お待ち下さいな」


そんな風に玄さんと、眞子がやり取り始めた位には、慌てて部屋を飛び出し。

廊下を走り抜け、即座に電話のある玄関口に着き、玄さんから素早く電話を受け取って、電話口に出る。



「今日はやけに早いですな、坊ちゃん……」

「おぉ悪ぃ、悪ぃ、待たせたな眞子。俺だ俺」


玄さんが、なにか少々焦りながら言ってる様だが……取り敢えず、現状では玄さんは無視だ。



「えっ?あぁうん。そんなに待ってないけど。……って言うか。なにを、そんなに家の中で息を切らしてるのよ?」


……本当だよな。


俺……たかが眞子から電話が掛かってきたぐらいで、なにを焦っとんじゃ?


なんかドン引きされてんじゃんかよ。


マジでなにやってんだ俺?



「へっ?……あぁ、いやいや、電話を待たすのも悪いと思ってよ。部屋から走って来たんだよ。電話賃もタダじゃねぇんだから。勉強を教えて貰ってるのに、金まで掛けて貰っちゃ面目が立たねぇだろ」

「あぁ、そう……なんだ」


ホント……なに言ってんだかな俺?


走って、息を切らせた事について。

なに訳のわからねぇ言い訳を、1人で口走ってんだよ。



「いやいや、まぁ、それは良いとしてよぉ。今日は、どこで勉強やるんだよ?ウチの家か?それとも奈緒さん家か?」

「ふふっ、なになに、今日はまた豪くヤル気満々だね」

「まぁな、まぁな。どうせやるなら、真面目にやった方がオモシレェからよぉ。気合は十分に溜め込んであるんだよ」

「あぁ、そうなんだ。それは良い心掛けだと思うよ」

「だろだろ。……っで、ドッチでやるんだよ?」

「うん?あぁ、今日はね。ちょっと気分を変えて、いつもとは違うの場所で勉強をやろうと思ってるんだぁ。だから、取り敢えずは、駅前まで出て来て貰って良いかなぁ?」


なんだ?

この言い様、一体、どこでやるつもりなんだ?


それによぉ。

別の場所で勉強するにしても、ちゃんとした勉強場所が2箇所もあるんだからよぉ。

わざわざ、別の場所まで移動する必要性なんか、なにもなくねぇか?


なんのこっちゃ?



「いや、オマエがそうしたいなら、別に俺は一向に構わねぇけどよぉ。一体、どこで勉強するつもりなんだよ?」

「うん?それは秘密」

「秘密って、オマエなぁ。……ってか、なんで勉強する場所を秘密にする必要が有るんだよ?場所位、この場でチャッチャッと言ゃあ良いじゃんかよ」

「まぁそうだね。……でも、教えない」

「だから、なんでだよ?」

「それも教えない」


うん?なんだなんだ?

やけに秘密主義な事を言って来やがったな。


これはなんかキナ臭い匂いがするぞ。


オマエさぁ、ひょっとして、なにか良からぬ事を考えてねぇか?


けど、まぁ……良いっか。

どうせ、何所かで勉強をする事には変わらねぇんだし。

場所を変える事によって気分転換でも図るのが、最終的な目的なんだろうしな。


なら、大した問題はねぇだろ。



まぁ……ただな、唯一疑問が残るとしたら。

受験勉強するのに、環境の変化が、本当に必要なのかどうかまでは、わかんねぇけどな。


眞子自身が、なにか思う所が有るんだろうから、此処は下手に反抗せず、素直に従うか。



「あぁ、解った。此処でオマエと問答してても始まらねぇから、取り敢えず、今直ぐに出て、駅前に向うわ」


まぁ、何処に行くにしてもだな。

奈緒さんの家から電車通学してる眞子は、まだ制服のままだろうから、ご指定通り、まずは駅前に行くのが妥当なんだろうしな。


ほんじゃまぁ、準備して駅前に行ってみますかね。



「あぁ、うん。じゃあ、駅前で待ってるね。……あぁ、でも、間違っても車で来ちゃダメだよ。今日は、車は必要ないからね。出来れば自転車で来てくれると有り難いね。近くに駐車場も無いし」

「あぁ、そうなのか。まぁ、なんか良くわかんねぇけど。わかった。取り敢えずはチャリで行くわ」

「うんうん。じゃあ、駅前で待ってるね」

「おぉ、わかった。……あぁ、眞子。それとなぁ。その辺は馬鹿が多いから、ナンパされねぇ様に気をつけろよ。オマエは可愛いんだからな」

「ふふっ、大丈夫、大丈夫。その辺は心配御無用だって」


眞子の奴は天然なだけに……その『大丈夫』と言う言葉でさえ不安だ。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>


倉津君、眞子との勉強が楽しいのかして、一人ではあまり勉強をする気に成れないみたいですね(笑)

まぁでも、その分、逆に眞子が一緒に勉強してくれるのであれば、やる気が出るみたいなんで、取り敢えず、此処は良しとしましょう♪


さてさて、そんな中。

またなにやら眞子がややこしい事を言い始め、今日は勉強する場所を変える様なのですが、一体、どこでやるつもりなんでしょうか?


まぁ此処には、眞子の『とある思惑』があるのですが。

次回は、そこを書いて行こうと思いますので、良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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