1028 静流お母さんと一緒にお風呂に入ってる2人の正体

 静流お母さんとの約束を果たす為にやって来たお風呂。

そこには何故か、静流お母さん以外の人の気配がしたので、話し掛けてみたら。

自己紹介をする間もなく、相手側からの崇秀や眞子の話題が先行してしまい、トドメに眞子の年始に行ったライブの話題にまで……


***


「あぁうん。私の記憶が正しかったらなんだけどね。この子は【鞍馬】って渾名のベーシストの筈よ。もっと解り易く言えば、アンタの好きな【Nao with GREED-LUMP】の前進になったバンド【GREED-LUMP】を作ったって噂の子なのよ」

「【GREED-LUMP】を作った?えっ?嘘。……、なにそれ?凄い。ヤバイこの子」


いや、あの……だから、違うんですって!!


それに関しましてでもですね。

偶々、偶然が重なって【GREED-LUMP】のメンバーになる方達が、その場に集まってたからこそ結成に至っただけの話でしてね。

私が意図的にメンバーを集めた訳でもなければ、結成の要因に成ってた訳でもないんですよ。


なので私は、特に【GREED-LUMP】の結成には関与してた訳ではないんですよ。


だからホントに、その解釈は誤解なんですよ誤解。



「そうなの眞子?私、音楽には疎いから、よく知らないんだけど」

「いや、お母さん、そんな大層な話じゃなくて……」

「静流さん、なに言ってるんですか!!【Nao with GREED-LUMP】って言えば、今や全米で一番注目株のバンドですよ。年間CDの総売り上げが、一千万枚に届く様なモンスターバンドなんですよ」


いやいや。

あの、お喋りお姉さん、本当に申し訳ないんですが、ちょっとだけ黙って貰って良いですか?


此処で余計な事を言ったら、静流お母さんとの話まで拗れるんで。



「ふ~~~ん。そうなの。でも、崇秀に聞いた話じゃあ、確か、そのナンチャラってバンドのヴォーカルの向井奈緒って子。この子のお姉ちゃんの筈よ」


ちょ!!……お母さんまで、余計な事をお喋りお姉さんに言わないで。


そこも奈緒ネェは奈緒ネェ、私は私だから!!

それになにより、幾ら奈緒ネェが凄いからと言っても、私までも凄いとは限らないんだからさ!!



「嘘……凄い。凄すぎるんだけど……」


いや、あの、だからですね。

何度も言いますが、凄いのは奈緒ネェであって、基本的に私は、そこにはなにも関係無いんですよ。

実際の私なんて、何処のバンドにも所属していない様なシガナイだけの、ただのベーシストでございますから。

奈緒ネェの話や【GREED-LUMP】の話を聞いたからって、あんまり、そんな期待に満ちた目で見ないで下さい。


そんな目で持て貰っても、きっと期待ハズレに終わってしまうだけだと思いますから……



「うわ~~~っ、崇秀さん、それはまた凄い子を見つけたもんですね。それなら静流さんも鼻高々な訳ですね」

「そぉ?でも、そんなの関係ないのよ。私は、眞子と言う個人が好きなだけで有って、この子の肩書きが好きな訳じゃない。それはきっと、ウチの馬鹿息子も同様。そう言う色眼鏡で眞子を見てないと思うわよ」

「でも【Nao with GREED-LUMP】ですよ」

「関係ない、関係ない。そんな肩書きなんてもんは、ウチの家系には、なんの関係ないの。大切なのは人間性。まぁその点に付いてだけは、あの子、あれで居て、結構、人を見る目だけは有るから心配ないと思うわよ。……ちょっと親馬鹿入ってるかもだけどね」


いや……お母さん。

その意見、親馬鹿なんてものは、世間から見ても微塵も入ってないと思うよ。

こう言っちゃあなんですけど、お母さんの息子さん、あの人、だいぶ異常な人ですよ。


大体にして崇秀が目を掛けたバンドは、必ずと言って良い程知名度が上がってますしね。

ブッチャケ、演奏の腕前だけじゃ、あぁは上手くいかない物なので、人間性を見る目に関しては完璧なんじゃないですかね。



「はぁ~~~っ、息子の崇秀さんも崇秀さんなら。母親の静流さんも静流さんですね。なにを聞いてもビクともしないんですもんね」

「あぁ確かに、良くも、悪くも親子だね」

「中山さん。それ……どういう意味よ?」

「あぁいや、怒らないで下さいね。事実なんで」

「秋奈。……一応は言って置くけど、それ、なんのフォローになってないよ」


あぁ、このお喋りお姉さんは、ちょっとお馬鹿ちゃんなんだ。

そしてもうひと方が、ある意味ツッコミ担当なんですね。


憶えとこ。


あぁでも、このお2人って、なにしてる人なんだろうね?

その謎は明かされてないままだし、自己紹介もして貰って無い様な気がする。



「あの……お話が盛り上がってる所、非常に申し訳ないんですけど。お姉さん方に1つだけお聞きして良いですか?」

「えっ、なに?急に人形が喋った」

「あっ、あの、私、お人形さんじゃないんですよ。これでも一応は人間なので、普通に言葉を話ますよ」


呪いの人形か私は……


若しくは、お喋り人形のファービーか何かか……



「あぁそうだね。……っで、なにかな?」

「いえ、あのですね。お姉さん方は、お母さんとは、どういった関係の方なんですか?後、出来れば、お名前を教えて頂けると有り難いんですけど」

「あぁごめん、ごめん。あまりにも衝撃的な話だったから、自己紹介が遅れちゃったね。あたしは、中山秋奈。それでコッチが、西野菜摘。静流さんとは、今度の『Ns`F』で雇って貰う予定の雇用関係ね」


なるほど、なるほど、そう言う関係でしたか。

なら、お2人が静流お母さんとの雇用関係って事は、お2人共、美容系のGUILDのランカーさんなのかな?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございましたぁ<(_ _)>


お喋りお姉さん事、中山秋奈さん。

そんな中山さんのツッコミ担当である、西野菜摘さん。


どうやら、このお2人は、静流さんとは雇用関係にある様なのですが。

矢張り、職場が美容室なだけに、眞子が予想する通り美容系のGUILDランカーさんなのか?


次回は、その辺の真相に迫って行きたいと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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