1023 とあるお誘い
仲居間家で食事を摂らせて貰った眞子。
その後、食後のお茶を入れに行ったのだが。
少々時間が掛かってしまっていたので、心配した静流さんがやって来た。
***
「眞子。豪く時間が掛かってるけど。お茶の場所解ってる?」
「あっ、うん。大丈夫だよ、お母さん。勝手知ったる他人の家ってね。……ちゃんと、お茶の場所ぐらい把握してるよ」
ちゃんと知ってるよ。
何回か家に寄せて貰ってる内に、その辺は、全部チェック済みですよ。
「ハァ……こ~~~らっ、眞子」
「へっ?」
「此処は他人の家じゃなくて、アンタの家でしょ。今度そんなショウモナイ事を言ったら引っ叩くよ」
ハァ~~~……そっか。
そっか、そっか。
チェック以前の問題として、本当の本当に、此処が私の居場所だって思っても良いんだった。
だったら、こうやってお母さんが溜息を吐くのも当然だよね。
静流お母さんは未来の義母じゃなくて、今現在でさえ、私のお母さんなんだもんね。
ふふっ……もぉお母さん大好き♪
「あぁ、そっか。ごめんね、お母さん。ちょっと勘違い勘違い」
「ほんと馬鹿だね、この子は。そんな間の抜けた勘違いをいつまでもしてるんじゃないの。情け無い子だね」
「そうだよね。ホント、私って馬鹿だよね」
「でも、馬鹿な子ほど可愛いってね」
「「ふふふっ……」」
そう言いながらもお母さんは、私の頭を撫でてくれる。
なんかそれだけで自然に笑みが零れちゃう。
もぉ、これ、なんなんだろね?
こう言うのって一般的な母娘の極自然で日常的なスキンシップな筈なのに、こんなに幸せを感じさせてくれるなんて。
ふふふっ……
「あぁそうだ、そうだ、眞子」
「うん?なになに?」
「お茶を飲み終えたら、後で、お母さんと一緒に風呂に入ろうか?」
「えっ?良いの?お母さん、私と一緒に入ってくれるの?」
「良いから、誘ってるんでしょ。それとも眞子は、もぉ年頃だから、お母さんとは入りたくないのかな?」
「あぁ、うぅん!!全然全然!!入る入る!!お母さんと一緒にお風呂に入りたい!!絶対に入りたい!!」
願ってもない話なんだけどね。
この辺については、崇秀が、どう思うかが一番重要なポイント。
この話自体、私にとっては嬉しくても、崇秀にとっては、絶対に微妙な話だもんね。
……でももし、崇秀が『OKだ』って言ってくれたら、お母さんと一緒に風呂に入りながら色々話に花を咲かせたいなぁ。
許してくれるかなぁ?
許して欲しいなぁ。
「そぉ。じゃあ、先に風呂の具合を見て来るわね」
「あぁ、うん♪お母さん、お願いします」
「眞子。家族で、そんな敬語じみた言葉はイラナイでしょ」
「あぁ、そっか。じゃあ、お母さん、お茶淹れとくから、お風呂お願い」
「そぉそぉ、それで良いのよ」
「そっか……」
もぉ……なんて言って良いのかすら解んないや。
でも、兎に角『なにもかもが幸せなんです』
これだけは、絶対に100%断言出来る。
それ程、この家に居させて貰う時間は幸せなんですよ。
……まぁそんな会話がありまして。
私の大好きな静流お母さんは、風呂を沸かしにパタパタと廊下を渡って行ってくれた。
私は、その間に、ポットから、手早く急須にお湯をを淹れ。
崇秀の元に戻って行って、お母さんと一緒に風呂に入る了承を取っておこうと思う。
多分……なにも言わないとは思うんだけどね。
一応ね一応。
「崇秀。お茶入ったよぉ」
「あぁ、すまんな。……んあ?つぅかオマエ、なんつぅう顔してんだ?なんでそんなにニヤニヤしてんだ?」
あぁ……早速、もぉ顔に出ちゃいましたか?
嬉しい時のポーカフェイスって、ホント凄い難しいね。
なにかを伝える前から、喜びが顔に滲み出ちゃうんだもんね。
ははっ……まいっちゃうね。
……そう言いながら、一旦、コタツの上に用意したお茶のセットを置き。
崇秀に、お茶を淹れてから、この話を続ける。
「ごめん、ごめん。気持ち悪かった?」
「いや、気持ち悪くはねぇけどよぉ。台所で、なんか良い事でもあったのか?」
「うん。……あの、あのね。実はね。お母さんがね。私と一緒にお風呂に入ろうって誘ってくれたのよ。それが嬉しくて……あの、だからさぁ……」
「そっか。そりゃあ良かったな」
あぁやっぱり、変には思わないで居てくれてる。
こう言ってくれるのは解ってたんだけどね。
でも、ヤッパリさぁ、元男の私じゃあ崇秀も気持ち的にも嫌かなぁって思ってね。
だから、一応、最終確認だけはしとこっと。
「あの、崇秀。それってさぁ。気持ち的に大丈夫な……」
「あぁ、そうだ。オマエが余計な事を言う前にキッチリ言って置く事が1つあるんだがな」
「うん?なになに?」
「お袋と、オマエが一緒に風呂に入る程度の事でイチイチ俺に確認なんかしなくて良いからな。そういうの煩わしいから。それにお袋が、オマエの事を、本当に自分の娘が出来たみたいに喜んでるなら、尚更、問題なしだ。だから此処に余計な気遣いは無用だ。それと序に、余計な事は、もう絶対に口に出すな……良いな?」
「あぁ、うん♪じゃあ、もぉなにも言わないね」
「そぉそぉ。それで良いんだよ」
もぉ……どうしようっか?
ねぇねぇ、私、どうしたら良いのかなぁ?
大切な2人に、今すぐにでもなんか出来る事ってないかなぁ?
なんかしてあげたくて堪らないよ!!
それか、このまま、この家に埋もれちゃいたいよ。
「もぉ大好き。私、仲居間家の人、みんな大好き」
「そっか。そりゃあ良かったな」
「うん!!」
ほんと……神ですね。
って言うか!!
誰だ、こんな神族の類としか思えない一族を、悪魔だの魔王だの言う人間は!!
あっ、一番多く言ってたの私だった。
(∀`*ゞ)テヘッ
……なんて会話をしながら。
お風呂の確認に行ったお母さんの帰りを待つ為に、再びコタツに入らせて貰うんだけど。
コタツが長方形だから、横幅が広く、崇秀の横に座れそうに思え、モソモソと横に座る。
そんで今、左手で、お茶を飲んでるんだけどね。
右手はコタツの中で、崇秀が手を繋いでくれてたりするんだよね。
でも、あんまり過度に幸せを与えられ過ぎると……ホント死んじゃうよ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
静流さんの中では、もう既に眞子は『完全に自分の娘』みたいに思ってるみたいですね♪
まぁこの辺に関しては、飯綱ちゃんや、他の子達に対してもそうなんですが。
元々静流さんは、誰の子供であっても、自分の子供の様に扱う傾向が強い人なので、余計にそれが自然に出来ちゃうんでしょうね。
その証拠として、ちょっと裏話なんかをするとしたら。
あの性欲魔人のゼン君や、その他の不良なんかも、この誰も分け隔てしない性格の静流さんの事を非常に慕っており。
その31歳とは思えない様な美貌も重なり、大半の不良共の『初恋の相手』は静流さんだったりしますしね(笑)
さてさて、そんな中。
崇秀から、そんな静流さんとのお風呂に入る事の承諾を得て、喜びが隠せない眞子なのですが。
炬燵に並んで座ってる2人を見て、お風呂のチェックから帰って来た静流さんは何を思うのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
【PS】
因みになんですが、この日常の幸せ。
一見すると受験とは一切関係なく見えますが、その実、ちゃんとした理由がありますので、あしからず(笑)
無意味に、こう言う事を書いてるんやないんやで(*'ω'*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます