1013 相手の本質が見えないなら
森田君が、眞子の目標である『クラスメイト全員の志望校に合格』に協力してくれる事に成ったのだが。
その話を一緒に聞いていた崇秀は『それならば、森田君をパシらせていたウッチーやマッキー+宮ちゃんの勉強を見てやれば良いんじゃね?』と言い出したのだが拒絶しそうな雰囲気だったので『相手の本性を知ってるのか?』っと言い出す。
果たして、その真相は?
***
「はいはい。そんな気は毛頭ないくせに、このお節介大王だけは」
「誰がお節介大王だ。この脳味噌コロリン」
「誰が脳味噌コロリンよ!!」
「オマエ。……道端に、直ぐにポロポロ脳味噌を落とすから、付けてやった渾名だ。ありがたく拝名しろ」
「イラナイし!!落としてないし!!一回も落としてないし!!」
「じゃあ、カラパカか?」
「なに、そのアルパカみたいな、嫌な感じの渾名は?」
「いや、頭をパカッて開けても、中身が空っぽって由来だ」
最低だぁ。
人が、折角フォローしてあげてるって言うのにさぁ。
なによ、その言い方は?
・・・・・・・
いや……違うなぁ。
これは、なにか有るなぁ。
なにかの意図する事があって、こんな事を言ってるに違いない。
……って事は、このままのノリで話を続けた方が良さそうだなぁ。
「あぁ、はいはい、すみませんね。どうせ私なんかじゃ、崇秀に比べたら馬鹿ですよ。脳味噌を道端にポロポロ落としてますよ。まぁそれ以前に、中身空っぽなんですけどね」
「あぁ、良く知ってる。オマエの歩いた後は、ナメクジの通った後の様に、脳味噌が道端にへばり付いてるもんな」
「オマエ、一回殴ったろか?調子に乗ってたら、マジでシバキ上げるぞ!!」
「えっ?むっ、向井さん?向井さんだよね?」
これかぁ!!
森田君に、私の本性を見せるのが目的だ。
なるほどねぇ。
色んなアプローチの仕方を考えるもんだね。
「あぅ。なっ、なにがかな?」
「なっ、森田。ガッカリだろうが、これがコイツの本性だ。オマエは、こんな女に惚れてたんだぞ。知ってたか?」
「うっ、嘘だ。向井さんは、もっと毅然としてて、理知的な人の筈だ」
「えっ?そうでもないよ。私、崇秀と居る時って、いつもこんな感じだよ」
「嘘だろ……」
そんなにショック受けなくても……
私はね。
聖人君主の真上さんには成れないんですよ。
所詮バッタモンで、人前では猫を被ってるだけの話で、こんなもんですよ。
「……って事で、森田。オマエは、自分の好きな女子ですら、なにも解っていなかったって事だ。だったら、あの3人組の上辺だけを見て、アイツ等の良さを、なにも解ってねぇんじゃねぇのか?」
「ぐっ!!」
「まぁまぁ、兎に角だ。自己で良し悪しを判断するのも結構だがな。人の本質を見破れないんだったら、もう少し深く付き合ってみろ。そうすりゃあ、ソイツの本性ってのが見えて来る筈だからよ。気軽に、その実験だと思えば良いんだよ」
そう言う事ですよ。
私も、その意見には大賛成。
『嫌いだ』『嫌だ』って言ってても、なにも見えて来ないもんなんですよ。
所詮は、相手も人間なんですから、悪い所がある替わりに、必ず良い所が有るんですよ。
そこを見極めずに拒絶しちゃうなんて、本当に勿体無い事だと思うよ。
崇秀の言う通り『実験』だって思っても良いから、やってみなよ。
少々子供っぽい残虐性はあるかもしれないけど、ウッチーや、マッキー、それに宮ちゃんの良い所が見えて来る筈だからさぁ。
何事も『Let`s try!!』ですよ。
「あぁ、なんか納得出来無い様な、納得出来た様な……」
「だろうな。けどよぉ。だからこそ、そこに面白味ってもんが有るってもんなんだよ。まぁ、その辺の過程は、やってみないと一生解らない事なんだろうがな」
「なぁ、仲居間さん。それって誘導してないか?」
「してるなぁ」
「なんでだ?なんで、そこまでして、アイツ等に肩入れするんだ?」
「別にぃ。特別、アイツ等に肩入れしてる訳じゃねぇんだがな。ただよぉ。オマエにも、早く女子の本当の可愛さってもんを味わって欲しいだけのこった。……そう言う事は、真正面から、ちゃんと相手と接しねぇと、なにも始まらねぇしな」
だよね。
意固地になってたんじゃ、色んな意味で損しちゃうよ。
勿論、私に協力して欲しいって気持ちも大にしてあるんだけど。
それ以上に、自分の成長を阻害する様な考え方はしない方が良いと思うよ。
人の成長は、体験して初めて解る事の方が多いからね。
「わっ……解ったよ。……そこまで仲居間さんが薦めるんなら、やってみるよ。但し、責任なんか取れないぞ」
「もぉ馬鹿だなぁ、オマエは。なんで、金を折らって勉強を教えてる塾の講師でもないオマエが、そんな責任を取らなきゃイケネェんだよ?成績が上がるのも、上がらねぇのも、所詮はアイツ等次第。無料で教えてやってる以上、オマエに責任なんて微塵もねぇよ」
「だったら、落す様な真似をするかも知れないぞ」
「どうぞ、御自由に。……オマエが、そんなに小さい人間じゃ無い事だけを望むわ」
「あぁもぉ。……はいはい、解ったよ。出来る限りやってみるよ」
「お利口さんだねぇ。だったら真面目にやって、上手く行ったら、副産物として、アイツ等3人から、笑顔で、お礼のキスぐらいは貰えるかもな」
「なっ!!イッ、イラネェよ、そんなの!!」
照れてますね。
言葉とは裏腹に、顔が真っ赤ですよ。
因みですが、あの3人じゃ、誰がお好みですか?
ウッチーだったら……君はドMの人です。
マッキーだったら……君は比較的Mの人です。
宮ちゃんだったら……君は普通の人です。
さぁ誰ですか?
今……どうでも良いですね。
はい、すみません。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
森田君、完全に論破されてしまいましたね(笑)
まぁでも、これはこの物語に於いての主題みたいなものなのですが。
『誰であっても、全てが嫌な奴、なんて言うのは滅多に存在しない』んですよ。
良い所もあれば、悪い所もある。
されど人間と言うのは、一度相手の事を嫌ってしまうと、無限にその人の悪い所しか見なくなってしまう性質があるので、今一度、相手の事をよく見る事をしてみるのも良いかもしれませんね。
さてさて、そんな中。
森田君との話が解決した後、その場に、崇秀と一緒に残された眞子は、少々今回の話で思う所があるらしく、此処での話が継続する事に成ります。
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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