1011 一見すれば関係なくても、キッチリ繋がっていく話

 世にある全ての事柄に興味を持つ崇秀。

そう明言する彼の姿に、少し違和感を感じた眞子と森田君は……


***


「ねぇ、崇秀。でもさぁ、やりたくない事の1つぐらい有るでしょ」

「あぁ、まぁあるなぁ」

「ほら、やっぱり崇秀にも有るんじゃない。じゃあ、全部って言うのは嘘にならない」

「処が、そうはならねぇんだな」

「なんで?」

「必要ねぇからだ」

「必要ない?」

「あぁ。なんせ、俺がやりたくねぇ事って言うのは『退屈』だからな。こんなもん生きていく上で、なんの役にも立ちゃしねぇ。だったら『全て』のカテゴリーには入らないんじゃねぇの?俺の言う『全ての事柄』ってのは『有用な事に関してだけ』だからな」

「じゃあ、根本的な部分で言えば、有用な事に関しては、なにも嫌な物は無いって事?」

「無いなぁ。全部が全部、面白そうじゃねぇかよ」


ダメだ、この人。



「じゃあさぁ、じゃあさぁ。続けて聞くけど。不得手って有る?」

「まぁ、やってねぇ事が、まだまだ沢山あるからなぁ。そこは不得手になるんじゃねぇか」

「まだ有るんだ」

「当たり前だつぅの。世の中には、どれだけの学問や、運動があると思ってやがるんだ?それを全部網羅する事なんて、それこそ不可能に近い。ただよぉ、不可能を限りなく可能にする事は可能だ。それこそが『短期間で習得していく』って、今、俺が実践してる事だな。まぁこれこそが、時間の使い方に繋がる話でもあるんだがな」


そうかぁ。

退屈をする暇さえ無いから、効率的にモノを考える様になるって事か。


それ=時間の使い方。


解っていたけど、そこまで徹底していたんだね。

そして、それを実践する為に考えられたのが『複合原理』


理に適ってる……



「じゃあ、仲居間さん。今のこの時間は無駄なんじゃないのか?」

「全然。森田って一個人を観察してると思えば、これもまた有用。それにな。自分の彼女を助けてくれる人間の事を、ちゃんと知って置かなければ、これもまた嫉妬に繋がる可能性が生まれる。だからこれも、俺にとっちゃあ、実に有用な時間なんだがな」

「その為だけに、この時間を使ったって言うのか?」

「まぁ、そうだな。ホンで、今回解った事は、オマエは眞子にとって掛け値なしに有用な人間だ。だったら『なにか出来る事がねぇかな?』っと思って、色々話しをしただけのこった。……まぁ、それが何かの役に立ってたら御喝采ってな」


そこかぁ……そこだったんだ。

なぁ~~んか長々と森田君と話をして、おかしいなぁって思ってたら、そう言う事だったんだね。


私に協力してくれる森田君に恩返しをしてくれてたんだ。



「じゃあ、本当に俺の為に……」

「まぁそうだな。眞子はこう見えても、俺が教える事なんか、なにも無い様な女だ。だがな。オマエは、まだそうじゃないだろ?まだまだ中学生のガキの域を超えない。ただの勉強が少しばっかり出来るガキに過ぎねぇ。だからコイツの足を引っ張る可能性すらある。それじゃあ困るから、眞子が、どういう世界で生きてるのかを教えて置きたかったんだよ」

「ちょ!!向井さんは、仲居間さんと同じ世界に生きてるって言うのか?」


いやいやいやいや……まだ、そんな域に達してないよ。

それに、まだまだ崇秀には教えて欲しい事も一杯あるんだけどなぁ。



「アホ臭ぇなぁ。じゃなきゃ、ワザワザこんな長話をオマエにしねぇつぅの。それになにより、俺が惚れる訳ないだろ」


だ・か・らぁ~~~。

そんな恐ろしい様な異世界には行ってませんってば……


……あぁでも『惚れてくれてる』のは良いね♪

眞子も崇秀の事が大好きですよ♪



「そうかぁ。向井さんは、そんな世界で生きてるんだな。だったら俺……」

「おぉっと、そこからは言わぬが仏だ。そこは四の五の言わず、オマエもコッチの世界に来いよ。その方が人生楽しめるぜ」

「俺が……そんな世界に……」

「そうだ。コッチにさえ来ちまえば、今の様なクダラネェ事をグダグダ考えてる自分とはオサラバ出来るぜ。それに、そうすりゃあ、オマエの周りにも人が自ずと集まってくる。オマエの人生一転するぜ」

「そんな事、俺に出来るのか?」

「あぁ、出来るぞ。オマエは餓鬼だが、根本的なラインでの頭が良い。ただ眞子同様ドン臭いに過ぎねぇ。そこさえチョチョイっと治しちまえば、アッと言う間にコッチの世界にヨウコソだ。……オマエの可能性が無限に広がるぜ」


この様子だと崇秀……ただただ助言をしてるだけじゃなく、森田君をなにかに巻き込むつもりだ。


なにを考えてるの?



「そうかぁ……」

「それによ。男に生まれたんなら、良い女を惚れさせたいだろ?これには、そう言うオマケも付いてくるぞ。なら、此処でやらなきゃ男じゃねぇだろ」

「そっ、それは、向井さんみたいな子の話か?」

「あぁ、そうだな。実例的な男女関係の話で言えば。世の中ってのは、馬鹿には、それ相応の馬鹿しかつかない。なんせ、話のレベルが違うと長続きしないからな。……此処解るか?」

「あぁ、確かに、そうだな。少々極論では有るが、奇跡的に馬鹿と頭が良い奴が出会えたとしても、話が合わないんじゃ長続きはしないな」

「だろ。……っで、それ同様に、頭の良い奴には、それに見合った頭の良い奴が付く。これも世の常だよな」

「前者の意見が合ってるなら、確かに、そうなるな」

「だがな。此処で、頭の良い奴が、敢えて『馬鹿と付き合う』なんて選択肢も出て来る。しかも、ちゃんと選んでな」


それって……



「出会える人の幅って事か?」

「正解だ。オマエが、さっき言った通り、馬鹿が奇跡的に頭の良い奴に出会うんじゃなく。そう言った出会いの確立によって、馬鹿から、頭が良い奴等まで全て網羅してしまえば、故意的に、頭のいい奴が、馬鹿と出会う事が可能になる訳だ。その上で、自分が納得して馬鹿と付き合ったなら、そこは色々我慢出来るだろ。なら、この時点でオマエは『彼女を選択出来てる立場になる』訳だな。まぁ要するにだ。『相手に選ばれた上で、自分で相手を選べ』って話だ。求めるより、求められろって話でもあるな」


あり?

いやまぁ、言ってる事自体は間違ってはいないとは思うんだけど。


今さっきまでは、私、なんか褒められてたけどさぁ。

今は……凄く馬鹿って言われてない?


これって勘違い?



「あの、崇秀さん」

「んあ?なんだよ?」

「あのですね。ドサクサに紛れて、今、私の事を馬鹿って言いませんでしたか?」

「いいや。オマエと、俺は常に対等。なに言ってんだオマエ?」


あり?



「えぇ、でもさぁ。私が、崇秀を求めた以上、私が馬鹿って事なんじゃないの?」

「いいや。前から言ってるけどな。オマエ以上に良い女なんて、今の所は存在しねぇ。それ=俺が求めた訳でもあるから、対等って話に行き着く。……まぁ、実際の話だけで言えば、オマエは、かなりの馬鹿だけどな」

「ヤッパ、馬鹿にしてるじゃん!!」

「アホタレ。オマエの馬鹿は有用だから良いんだよ。俺が見えてなかった部分を、意外なアプローチで指摘したりするからな。人並み外れて感覚が鋭い。そういうインスピレーションの部分に特化してるから、オマエは馬鹿でも十分対等だって話だ」


ぶぅ!!ムカツクなぁ。

それに、なにがインスピレーションよ!!

人を感覚だけで生きてるみたいに言わないでくれないかなぁ。

これでも、ちゃんと計画的に生きてるんだからさぁ。



「あのねぇ……」

「まぁまぁ、オマエの馬鹿話は、別にどうでも良いとしてだな」

「ちっとも、良くないんだけど……」

「まぁ、良いとしてだな。森田、コッチで遊ぼうぜ。オマエにその気があるんなら、コッチで遊ぶ準備は抜かりなく整えてあるぜ」

「なっ!!」


……出たよ。


そろそろ出ると思ったよ。



「ボケ。なにを今更驚いてやがる。こう言う下準備は、前以てしておくもんだ」

「おっ、俺に、なっ、なにをしろって言うんだ?」

「ほらよ。……まずは、コイツを一週間で片付けろ」

「こっ、これは!!」


なに?


なにを渡したの?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


何事に対しても興味を持って、それを知ろうとする=『人との付き合いの幅が広がる』

そして前話で言った、時間の使い方や思考の差でも、これを=関係に置き換えれば『人との付き合いの幅が広がる』


結局の所【無知では、人との付き合いの幅は広がらない】ってお話でもあるんですね。

……っで、それを男女関係に置き換えたのが、今回のお話になりますです♪


実際の話、世の中には『美人だけど馬鹿』『ブスだけど賢い』『美人で賢い』『ブスで馬鹿』

なんて言う風に極端な話をすれば、男性から見た異性が存在してる訳ですから。

これらの異性を対象にした場合『どのカテゴリーの子と付き合いたいか?』って聞かれたら、大凡の男性は『美人で賢い人と付き合いたい』って言うと思いますので……そこに行き付く為には【色んな事に興味を持つ努力が必要】って事ですよ(笑)


さてさて、そんな感じで話は進んでいてるのですが。

崇秀は、森田君に、一体、何を渡したのでしょうか?


次回は、そこら辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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