1010 人と人との差が開く理由
森田君に、崇秀の持つ恋愛観を教えるのだが。
どうにも恋愛に対する考え方のレベルが高過ぎて、完全について行けてない様子。
それ故に……
***
「それは、ちょっと酷いんじゃないか?求めるレベルが高すぎるって」
「アホか?俺には、それを求めるだけの価値が有るの。なら、相手のそれを求めてなにが悪い?……それにな。眞子は、そのオマエが言うレベルの高い要求とやらを着実にこなして行ってる。歩みは遅くても必至に努力してる。だから俺とコイツとの間には、それで、なにも問題なんてねぇよ」
あっ……
「こなしてるだって……」
「あぁ、コイツは自らの頭で、そのやり方を模索しながら、今のオマエが想像もつかない様な事を沢山こなしてきている。だからこそ俺は、コイツのそんな姿を見て来たからコイツの事が好きで居られる。ただそれだけの事だ」
「だったら何故、他の男と遊びに行っても良いなんて発想が出て来るんだよ」
「だ~~か~~~ら~~~~。その発想を持ってからこそ俺は、眞子をソイツに取られない様にする為の努力をする糧になるんじゃねぇのか?そう言う課題つぅもんは、自ら課すからこそ価値があるんだろうに。オマエ、そんな事も解らねぇなんて、ホント頭悪いよな」
凄い……
他人から課題を出されるのではなく。
前以てそこを予測して自ら課題を作り出し、それすらも自らで解決していく。
そして、嫉妬してる暇が有るんだったら、相手を絶対に誰にも向かせない様にしてしまうって事だ。
普通は、中々此処まで自分自身を練り上げれる物じゃないんだけど、崇秀は、それさえも平然とやってのける。
やっぱり、この人は、人としての器が違う。
いや、確か奈緒ネェも、そんな考え方だった様な気が……
「まぁそれにだな。俺の事は差し置いても、そう言うのって、コイツの交友関係を広げる糧にも成る訳だから、人との親密度を上げるのにも丁度良い機会にもなるんじゃねぇのか?だったら、それを邪魔しないのが俺の役目。だから俺に遠慮なんかせずデートぐらいならドンドンすればいいじゃねぇかよ。なんならオマエが、俺から眞子を奪ってくれても良いんだぜ」
「俺が、向井さんを、仲居間さんから奪うだって……」
「そうだ。それでこそ、オマエの眞子に対する気持ちが本物だって初めて言えるんじゃねぇの?憧れの眼差しだけで眞子を見てる様じゃ、話にもなんねぇぞ。んなもんは恋愛じゃねぇ。家でアイドル見ながらオナニーしてる奴等と同等だ」
「オッ、オナニーの話は、別としても。今の仲居間さんを越えるなんて、どう考えても不可能だろ」
「だ~~か~~~ら~~~~、なにも俺を越えなくても良いんだって。眞子に、オマエの本気と、それに伴う実績。若しくは、それに至るまでの過程を見せ付ければ、コイツの気持ちにだって多少は揺らぎが生じるかもしれないだろうに。そうなりゃ、可能性は、決して0とは言えない。そう言う相手との可能性を自分で引き出そうとするからこそ、恋愛ってもんなんじゃねぇのか?」
理屈自体は、本当にそうだとは思うんだけどね。
崇秀さんや。
その件について一言だけ言わせて貰っても良いですかね?
あのねぇ……そんな程度の事で、私の崇秀に対する気持ちが揺らぐかぁ!!
私は貴方しか愛したくないし、貴方しか愛せないの!!
それはもぉ、私がこの世に存在してからの不変の法則!!
だから、そこだけは、なにがあっても絶対に揺るがないもん!!
「けどなぁ」
「まぁ、そうやって、やる前から無理だとか思ってる奴には一生無理だろうけどな。……ただ言って置くぞ、俺も、オマエも、ただの人間だ。誰にだって、ある程度の限界はある。万能な化物なんて、この世には存在しないからな」
いや、あの……そこも1つだけ、どうしても言わして貰いたいんだけど。
君は、もぉ十分に万能な化物だよ。
そこだけは大きな勘違いだから、自覚しようね。
「いや、仲居間さん。そういうのって、産まれ持っての個人差が大きく影響すると思うんだけど」
「ねぇよ。んなもんは、基本的にはねぇ」
「えっ?」
「そんな風に個人差なんてもんを口にしてるから、眞子はオマエに魅力を感じないんだよ」
「なっ……」
「良いか森田?俺とオマエの差が出てるのは、個人差なんて物じゃなく、時間の使い方が圧倒的に違うのと、根本的なモノの考え方の違うだけに過ぎねぇ。そこが、大きく影響してるだけの話だ」
「時間と、考え方?」
「そうだ。俺は、世の中にあるモノ全てに対して大きく興味を持っている。だから、全てが遊び感覚でモノを見られる。故に、俺は退屈しないし、長時間集中も出来る。要するにだ。いつまでも遊んで居たいと言う子供の感覚で、全てに当たっているからこそ、時間も忘れて遊び続けちまう。これこそが、俺が常にトップギアで走れる要因。……オマエには、これが無い。だから、差が開いて行くだけのこった」
「そんな病気みたいな感覚には成れないって、嫌なものは嫌だろ」
「アホ臭ぇ。世の中に嫌なものなんか、なにもねぇつぅの。嫌いなものの、全てを理解出来れば面白くなる。オマエは、それを怠ってるに過ぎねぇんだよ」
うん、それはそうだね。
凄く頷ける話だ。
まぁ私の話は、崇秀の話ほど大きな話じゃないんだけど。
私自身、あれだけ嫌いだった勉強が少しづつ理解出来るようになって、今ではその勉強をするのが楽しくてしょうがない。
それ処か、もっと色々な事が知りたくなって、自ら勉強する様にもなった。
なので、結論だけを述べれば、確かに、この意見は正しい。
……でもねぇ。
人には、それぞれ得て不得手があるから、一概には言えないんだよね。
崇秀みたいに、なんにでも興味を持てる人間には、この辺の一般的な感覚は解らないかもしれないね。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
考え方の違いと、それに付随する時間の使い方。
これを理解してるか?していないか?で、人としての差は広がって行くものなんですね。
まぁ崇秀の場合、本作の序章の頃から、もう既に『この考えの元、時間を上手く使って来ました』ので、此処までの成功を収める事が出来たのですが。
こう言う考え方を持つのは、かなり難易度が高いのも事実。
現に学生気分(学生なんですが(笑))が抜けていない森田君にとっては、この崇秀の特殊な考えは理解出来ない物なのかもしれませんね。
だからと言って、折角のこの機会です。
此処で森田君が、この崇秀の思考を理解する事が出来る様に成れば、彼も飛躍的に成長出来る可能性がある。
元々、頭の良い子ですしね♪
さてさて、そんな中。
果たして崇秀は、森田君を、そこに引き込む事が出来るのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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