1009 ままごとじゃない、本当の意味での恋愛の仕方とは?
眞子に惚れて告白までした森田君。
そんな彼を前にして、言葉で、結構、眞子に酷い扱いをする崇秀。
その真相は如何なるものなのか?
***
「嘘ばっかり。絶対に自分の元に戻って来るって確信が有るから、そんな事ばっかり言ってるんでしょ。……あぁそうですよ。なにが有っても、私は、崇秀の元に戻って来ますよ」
「いや、別に、そんな無理をする必要は無いんだぞ。オマエは自由にすれば良いんだからよ」
「あのねぇ。なんで、そう言う事ばっかり言うかなぁ?好きだって言ってくれたのに、その対応はないんじゃない?あれ、嘘なの?」
嘘って言ったら……この場で死んでやる。
いや、寧ろ、絶望のあまり勝手に死んでしまいます。
だから、そこだけは、なにがあっても、絶対に『嘘』って言わないで下さいね。
……ホントに死ぬよ。
眞子は死んじゃうよ。
「いや、嘘じゃねぇよ。オマエの事は世界で一番好きだが。なんで、そんな当たり前の事をワザワザ聞くんだよ?意味がわかんねぇぞ」
はぁ~~~、良かったぁ。
此処が嘘じゃなかったので死なずに済んだぁ。
その『当たり前』って一言だけで十分に満足です。
それ以上は、なにも求め様がありませんしね。
でも……ちょっとぐらいは束縛して欲しいので、文句は一杯言います。
そんな相反する我儘な気持ちこそが、乙女心ってもんですから。
「だってさぁ。なんか扱いが悪くない?彼女だよ彼女」
「アホ。誰かの彼女になったら、他の友達と遊びに行っちゃイケねぇっての言うかよ?そんな訳の解らん理屈が通るか」
「どっちがさぁ?普通なら、ちょっとぐらい妬いてくれても良いんじゃないの?」
「ヤダね。オマエの前で、そんな醜態を晒す位なら、最初から付き合わねぇよ。大体なぁ。オマエがモテる事ぐらい、俺の中では既に想定済みなんだよ。なら、そこに嫉妬なんてチープな感情が生まれる訳ねぇじゃん」
「そうだけどさぁ……」
「それにな。俺は、モテない女を自分の彼女にした憶えは無い。だからオマエは、俺の事なんぞ気にせずにドンドンモテろ。そんで自分の価値を、もっともっと上げろ。俺は、オマエに、それを望んでる」
「なんて思想だ……」
最後に森田君の言った通り、ホント、この人って、頭おかしいよね。
普通さぁ、自分の彼女がモテるって解ってるなら、尚更嫉妬とか束縛しない?
なんなの?その訳の解らない思考?
「いや、まぁ、そうなのかも知れないけどさぁ。普通、それなら、もっと妬かない?」
「妬かない。妬く意味すら解らない」
「いや、仲居間さん。そこは普通妬くだろ」
「妬かねぇつぅの。……あのなぁ。良いか、馬鹿2匹共?嫉妬するってのは、自分がソイツより劣ってるから産まれてくる感情なんだよ。俺は、コイツに劣ってる所なんて、なに1つない。寧ろ、そんなドン臭い真似はしない。だから嫉妬の対象にはならない。わかったか?……以上だ」
あぁそう言う事かぁ。
……って事は、完全に見下されてるじゃん!!
……でも、これって現実的な話でも有るよね。
崇秀は学力・運動神経・知識・行動力・外見etc……なにをとっても、全てがパーフェクト。
その上で、もぉ数百億と言うお金を年間稼ぎだしてるんだから、私如きじゃ、なに1つとして勝てる要素が無い。
だから、もし仮に崇秀と別れちゃったら、一方的に損をするのは私の方だ。
だったら崇秀が、私に嫉妬する意味なんてなにもないか……
私、自分を過大評価して厚かましく考えてたのかも……
「あの……」
「だがな。未完成だからこそ、コイツには輝いてる部分が沢山ある。俺は、そこに惚れ込んだって話でも有るな」
「あっ……」
あぁ……
「それって、今後、向井さんが、仲居間さんを脅かす存在に成り得るって事か?」
「正解だ。コイツの隠されたポテンシャルは、俺なんかより、もっともっと上だ。だがな、如何せんコイツは異常に頭が悪い。自分の使い方ってもんを全くと言って言い程理解していない。だからこそ、ソイツを叩き込む為に、自分の彼女にしたって話だな」
「あの……それって、惰性ですかね?」
「アホかオマエは?なんで惰性で、女と付き合わなきゃならんのだ」
「でもさぁ。今の言い方じゃあねぇ。そう聞こえなくもないよ」
そうじゃない?
なんか惰性臭が、鼻に突くぐらいプンプンしてるよ。
「あのなぁ。今の処、オマエ以上に良い女を知らないから交際してんだよ」
「じゃあ、もっと良い人が崇秀の目の前に現れたら、どうするの?私はポイ捨てされちゃうの?」
「アホタレ。捨てられる以前の問題として、オマエが、常に俺の中での一番で有り続ければ言いだけじゃんかよ。まぁ、その為にも、精々俺を退屈させねぇこったな」
「あぁ、うん、……それはそうだね」
また奈緒ネェと一緒の発想だ。
ホント、この人達って、正真正銘の姉弟なんじゃないの?
それともなに?
出来る人間って言うのは、みんな、こう言う思考になるもんなのかな?
「そんで、俺が嫉妬する様な女に成ってみせろよ。って話だな。……あぁ因みにだがな。まだまだ嫉妬が出来るレベルじゃ無い。って話でも有るがな」
「でも、それってさぁ。……どんな高見に居る女よ?」
「まぁ、精々『世界一』って処じゃねぇの。その素質がある以上、最低限その程度にはなって貰わなきゃ困る。俺だって、自分の彼女を他人に自慢したいからな」
……だよね。
私の場合は、今の現状じゃあ一方的に自慢出来るだけの立場であって、崇秀に自慢して貰える様な事なんて、なにもないもんね。
変に満足してないで、もっと頑張んなきゃ本当にヤバイね。
「あの、仲居間さんさぁ。向井さんって、凄く良い子だと思うんだけど。その意見って贅沢過ぎるんじゃないか?」
「オイオイ、森田よぉ、頼むわ。……コイツは、そんな程度の女じゃねぇんだよ。今の眞子なんざ、自分の能力の1/10も使えちゃいねぇ。そんなもんで満足されてちゃあ困るの」
「けど、一生懸命努力してるじゃないか」
「足りねぇな。この程度の努力じゃ全く持って足りねぇ。今のペースで一生頑張っても、良い所『出来の良い優等生』止まりだ。その程度じゃ足元を掬われかねない。それじゃあ意味が無い。……まぁ、ソイツは、コイツが一番理解してると思うがな」
「あっ……」
……本当だね。
崇秀が付き合ってくれてるからって、何所かで安心してしまっていたのかなぁ。
……情け無いなぁ。
「でも、向井さんは女の子だよ。そんな無茶な事を要求するのは、少し酷なんじゃないか?」
「オイオイ、マジで森田よぉ。オマエって意外と頭悪いんだな」
「なにがだ?」
「良いか?世間が求める人間ってのは、男女に関わらず能力の高い人間を欲する。なのに女だからって甘やかしてどうすんだよ?それに、んな事した日にゃあ、コイツの才能を潰すだけのこった。能力の高さに、男女の差別なんて言葉は必要ねぇんだよ」
「だとしても。少しは認めてあげないと、気持ちが持たないじゃないか」
「なら、潰れちまえよ。それが、俺の彼女で居る条件なんだからよぉ。出来なきゃ、当然サヨナラだ」
「……ヤダよぉ」
頑張るから。
もっと頑張るから。
余所見なんかしないで……私だけを愛して。
「仲居間さん。そんなの恋愛じゃないじゃないか!!ただの押し付けじゃないか!!」
「オイオイ、なんだ、そりゃあ?俺だって、コイツが頑張ってる分、絶対に追い付けない様に加速してるんだぞ。俺も、コイツに捨てられるのはゴメンだからな」
そっか……
今の意見って、崇秀の一方的な意見に聞こえてたけど。
その実、追い駆けるより、追い付けない様に加速する方がズッと大変だ。
結局、崇秀は、こうやって加速を止めないからこそ、人としての魅力がドンドン上がって行く。
私は、なにを見ていたんだろう?
「じゃあ、仲居間さんも、向井さんを恐れてるって事か?」
「だ~~か~~~ら~~~~、最初っから、そう言ってるだろうに。こんなおっかない女、世界中を探しても早々には居ないぞ。そんな奴を自分の彼女に留める事は至難の業だ。だから、俺は努力をヤメねぇ。ズッとコイツと一緒に居たいから、加速し続けるだけのこった。コイツには、それだけの価値が有るんだよ」
「あっ……」
そんな風にも見てくれてたんだ。
うぅ……もぉなんで私って、こんなに鈍いんだろう。
いつもいつも、そう言う事に全く気付いてあげられないんだろうね。
結局、解った様な顔をしてても、崇秀の思考には、なにも追い付いてないじゃない……
馬鹿過ぎる。
「まぁ、兎に角だ。お互いが見栄も張れない様な男女関係なら、俺は、お断りな訳だ。それに、お互いを高め合えない様な糞みたいな関係にも興味はない。何故なら、それだと一緒に居る意味すらないからな。世間じゃ、自分の彼女や彼氏を『お飾り』だと勘違いしてる奴が多い様だが、そんな甘えるだけの関係は恋愛とは言わねぇの。……んなもんは、ただのジャレ合いだ」
「そんな風に考えれるものなのか?純粋に好き嫌いじゃダメだって言うのか?」
「いいや、そうは言わねぇよ。それは各々の持つ恋愛観ってもんが違うんだから、別に俺の意見を押し付ける気はねぇ。ただ俺は、そうだと思っているだけだ」
「けど、それを言われた女の子の方は堪ったもんじゃないよな」
「そうか?……なら、そいつは、俺の事をなにもわかってないだけなんじゃねぇの?上辺だけで付き合ってるから、そんな間の抜けた意見が出て来る。俺は元より、そう言う奴なんだがな」
そうだよね。
崇秀は、そう言う人間だよね。
向上心の塊で、なんにでも興味を持って、真っ直ぐに進んでいく。
解ってた筈なのに……
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
恋愛って『お飾りじゃない』んですよ。
いやまぁ勿論、相手に対して憧れや、尊敬の念を持ってても良いんですがね。
それを相手に感じる時点で『対等ではない』証拠にも成るので、本気で恋愛をし、長続きさせたいのであれば、お互いがそう言う感覚を持つぐらいに成らないといけなかったりするんですよ。
じゃないと……ホント長続きしないですからね(笑)
そんな恋愛の本質を教えたくて、森田君や眞子に、崇秀はこんな事を『ワザと』言ってた訳ですね。
さてさて、そんな中。
自分の置かれている立場を再確認出来た眞子なのですが、此処からはそれを踏まえた上で、どう言う反応を見せるのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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