1008 全部読まれちゃうのね……

 眞子に告白をした森田君。

されど眞子は、崇秀しか好きに成れない体質なので、即座に色んな詭弁を使って、森田君を友達の域に留めたのだが。

それじゃあ少し可哀想な気がしたので、軽い気持ちで『一緒に買い物に行ってみる』っと提案して、森田君が大喜びしたまでは良かったが……そこに崇秀が現れ(笑)


***


「おぅ。誰と一緒に居るのかと思ったら森田じゃんか。久しぶりだな」

「あっ、あれ?仲居間さん、おっ、俺の事なんか知ってたんだ」

「はぁ?なに言ってんだかな。自分のクラスメイト位、全員憶えてるつぅの。俺は、若年性アルツハイマーに罹った憶えはないぞ。……っで、んな事よりよぉ。なんの話してんだ?やけに楽しそうだったじゃないか」


うわ~~~っ……機嫌よく話掛けてくれてるだけに、言い難いなぁ。


実際は、そんな邪な気持ちなんて一切無いんだけどさぁ。


これを浮気って取られるのも嫌だしなぁ……



「いっ、いや、なっ、なんでもないんだよ、なんでも。たっ、大した話じゃないんだよ」

「あぁ、そうなんか?……いや、違うな。その焦り方。森田、オマエ、俺になんか隠してるだろ。なんか俺には言えない様な事を、眞子と約束したか?」


鋭いなぁ。

まるで日本刀の様な、切れ味抜群の推理だ。

森田君が、たった一言二言喋っただけで、その感情や言葉から何かを感じ。

ほぼ解答と言っても過言じゃない様な予想を導き出すだなんて……


まさに、思考の『妖刀・村正』ですね。



「えっ?えぇっと。いっ、いや、なっ、何も隠してないって」

「ふむ。心得た。……まぁその調子じゃ、精々眞子とのデートでも、約束にこじつけたって処だな。違うか、森田?」

「うぐっ!!」


あぁ……予想処か、完全に解答を導き出しちゃったよ。


でも、唯一その回答に間違いがあるとしたらね。


デートじゃないってば!!

ただの買い物だって買い物!!

一緒に買い物に行く約束をしただけの事なんだからね!!


そこだけは間違えないでよね!!



「ハハッ、どうやら、こりゃあビンゴだな」


ちょ……なんで、そんな風に笑ってるの?

買い物に行くだけとは言え、自分の彼女が、他の男と、どっか行くんだよ。

だったら、少しぐらい心配してくれても良くない?



「ビンゴじゃないから。……って言うかさぁ。なんか笑ってるけど、そんなんで良い訳?」

「んあ?なにがダメなんだよ?受験合格のご褒美デート位したって良いんじゃねぇの?減るもんじゃなし」

「なんで、そこまで解るのよ……」


このエスパーだけは……それとも君の前世は、シャーロック=ホームズかね?

若しくは明智小五郎か、ポアロか、金田一耕助、一、コナン君かね?


まぁその誰であっても、とんだ名探偵が神奈川県に潜んでたもんだよ。



「アホ臭ッ。んな簡単な事もわかんねぇのかよ、このボケナスだけは」

「そんなの、普通、わかんないって……」

「そっかぁ?順序立てて考えれば、意外と簡単に説明がつくぞ」

「どうやってよ?」

「ハァ~~~もぉ、イチイチ、面倒臭ぇ事を聞くなぁ。……良いか眞子?オマエと、森田が一緒に居て、共通の話題と言えば、まずは『勉強』しかねぇだろ。そんで、この時期で勉強の話題と言えば『受験』。……っで、受験の最中にある森田が浮かれてオマエと話していた。これ自体が『なにかしろのご褒美』があり、森田の浮かれ具合から言っても『デートでもするんじゃねぇのか?』って、単純な状況確認で推理ぐらい出来るだろうが。……こんなもん、小学校の低学年にでも出来る様な単純な推理だぞ。なにも大した事じゃないぞ」

「スーパー・コンピューターかアンタは……」


まぁねぇ。

確かに私の性格や、森田君の性格を知っていれば、全く導き出せない解答とは言わないけどさぁ。


普通、そんな事が瞬時に解るぅ?

私個人としては『彼氏に何事なのかとか問い質されてみたかった』なんて、アホな願望があったりしたのに。


まぁけど、推理が合っていたので、そこは諦めましょう。



「んな訳ねぇだろ。京の計算なんて瞬時に出来ねぇよ」

「ホントぉ?23471829451625128+14536132126934831=」

「38007961578559959じゃねぇか」

「出来てるじゃん!!」


ほらね。

今、序に京の計算とか言い出したから、ウッチーのお父さんに言った事を証明してみようと思って計算問題を出したら、即座にこれですよ。


私の計算能力なんて、所詮こんなもん。

化物達にとっちゃあ、こんなものは、所詮デフォルト中のデフォルトでしかないんですよ。



「いや、まぁ、足し算ぐらいならな。普通、出来て当たり前だろうに。現に、オマエも出来てるじゃん」

「あぁ、いや、まぁ、私は計算が得意だからね」

「だろ。じゃあオマエが出来るんなら、こんなもんは普通の域だ。……っで、んな事よりだな。デートの概要は、どうなってるんだよ?」

「だから、デートじゃないからね。一緒に買い物に行くだけだから」

「人、それをデートと言う」

「あのねぇ。なんで、そんなにデートにこじつけたがる訳?……あり?ひょっとして、妬いてくれてるとか?」


いやはや、いやはや、まさか、そんな心理とかになってるとか?


だったら、超嬉しいんだけど♪


可愛い♪

もっと私に嫉妬しておくれ♪


ワクワク(*´▽`*)



「いや、それに関しては、全くと言って良いほど妬いてないな。元より、俺が妬く必要なんか、なにもねぇじゃんかよ」


Σ(゚д゚lll)ガーン!!


なんでさぁ?


ちょっとぐらい妬けっての。

そんな期待ハズレな事を言うんじゃ有りませんよ!!


もっと私と言う彼女を喜ばそうよ。

……って言うか。

ちょっとでも良いから、こんな可愛い彼女なんだから嫉妬して下さいよぉ。

自称ではありますが、此処までの美少女なんて早々にはいませんよ。


まぁ、その見た目だけで、中味は半腐れですけど……



「なんでよぉ?妬いてくれたって良いじゃないのさぁ」

「あのなぁ眞子。大体にしてオマエが、その程度のデートで揺らぐ様な女か?それに友達とデート位したって、別に良いじゃんかよ。俺は、オマエを束縛する気なんぞ更々ねぇぞ」

「ぶぅ!!じゃあ、これは浮気とみなさないって事?」

「当然。俺は、どこまでもオマエの自由意志を尊重する。それになにより、そうやって人付き合いが出来ない様じゃ、オマエの存在意義が0になっちまうからな。オマエは、もっと多くの人間と友好関係を構築すべきだ。誰彼構わず、ドンドン付き合って良いぞ」


言ってる意味は重々に理解出来るんだけど、なんか納得出来無い解答だなぁ。


これじゃあ、まるでさぁ。

崇秀の居ない時間は、異性関係ですら好き勝手しろって言われてるみたいじゃん。


お願いだから、ちょっとぐらい束縛して下さいな。


自由なのは良いけどね、自由過ぎるのは悲しいですよ。



「なぁ、仲居間さん」

「んあ?」

「それってさぁ。絶対に向井さんが、自分の元に戻って来るって自信から来る意見か?」

「いんや。別に、眞子が他に好きな男が出来たら、そいつの所に行けば良いじゃんかよ。それが恋愛の妙って奴だからな」


酷い……この意見だけは余りにも酷い!!

嫉妬や束縛しないどころか、他の男に行っても良いなんて言葉を軽々しく言わないでよ。

それじゃあ、なんか『オマエなんか、どうでも良い』『そこまで興味はない』って言われてるみたいな気分に成っちゃうじゃん。


私は、こんなに崇秀の事が好きなのに、そんな言い方ってないよ。


人を、そんな尻軽女みたいに言わないで欲しいんだけど。


……でもねぇ。

この発想って、奈緒ネェにソックリなんだよね。

結局の所『自分から奪えるもんなら奪ってみろ』って事でしょ。


けど、そんなの無理に決まってるじゃん。


だったら、森田君に、変な期待を持たさない方が良いと思うだけど。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


はい、崇秀には、一発で現状を把握されちゃいましたね(笑)

しかもその後の解答も嫉妬も束縛もしないと言う非情な回答で、眞子を絶望に追い込んだのですが。


この意見を裏返して考えてみれば、眞子に対する絶大な信頼があるからこそ『嫉妬も束縛もする必要がない』って意見に置き換える事が出来るんですね。


ですから、意地悪をしたくて、こんな事を言ってる訳ではないのですよ。


まぁ、崇秀だけに、からかってはいるでしょうけどね(笑)


さてさて、そんな中にあって。

崇秀は、奈緒さんとよく似た思考で『眞子がそんなに好きなら、自分から奪ってみろ』っと言い出したのですが。

そろそろ、この崇秀と奈緒さんの特殊な思考の解説もして行きたいと思いますので。

次回はその辺を書いて行こうと思います。


なので興味がございましたら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

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