1007 詭弁とは?
ウッチーの家を後にし、森田君との帰り道。
突然、なにを思ったのか、受験とは全く関係ない「告白」を眞子にして来た森田君だったが……眞子は。
***
「じゃあさぁ。1つ聞くけどね。私の見た目がブスでも、今と同じ事を言える?それでも、好きだって断言出来る?」
「当然だよ。それを言えないで、どうするんだよ。向井さんの見た目だけで、こんな事を言ってるんじゃないんだからさぁ」
「じゃあ、その時点で話にならないよね」
「えっ?ちょっ!!なんでだ?見た目なんか関係ないって言ってるんだけど。それの、なにが気に喰わないって言うんだ?」
「気に喰わないって言うかさぁ。……だって、見た目が違う時点で、今の私の全部が好きな訳じゃないんでしょ?じゃあ、その時点でOUTじゃない?崇秀は、この見た目を含めて、私の事を全部が好きだって言ってくれたよ」
詭弁なんだけどね。
どうせ、なにを言われても無理だから、理不尽な事や、不条理な事を言って諦めて貰おうって腹なんだよね。
私は、今の自分の全てを好きでいて欲しいしね。
だから、これ自体も全く嘘を言ってる訳では無い……っと思うよ。
「でも、そう質問してきたのって、向井さんじゃないか」
「そうだね。そう言う質問をしたのは、確かに私だね。でも最初に言った筈だよ。崇秀は『私の事』を世界一大切にしてくれるって、見た目が違う時点で私じゃないじゃん。それって、他の人でも良いって事じゃないの?」
「そっ、そんなの思いっ切り詭弁だよ」
「そうかなぁ?私だって、崇秀の全てが好きだからこそ、好きになったんだよ。なにかが違ったら、それは既に崇秀じゃないじゃない。そんなのに興味は無いね」
「だったら、もし事故で、仲居間さんの見た目が変わっちまったら嫌いになるって事?」
「うぅん。事故で見た目が変わっても、崇秀は崇秀じゃない。現実にあった事故なんだから、それは受け入れるべき事なんじゃないの?だったら、そんな程度の事で嫌いになる訳が無い。……って言うか。本人が、そうなったんだから本人じゃん」
そりゃあね。
見た目が良い方が、絶対的に良いですよ。
でも、事実は、そんな事はどうだって良い。
崇秀が崇秀でさえあれば、私にとっては『好きの対象』でしかない。
森田君の言ってる事自体は、良く似てるかも知れないけど、実の所、ニュアンスが全然違うんだよね。
難しいかな?
「だったら、俺の言ってる事と同じじゃないか」
「全然違うよ。私が、森田君に対していた質問は『ブスで、私と同じ性格の子』所謂『別人』。それに対して、森田君が私に聞いた質問は『崇秀が怪我して見た目が変わった場合』の話。これは所謂『本人』……全然違わない?」
「詭弁だよ」
「まぁ、詭弁に聞こえるなら、森田君にとっては詭弁なんだろうね。でも、私にとっては詭弁じゃない訳だから。その時点で、森田君が私の事を理解してない証拠なんじゃないの?私は、そう言う生き物なんだけどね」
早い話ですね。
『諦めれ』
なにが有っても、私が他所を向く事なんてないからさ。
こんなのは、人生の帰って来ないロスタイムですよ。
……まぁそれ以前にですね。
なんと言いましょうかね。
こう言う言い方をしちゃあなんなんですがね。
上辺だけを見た、子供染みた恋愛には、今更興味はないんですよ。
大体にしてですね。
私の頭が、おかしい事にすら気付いてない様じゃ、全く持って話にもなりませんよ。
そんな理解力じゃ、取り扱い出来無いって……
「だったら、最初から、そう言ってくれれば良いじゃないか。話にもならないってね」
「あぁ、うん。じゃあ、話にもならない」
「そんなストレートに……」
「いやいや、自分が言えって言ったんじゃない。……って言うかね。結構、早い段階から可能性が0だってハッキリ言ってた筈だし。話にならないって言った筈なんだけどなぁ」
「そうだけどさぁ。……そんなに簡単に諦めたら、告白したのに『なにコイツ?』って感じじゃないか?」
「まぁねぇ。でも、あれだよ。恋人としては論外だけど。森田君とは、友達では有り続けたい思ってるよ」
こう言うのって、都合が良いだけですかね?
……って言うか。
最初から、そう言う風にしか見れないんだけどね。
まぁ結局の所ですね。
好きだって言ってくれた気持ちは、非常に嬉しいんですけども、なにかに付けて崇秀と比べちゃうから、絶対に恋愛対象としては見れないんだよね。
その辺を御理解下さいませませ。
「なんか、上手い事、言われてる気がするなぁ」
「あぁ、うん。そうだよ。上手い事、言ってるよ」
「だから、なにも、そんな正直に言わなくても……」
「ヤダよ。私、嘘を付くのは嫌だからね。嘘付くぐらいなら、本当の事を言って嫌われた方がマッシ。本当の友達って言うのは、そう言う風になって行くもんだと思うよ」
……っで、そう言う、本音で語り合える友達を求めております。
コチラも恋愛同様、上辺だけの遊び友達なんて要りませんから。
「なぁ、向井さん。それって、俺を本当の友達として見てくれてるって事?」
「うん、そうだね。私は、あの嫌な感じの私に、初めて声を掛けてくれた森田君とは、最初から本当の友達になれると思っていたよ。……でもね。まだお互いを良く知らないから、本当の友達って言うには、まだ程遠いと思う。……だからね。その辺については、ゆっくり育てて行きたいとは思うね」
これ、本心ね本心。
だってさぁ。
森田君って影は薄いし、まだまだ子供っぽい性格だけど、基本的に勉強が好きな上に頭も良いじゃん。
だったら、勉強の部分で、お互いを高め合える友達に成れる可能性は高い。
故に、彼を友達にしない理由なんて、何所にもない。
それになによりね。
あの酷い性悪の『意地悪眞子』に声を掛けるなんて、相当な勇気だよ。
そこをクリアしてくれだけでも、十分に友達になりたい理由になると思うんだけどね。
一番大切なのは『心』だからね。
……オマエが言うなって?
確かにね。
「向井さんって、ズルイね」
「うん、ズルイし、強欲な人間だよ。自分が欲するものは、梃子でも手に入れる主義。そう言う快楽主義者ですから」
「だから、自分で言うかなぁ。……女の子って、普通、そう言う事を言わないんじゃないの?」
「そうだね。普通は、自分を良く見て欲しいし、見栄を張りたいから、そんな事は口が裂けても言わないだろうね。でも、そんな無駄な虚栄心があるからこそ、男女の友情って言うのが成立し難いんじゃないのかな?とも思うの。男女の思考の違いは、それ程までに差があるからね。……でも、私は、そんなツマラナイ見栄を張って損をしたくないから、全部、本心でぶつかって行くだけ。それでダメになるなら、諦めるしかないけどね」
「サッパリしてるなぁ。まるで男の思考みたいだ」
「ふふっ、それ、よく言われるんだよね。でもでも、そう言う女の子が居ても良くない?結構、男子が理想に思う女友達だと思うんだけど」
違うかい?
私は、そうだと思うんだけどなぁ。
それとも、こんな時限爆弾女じゃ理想に程遠く、ダメですかね?
「まぁ確かに、向井さんみたいな子は、女子としては珍しいよね。それに異性を余り感じさせないのに、それでいて深く異性を感じさせる。なんとも言えない魅力を感じるんだよなぁ」
「それってさぁ……褒めてる?なんか微妙じゃない?」
「全然、微妙じゃないって。100%褒めてるよ」
「そっか。そうなんだ。じゃあ、みんなの受験が一段落付いたら、一緒に買い物でも行ってみる?……勿論、友達としてだけど」
これは……決して浮気じゃないよ。
ただ単に、友達と買い物行く約束をしようとしてるだけだもん。
だから浮気じゃない。
それにさぁ、それ位しても罰は当たんないと思うんだよね。
だって『クラスメイト全員志望校一発合格を手伝って貰う』んだから、なにかメリットが無いと、目標に向う張り合いってものが無いでしょ。
まぁ私なんかに、そこまでの大きな価値が有るかどうかは、実際わかんないけど、此処は女の武器を最大限に使わせて貰う。
「ヤッ、ヤッタァ!!マジで!!行く行く!!絶対に行く!!おっ、俺、全部奢るからさぁ。向井さんの行きたい所なら、何所へでも連れて行ってあげるよ!!」
あの……たかが買い物で、そんなに喰い付かなくても……
それに奢るもなにも、ただの買い物だからね買い物。
デートじゃないからね。
奢らなくても良いんだよ。
「なんだよ?面白そうな話してるな」
ブッ!!
「たっ、たっ、たっ、崇秀!!」
「なっ、仲居間さん」
うわ~~~っ、グツ悪いなぁ……
なんで、こう言う話をしてる時に限って、崇秀に逢うかなぁ……
……ってか、此処、崇秀の店の近くの駅前か。
そりゃあ、こんな所で話し込んでたら逢う可能性は高いわな。
(;´д`)トホホ、やっちゃったよ。
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【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>
眞子に告白した森田君でしたが、眞子の頭がおかしい事にすら気付いていない様では、とてもとても、この子を扱う事なんて出来ません(笑)
それ故に、諦めさせる為に、色んな詭弁を放って、漸く友達に落ち着こうとしていたのですが、そこに崇秀が……
果たして、此処からどの様な展開を迎えるのか?
そして、受験とは関係ないまま話は進んで敷くのか?
次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
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