1002 学歴と言う名のブランド

 志望校に対して唯一C判定だったウッチー。

そんな彼女の成績を上げるには、家族の協力も必要。

それに賛同して貰い、家族一丸となってウッチーの受験勉強に向かうのだが……


何故か父親は、そんな勉強方法を教える眞子のテスト用紙を見て。


***


「君は……確か、さっき挨拶をしてくれた向井さんだったね」

「あぁ、はい」

「この問題の出来栄えから言って、君が、友達の世話を焼いて居ると言う噂は、どうやら本当らしいな。それに、必要以上に人の受験を重視している様だが。自分の受験は大丈夫なのか?」


あぁ……そう言う事かぁ。

なにをジッと見てるのかと思ったら、そう言う理由だったんだね。

それなら疑問に思うのも、おかしくはないね。

確かにウッチーのお父さんの言う通り、この時期に、他人の受験を考える受験生なんて早々居ないもんね。


なんとも頷ける内容だ。



「あぁまぁ、恐らくではあるんですが、高校受験に関しては、なんの問題も無いと思いますよ」

「そうか。……だがそれは、少し自己の評価を過信しすぎて、高校受験を甘く見てるんじゃないか?受験は、そんなに単純な物でも無いぞ」

「あぁ、いえいえ。決して受験を甘く見てる訳じゃないんですよ。ただ、そんなに重くも考えていないのも事実ですね」

「何故だね?今の世の中には、学歴は必要だと思うが?」


むむむっ……少しなめた態度に見えたのかなぁ?

そう言うつもりは一切無いんだけ、なんだか表情が険しいなぁ。


ひょっとして怒ってます?



「あぁまぁ、そうですね。一般的に学歴は必要なブランドだとは思いますよ。ですが、そう思う反面、私にとって『学歴』は、そんなに必要な物でもないんですよ。それに時代の変化により『学歴』から、世間が欲しているのは『知識』の方に変わりつつありますからね」


微妙な話なんだけどね。

日本では学歴しか見ない馬鹿な企業が多いから、今の所、学歴が優先されてるけど。

此処最近の社会の動きでは『学歴』を見るにしても、ただ見るのではなく、此処も少々変化してきている。


例えばなんだけど『○○大学卒業』と言う最終学歴を持った2人が居たとしても『内部エレベーター』で上がってきた生徒と『外部から受験した生徒』では、既に大きな格差が出始めている。


何故、こんな事が起こっているのかと言えば『内部エレベーター』で上がった来た生徒は『会社では、あまり必要とされていない』と言う事実があるからなんだよね。


なら『何故、内部の学生は必要ないか?』っと言う疑問が湧くだろうけど。

これについては、実に簡単な話で、内部の人間は、比較的楽をする事を覚えてしまっているから、余り努力をしないと言う生徒が多く見受けられるが故に、こう言う見解が出て来てるのね。


この時点で、学歴なんて言う物が、如何にアヤフヤな物か証言されているのも同然。

なら、こんなものは、目安程度にはなっても、いつまでも基準にする馬鹿は居ない。


まぁそれ以前の問題として、私は、いつまでも日本に居る気なんてないし、それに人に使われる気もない。


だから、あんまり『学歴』なんて関係ないんだよね。



「やけに偏った考え方だな」

「ですね。その辺については自分でも重々承知しているのですが、私は学歴でしか物が見えない様な人間とは一緒に仕事をする気はありません。それ以前にですね。少し誤解されている様なので、言葉を添えさせて頂きますが。私は、自分の受験を見落とす様な真似をしてまで友達に尽くしてる訳でも有りませんよ。このテストを作ると言う作業の一番の理由は、自分の為なんですから」

「それは、どういう事だ?」

「復習ですよ」

「復習?」


解んないかなぁ?


問題を作るって事は、その問題の解答が解ってるって事なんだよね。

それをチェックし続ければ、自ずと、中学の勉強の復習になる。


……それで+α、みんなのテストが製作出来る。

これって所謂『一挙両得』な訳ですよ。


……あぁイケナイ。

これ、さっきも山西君の時に言ったね。


同じ事を心の中で言っちゃったよ(笑)



「そうですよ。このテスト作りをする事によってですね。私自身が、中学の勉強で、なにか見落としが無いかのチェックをしてるんです。だから、このテスト自体は、その副産物だと思って頂ければ結構ですよ。流石に、そこまでお人好しじゃないですから」

「ちょっと待て。そこまで高校受験に余裕が有るのか?」

「あぁまぁ、別に余裕って訳じゃないんですけど。常にやる事はやってから、先に進めてますんで、その辺の抜かりは無いですよ。……まぁそれで慌ててない分だけ、人よりかは少しだけ余裕が有ると言えば、余裕が有りますかね」


なんて、非常に単純な話なんですよ。


でも、多分、この意見は、子を持つ親には理解しては貰えない。

何故なら我々中学生と言う生き物は、基本的に勉強なんか大嫌いな生き物で、出来れば一分一秒でも多く友達と遊び呆けたいと思うのが常識とされているからだ。


それ故に、こう言う事をする奴って相当な変人だもん。


流石に、此処だけは自覚してるよ。


『崇秀病の患者』だってね。



「理屈は大したもんだが。それは事実なのか?」

「そうですねぇ。『事実です』とハッキリ言い切りたい所ではあるんですが。まぁ証拠がなにもありませんからね。此処で明確に証明する事は出来ませんね」

「じゃあ、仮にだが、そこに有るテストを一枚やって貰うって言うのは可能か?良かったら、それで君のその理論を証明して見せてはくれないか?」

「あぁ、全然良いですよ。どれにしますか?どれでも良いですよ」

「なら、これで」


ウッチーのお父さんは、何気に持っていた『数学』のプリントを私に渡してきた。


あれまぁ、また寄りにも拠って数学とは……



「あぁ、はい。じゃあ、やりますね」


そんな訳で、ウッチーパパに渡されたテストをして行く事に成ったんですけどね。


あれ?なんだろう、この視線は?

そう言えばさっきから、なんかウッチーのお父さん以外にも視線を感じるなぁ?

店の中に、数人のお客さんは居るけど……こんな風に店の中でテストをする私の姿を見ているのは誰ですか?


まぁ、良いっか。

一応はテスト中だし、取り敢えずはあまり気にしないでおこう。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


【後書き】

最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです<(_ _)>


まぁ、今回のお話、一概に言える訳ではないのですが。

実際、学歴ブランドなんて物は偏差値60以上の学校であっても、そこまでの価値はなく。

それこそ、有名一流大学と呼ばれる大学を卒業でもしてない限り、ほぼほぼ横一列の評価しかないんですね。


しかも、その一流大学を卒業した人であっても。

それまでに多くの時間を勉強に注いで来た為に、やや人間性に問題があったり、無駄にプライドが高くなり過ぎてて、社会に出たら使えない人も散見されるので、ぶっちゃけ、使い難い人材なので、逆に雇わない会社もあったりします。


まぁまぁ、そんな感じでございますので、所詮は学歴ブランドなんて物は、その程度の物でしかなく。

会社としては、クリエーティブな物の考え方を出来る『IQの高い人』『柔軟な思考を持つ人』を求める様になってきている現状だったりもします。


まぁ、旧態依然の採用方法しかとってない会社は、未だに学歴ブランドを謡ってるみたいですけどね(笑)


さてさて、そんな事情の中。

特に学歴を気にしてない眞子は、ウッチーパパに指示通りにテストをする訳なのですが。

その結果は、如何なるものになるのか?


そして眞子の感じた視線の正体とは一体、なんだったのか?


次回は、その辺を書いて行こうと思いますので。

良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る