第4話 サイザワさんはお楽しみ 2
アンソフィータでまさかイチローくんに再会するとは。世の中、何があるかわからないねぇ。
しかも、何、あのスキル。詳細がよくわからない。機能の名称は解っても、意味がわからない。支店長指名∶暖簾分け、なんだそれは。
まあいい、取り敢えず収納能力が、格段に優れているのがわかったから。召喚の陣を収納できそうだから、いいや。
お人好しは、変わっていなさそうだ。勇者をしばらく預ければ、同郷ということもあって、愛着がわくかもしれない。そうすれば、一緒に帰ろうと思って、こちらの思惑に乗ってくれるかもしれない。上手く騙されてくれるかも。
ちょっと、グネストフィーネへ。魔王君には、一応テネブリスの事は報告しておかないと。
「封印の指輪は」
「ごめんなさいね。邪神の書と一緒に崩れたの」
と言った時の彼の顔は、中々観物だった。でも、私になにか言うのは、君には無理よね。
テネブリスは、すでに処罰してある。ダリアもね。確かめる術は無い。使ってる配下は、私に心酔している者達だから、君には何も伝えない。
折角、王都までノンビリ行こうと思っていたのに。セッカチなヤツのせいで、ご破算になった。
しかも、結界を抜けられるとは、一体トランクルームとは、どんなスキルなんだろう。
再会した時、私の暴き見る眼でも詳細がよく判らなかったっけ。結界の中でも使える収納があったのか。今までのは封印できたのに。拙ったな。
ま、取り敢えず王都。ダチュラとユセンにも人を手配してある。現れれば、報告はあるだろう。
知られている転移のパターンは二つ。一つは魔道具を用いる事。でも、その魔道具はデカいし、沢山は運べない。だから、あのギルドの店は、まだわかる。相当スタイリッシュだけどね。でも、行き来する両方大きさは変わらない。
ただ、ダンジョンに行けるってのは、初めて聞いた。タロウくん絡みみたいだけど、今一つ要領を得ない。
機能にあった支店とかってやつ? とすると、支店を置くと移動できるか。そういえば、ダンジョンに、支店を設置しに行ったとかいう話を、ケンジがしていたわね。
楽しそうに話してたなあ。支店を設置するのに、本人が直接行かないといけないって言ってた。
ワザワザ設置しに行ったとか。そうすると、その場所に行ってセッティングというパターン、か。ふむ。
もう一つは、魔法かスキル。これは行ったことのある場所にマーキングしとけば、移動できる。
でも、彼等はそれを持ってはいないはず。
ということは、支店とかでその場に行って設置すると其処へ行けるというパターンかな。
それならば、行ったことのない場所、設置されていない場所には移動できない、はず。
魔法もスキルも、設定しなければならない。それを外れることはないと思うのだけれど、ねぇ。
セオリーからすれば、一度行った場所に出現する可能性が高い。マッサラな場所に行けるようだと、対応が難しいな。
最悪は、召喚の間に直接出て、サヨウナラのパターンだな。
でも、召喚されたばかりでなにかできるかな? 最初に彼を視た時、支店は無かった。支店が移動の基盤になっていると仮定すれば、召喚の間にいる時点ではマーキングは無理だろう。
でも、最悪の場合、彼らが直で召喚の間に行ってたらどうしようか。
呼び寄せるのではなく、何処か別の場所に行けるようになると、言ってたっけ。だから、彼らが移動したら、召喚の間を破壊してくれとタロウくんにはお願いされた。
なら、それを使ってここではないどこかへ、行ってみるのも一興か。
転移するために、使う
何度か実験して、で、行ってみるという手もあるかも。
ケンジやイサオが、彼らの世界には色々な武器があって、それで戦っていると話をしてたしな。それ対戦するのも悪くない。
彼が行方をくらました宿屋に着く。と言っても、遠目で観察出来る距離ではあるが。裏手の庭の隅、突然シロガネくんが出現した。
あら、間に合った ?
手に何かの魔力の塊のようなモノを感じて、焦点を合わせた。黒い円盤のようなものが、見える。
城門前の広場、その黒い円盤を置くと、タロウくんが現れた。
成程、あの円盤が、ミソか。あれを置いた場所が出入口か。
アレ、欲しいな。便利そう。事が済んだら、タロウくんを飼ってみてもいいかも。場合によっては、ね。あの、アシスタントっていうのは、いらないわね。裏をかかれそうで嫌。
タロウくんがいるということは、召喚の間にはまだたどり着けないということかな。此処から二人で、侵入を計るつもりかな。
では、少し突付いて見ますか。
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