応援コメント

第4話 孤児院 前編」への応援コメント

  •  企画主催者です。このたびは「私が読んで、サンプル1の感想を書いたり、反応をしたりするだけの企画(条件つき)」への参加、ありがとうございました。



    ③良かった点について
     ジャンルとしての異世界やチートが流行する中、世間に迎合せずに、己の描きたい世界観と正面から向き合う、という作者様のスタンスは、同じアマチュアとして、見習うべきところがあると感じられました。
     基本的なところでいえば、ウェブ小説にしばしば見られる、不自然な日本語が存在しなかった点も好印象です。概要で事前に述べられていたとおり、男性向け作品でありながら、ヒロインをセールスポイントにしていないという点も、脚色が見られなかったように思えます。
     序盤に戦闘シーンがあるなど、注目すべきポイントが、分かりやすく配されていた構造も素晴らしいです。
     今後、助けた少女が仲間になっていくのだと思いますが、そういった王道な展開も非常に好ましいでしょう。
     個人的には、物語の世界観が、シナリオに沿って少しずつ明かされていく、という形式が興味深く、御作のページをめくっていく原動力になりました。



    ②読書を断念する理由について
     さて、翻って読書を断念する理由についてですが、作者様が何をしたいのか、その意図をはかりかねたからというのが、一番の大きな理由になります。
     御作の内容はともかくとして、その構成と表現方法については、疑問を覚えずにはいられません。

     例えば、物語の構成では、助けた少女が孤児院を抜け出す、3・4話にかけてが挙げられます。これからアシュレイたちと、合流することになるのだと思われますが、1・2話という圧倒的な速さで、物語の導入を終わらせたにもかかわらず、なぜ長々と――既知のストーリーを――なぞったのか、その理由が分かりませんでした。一度、孤児院に預けた意味はなんだったのでしょうか? 貴重な序盤を潰してまで、このような構成にした意図が理解できません。同じ場面に帰結するのであれば、預ける意味がありません。最初から、少女をアシュレイたちが育てるほうが、よほど建設的です。
     なるほど、少女の逃走によって、物語の世界観が、読者に提示されるといったこともあるでしょう。しかし、おおまかの事情は、診療所に戻るまでの道程で済ましており、特段、目新しいものがあったとは思えません。
     時間を空けずに合流してしまうのであれば、そもそも預けない。ローレンスの後悔を描くなど、預ける必要があるのであれば、ローレンスが思い直すきっかけになる別のイベントを、ローレンス側に設けるのが普通ではないでしょうか。蛇足ですが、たまたま外に出たローレンスが、逃亡中の少女を見つけて後悔するというものは、ここではイベントに含みません。専門家であるローレンスにとっては、想像することが容易な状況のため、それを目のあたりにして悔やんだという展開では、ローレンスが愚かに見えるだけだからです。物語に、愚かな人間が登場することは仕方ありませんし、むしろモブまで賢かった場合には、私のほうがお手上げになりますが、メインキャラが早々に愚かに見えてしまっては、御作が目指しているはずの「なろう系との決別」が損なわれます。

     また、表現方法についても疑問を抱きます。
     細かく変化する視点を、空行の量によって表そうとする試み(そもそも、視認性のために空行を用いているにもかかわらず)や、時折、思い出したように現れる字下げも、なぜという疑問が浮かんでしまいます。
     枠外で行われる用語解説も、残念ですが、作者様の怠慢としか思えません。読者に対する備忘録として、別個に用意されているのであればともかく、説明の都合上、省略せざるをえなかった小道具などは、章末や巻末などに、一覧で載せておけばいいだけでしょう。1話あたりの分量が短いにもかかわらず、定期的に小道具の解説が入る手法に、疑問を抱きます。
     フレーバーテキストもおまけでしょう。作るのは楽しいでしょうし、それらが作者様のモチベーションに繋がっているのであれば、積極的に作るべきだと思いますが、あくまでも、それらはおまけです。物語の世界に慣れ親しんでいない読者に、進んで提示するようなものだとは、到底考えられません。

     もっとも、私が無知なだけで、同じような表現をしている著名な作家が、いるのかもしれません。しかし、私には、上述の理由を排してまで、作者様独自のルールとつきあって、御作を読み続けようという気が起きませんでした。

     重ねてになりますが、内容についてはノータッチです。いくつかの疑問はありましたが、とりたてて指摘するほど、大きなミスは――少なくとも私の読解力では――ありませんでしたので、悪しからず。

    作者からの返信

    細かい分析まで、ご丁寧にありがとうございます。
    弁解も無いわけではありませんが、それをここで述べたところで作品の質が上がるわけではないので控えます。
    ここで頂いた指摘をもとに、より多くの人の心を掴めるよう精進したいと思います。

    編集済