迷彩

ゆきのともしび

迷彩



この床の上で呼吸をし


10本の指で立っているが



わたしはこのほしの住民ではない




うまれたほしは どこか


地球のななめ横あたりにあって


なんらかの手ちがいで


この床のうえで 呼吸をしているのだ





このほしにたたずむときの


からだがこわばるようないわかんは


そのためであって



このほしのしくみや


せいたいのルールに


血液が反発するような感覚は



わたしのニューロンのせいではない




まいにちまいにち


パジャマから着替える瞬間に



みみのおくにあるねじを8回まわし



このほしのいきもののように


迷彩をする




無事にはだのいろと かおを


ぬりかえられたわたしは




しぶしぶ くつ をはき


いつもの耳栓をして





きょうもなかまを待ちわびている






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

迷彩 ゆきのともしび @yukinokodayo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ