第39話 温泉旅行
「いやぁ。空気が気持ちがいいですねぇ。」
「…そうですね。」
守護者のリーダーである南雲さんが代表するかのように言った。
現在、温泉地に6人で来ている。貰ったのは温泉宿泊券だったのだ。
だからこそ迷っていたというのに京子さんたらもう…。
神々のことを忘れないでよ…いいや、忘れてた私も悪いけども。
電車で調べてみたところ、どうやら混浴の露天風呂があるらしい。
露天風呂は好きだけど混浴かぁ…。
…何か間違いが起きないでしょうね。
めちゃくちゃフラグになる気がしたのであまり思わないことにした。
駅からバスで乗り継いでおよそ30分程。
お目当ての旅館に辿り着いた。
道中、5人がかなり目立っていたことをここに記しておく。
みんなイケメンだからね…しょうがないよね…。
私なんかモブ顔だもん。この5人に囲まれているといっそ消えたくなるよ。
「気分でも悪いんですか?酔い止めありますよ。」
西谷くんがそう言って酔い止めを渡してきた。
違う。
君達が目立っていたのが原因なんだということに気がついて欲しい。
私が顔色が良くないのだとしたらそれが原因だ。
「ありがとう。でも平気。酔ってるわけじゃないから。」
そう言って気持ちだけ頂くことにした。
西谷くんは「そうですか…」と何故かしょんぼりとした顔をしていた。
何かがっかりさせるようなことを私は言っただろうか。
今の会話でそれはないな。…多分、ない。
「きっと俺たちに囲まれて参ってるんだよ。」
東野くんが私の心を代弁してくれた。
その通りである。よってここからは別行動にしないか。
いや、しましょう。
「その通りなんでちょっと1人にさせて下さい…。」
先に旅館で受付を済ませて部屋に案内して貰った。
まさかの大部屋である。
1人になれないではないか。私は必要なものだけを持って外に出ることにした。
「紅葉さん!」
北山くんの声がしたが、無視させていただいた。
君のこと、まだ私は許してないからね?
足早に私はその場を去ることにした。
温泉地というだけあって、温泉街でもあるらしい。
冬が近いからなのか、湯気があちこちから見える。
こういうの見ると温泉に入りたくなるなぁ。
でも、混浴なんだよね…。そこが良くない点である。
なんで混浴の旅館にしたのかな京子さん。
魂胆はわかるけど、あからさま過ぎてどうしたらいいのか分からない。
やっぱり5人を旦那にしろということなのだろうか。
今はそのことを考えるのはよそう。飴が必要になってきてしまう。
せっかくの旅行なのだ。
楽しむことだけを考えよう。安全に楽しむことだけを考えよう。
そう思いながら温泉街を1人で満喫した。
とてもじゃないけどあの5人を連れて満喫なんかできやしないから1人にさせてくれて良かった。
京子さんに何かお土産を買わないと。
私はお土産探しに熱中した。
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