第4話 勘付き
あれから3ヶ月。夏も去り、ただ単に寒い季節が近づいてきた。
あの特訓を3ヶ月、月に2回やらしていたら段々とアメリアは以前とは違っていた。殺すときはただ息を飲み込み、縛られている人をいとも簡単に殺した。
ナイフでも、銃でも同じことだった。目は段々と虚になって行ってるのがわかる。どんどん自分と同じ人間になることなんだなと感じられる光景だった。
「最近、腕が上がっているねぇ」
エイデンは血まみれのナイフを洗いながらリビングで紅茶を飲んでいるアメリアに言った。
「そうでしょうか。私」
「あぁ。前まではすぐには殺さなかったが、今は武器が目の前にあれば瞬間的に殺すようになったじゃないか。いい成長だ。ここまで短い期間でやれるなんてね」
エイデンはアメリアを笑顔で褒めた。
「あの、エイデンさん。シャラって、この時期になると」
「冬眠のことだろ。ここの暖房がよく効いている。だからこの子はあまり眠らないんだ」
エイデンはお菓子を用意しながらアメリアに言った。
「あの、エイデンさん」
「ん? なんだい」
「……最近、同じバイト仲間に勘づかれているような感じなんです」
アメリアの言葉にエイデンはどうゆうことだと聞いた。
「実は、私いつも通り接待とかしている時、仲間の一人にエイデンさんって言う人と会ってから変わったねと言われたんです」
「ほぉ。その子は男かい、それとも女?」
エイデンの質問にアメリアは「男です」と言った。
「そうか。その男、どんなやつか写真は持っているかい?」
アメリアは自分のカバンの中からスマホを取り出し、エイデンに近寄ってみせた。
見てみると、背が高い茶ばつの髪の男性だった。
「こいつか」
「はい。名前は、アイソン・デイル。大学2年生です。この人が、なんだかつかかって来ています」
エイデンは写真を見ながらアイメアの説明を聞いた。
「ふぅん。いつも普通の顔をしているんだよね」
「はい。バレないようにちゃんとした顔をしているんですけど、私」
「いやいや。大丈夫。むしろ俺の方がヘマをしたかもしれない。何しろ、時々君の店に行っているもんだからね」
エイデンはアメリアの観察のために時々店に通っていたが、あれが仇となってへんに怪しまれる行動になるとは思いもしなかった。
「でも、ただ単に変わったねだけで言われるだけなんで、そのほかは何も言われていません」
アメリアはエイデンがこの人を殺すことを考えているものだと思ったのか、慌てながらも話した。
「あぁ。大丈夫だよ。今はね」
エイデンはにこやかに言うと、アメリアにソファを座らせた。
「別にいますぐ殺すとは考えていない。ただ、もし変に探れるような脳であれば、私にも考えはある」
エイデンは優しくアメリアの頬を撫でた。その表示にシャラがアイメアの体に巻き付いた。
「ッ!」
数回シャラや他の家族に会っても、まだ多少の怯えがあったが前よりもただ受け入れているのも感じられた。
「前よりもこの子達のことも受け入れてくれて嬉しいよ。この子達も喜んでくれている」
エイデンは側によってきたハイエナやライを優しく撫でた。
シャラがアイメアの頬まで顔を近づけると、チロチロと頬を長い舌で舐めた。
「うっ、くすぐったい」
「おや。首が弱いのかい?」
エイデンは首にそっと触れると、ビクッと震えた。
「あっ。そうだ。今度は苺のケーキを買ったんだ。どうだ。食べるか。さっき殺した後のデザートを食べていないからね」
エイデンはそう言うと、冷蔵庫から苺のケーキを取り出し、お皿に乗せてテーブルの上に置いた。
「さぁ、召し上がれ」
エイデンはそう言うと、アメリアはいただきますと言って食べ始めた。
「最近どうだ。体調は」
「そこそこです」
「そうか」
エイデンは質問を終えると、お互いに黙ったままケーキを食べ続けた。
食べ終えると、アメリアはご馳走様と言ってお皿を洗い場に出すと、なぜだか窓に近づいて外を眺めていた。
「どうした」
「……エイデンさん、あなた。海が好きではありませんよね」
「どうしてそう思うんだい」
「だって、殺した人たちの骨とか、そう言ったものを捨てるのに好都合だからここに住んでいるのではありませんか?」
アメリアの言葉に、まいったなと笑みを溢した。
「まさかそこまで成長を遂げているなんて、俺は嬉しいよ。もちろん、君の言うとおりだ。ここからすり潰した骨とかいつも捨てているからね。そうすれば綺麗さっぱり消える」
エイデンも窓に近づいて海を見つめた。
「……今頃、海にいる様々な生物と交わっていますね」
アメリアは窓の外を眺めながら言った。
「いいこと言うね。確かに、海にはたくさんの生き物がいる。それと交わって、新しく生きる。私にとってはいいことだと思うんだがな」
エイデンは窓を見ながらも、そろそろ帰ったほうがいいなと口にした。
「そうですね」
アメリアは支度をすると、エイデンはいつものように彼女を家の近くまで送った。
エイデンは帰りの運転をしていると、携帯が鳴った。なんだろうと思うと、女性秘書からだった。
携帯を取り、出てみた。
「もしもし」
「あっ。エイデン先生、お休み中すいません。実は今事務所に、女性がきているんですけど、知り合いですか?」
「ん? 依頼ではないのか?」
「いいえ。なんか、お礼がしたいとおっしゃってまして」
女性秘書のお礼という言葉に、あの人かと考えた。
「その人、大体なんだが四十代の女性の人じゃないのか?」
「えぇ。そうですよ。よく当たりましたね」
女性の秘書の言葉に、やはりとかと心の中で呟いた。
先日エイデンは家の帰りに何か困っている女性を見つけ、その人を家まで送り届けたことがあったことを思い出し、その人かと考えた。
「今ちょうど運転をしていたところだから今事務所に向かうよ」
「本当ですか! すいません。休み中に」
「いや、いいさ。じゃあ切るね」
エイデンはそういうと電話を切り、そのまま自分の事務所に向かった。
車をいつもの駐車場に停め、駆け足で建物内に入り、受付の女性にここに女性が来なかったかと質問をするとすぐに相談室の方にいると教えてくれた。お礼を言い、相談室に行くと一人の女性が座っていた。
「あっ。すいません。エイデンさん。お休みと聞いていたんですけど、来てくださりありがとうございます」
「いえいえ。むしろ、大丈夫でしたか。あのあと」
エイデンは助けた女性に優しく問いかけると、女性は「大丈夫でしたよ」と笑顔で答えてくれた。
「あなたの名前を聞いて、色々と調べたらこちらで働いていると見つけまして今日はこちらに。それからこれを」
女性はお菓子が入っているかのような箱を渡した。
「これチョコレートなんですけど、もし大丈夫なのでしたらどうか受け取ってください」
「えっ。これ、まぁまぁ高めのチョコレートですよね。こんなのいただいて大丈夫なんですか?」
「いえ。むしろ受け取ってください。もし、好きなのでしたら」
「もちろん大好きです! ありがたく受け取ります」
エイデンは笑顔にお礼を言い、お菓子の箱を受け取った。
「よろしければなんですが、何か悩み事はありますか? なんでも聞きますよ」
「悩みごとまで聞いてくれるんですか。それは嬉しいですけど、今のところ何もありません。もし何か悩み事とかあったらこちらによらさせていただきます」
「わかりました。私も今日は休みなので一緒に外に出ましょう」
エイデンはそういうと、女性秘書にこのまま帰ることを告げ、助けた女性と一緒に外に出るとお互いにお礼の言葉を言いつつ、大事に箱を持ちながら自分の車に向かった。
車の中に箱を置くと同時に後ろから刃物の感触がした。
「動くなよ。動くなら殺す」
後ろから男性の声を聞いたエイデンは「あぁ」と思いながらその人の言葉に従った。
「なんだい。君」
「黙れ。早く金をよこせ」
「わかったからそう焦らせるな。今、カバンの中から出すから。そう急かさせると動きが鈍くなるだろう。おまけに、警察にでもバレたら大変だからー」
エイデンはポケットの中に入れていたスタンガンをその男の首に二回当てた。
男性はその場に倒れると同時にエイデンは抱えながら扉を開けて車の中に倒れ込まさせると、ダッシュボードの方に入れていたガムテープを取り出し、腕と足に巻きつけた。
男にシートを被せ、誰もいないことを確認すると後ろの蓋を開けて、早々と男をボンネットの中に押し込んで閉じた。
車に乗り込み、警察のことも考えながら家の近くにある人気のない場所に向かった。
家の近くの廃墟に行くと、ダッシュボードを開けると男は目が冷めていたのか暴れていた。
「そう暴れるな。気が散る」
エイデンはそう言うと、ダッシュボードに入れておいた防災用のハンマーで男性の足に目掛けて下ろした。ボキッと音がした瞬間に男性が叫んだ。そのことにも気にせず、ダッシュボードを閉じると再び車に乗って走り出した。
家に着き、暴れる男を引きづりながら家に入った。
「みんな、ただいま」
エイデンは笑顔で言うと、男は目の前にいる家族を目にして驚愕の顔を見せた。
家族は引きずっている男を見た。
「あぁ、安心して。こいつは今からあそこに連れていく」
エイデンは引きづりながら地下室に行き、男を乱暴に放り投げた。
男はさっきの足が痛むのがガムテープ越しで叫んでいた。
ガムテープを取ると、男は険しい表情を見せながらエイデンを睨みつけて言葉を発した。
「テメェ! 一体、ツッ!」
後ろにある遺体に気がつくと、男は言葉を失った。
「いやぁ、まさかアメリアに殺しの練習をした後に獲物が来るとはな。これは、約2日分は大丈夫かな? 家族のご飯は」
エイデンは横にある刃物を眺めながら言った。すると、足元に感覚があり、なんだろうなと思うとシャラがいた。
「君がやりたいのかい?」
そう言うと、そうだと言うように頭をあげた。
「いいだろう。軽くやれ」
エイデンがそう言うと、シャラは猛スピードに男の体に巻きつくと、地下室にバキッと音が響きながらも男が叫んだ。
その様子をエイデンは見下ろしながら他の家族と一緒に見ていた。
「うんうん。いいな。少しだけ手間が省けそうだ」
そう呟きながらナイフを持ち、シャラに離れるようにいった。
すぐにエイデンの言葉にシャラは離れた。男は口から吐血をしていた。
「今日は、あの子を食べる予定だから君はまた明日だ」
そう言うと、ナイフを足に目掛けて振り下ろした。次々と細かく切っていく中でも男は叫び続け、おまけにエイデンに向かって盗みを働いてごめんなさいと謝罪の言葉をしていたが、そんなことはエイデンにとってお構なしだった。
徐々に切っていく中、彼は死んだのは体が動かなくなった。少しはうるさくはならなくなったなと思いながら作業を続けた。
細かく切り終え、それを綺麗なバケツの中に入れた、
そばにあるもう一体の遺体を外に出し、家族が食べられるようにするといいよと声をかけた。
すぐに家族はその遺体にかぶりついた。
エイデンは肉が入ったバケツを持って地下室を出た。
血まみれの顔をタオルで拭き、そのままキッチンの方に行くと棚の中にあるパックを取り出し、一個ずつ丁寧に入れて冷蔵庫の中に入れた。
「これでよし」
エイデンは一息つくと、風呂場に向かい、血まみれの全身を洗った。
血で汚れた服はすぐに燃やした。焦げ臭い匂いが充満し、窓を開けた。
用事を全て済ませたエイデンは先ほど貰ったチョコレートをひとかじりした。甘味が口の中に広がってくる。
(普通に上手いな。今度アメリアと一緒に食べよう)
エイデンはそう思うと、チョコレートを溶けないように冷蔵庫に入れた。
翌日、今日は朝から家庭裁判があり、朝から大忙しだった。
もちろん勝ったのはエイデンの方だった。全ての証拠を見せつけると変に言い返せなくなり、そのまま勝者となった。
相手の方から大いなるお礼の言葉を言われた後、そのまま事務所に帰った。
車を事務所近くの駐車場に停め、建物内に入ると女性秘書からお疲れ様でしたと言葉が聞こえた。
「あぁ。ありがとう」
「今回も圧勝だったんですよね。おめでとうございます!」
「いや、ただ奥さんが証拠を結構集めてくれたおかげさ」
エイデンはそう言いながら部屋に行き、カバンをデスクの横に置き、また他に予定がないかを手帳を再び見た。
13時に土地関係の相談を受けることが書いているため、エイデンはよしと言いながらその間に書類をまとめるために作業に取り掛かった。
作業をしていると、扉が叩かれる音が聞こえた。
「どうぞ」
エイデンは声をかけると、女性秘書が「裁判終わった後にすいません」と言いながら部屋に入ってきた。
「どうした」
「実は、エイデンさんに是非とも相談をしたいと言う方がいるんですけど、通してもいいでしょうか」
「わかった。相談室にの方に招いてくれたまえ。私は準備ができ次第にそっちに行く」
「わかりました」
女性秘書はそう言うと、部屋を出ていった。
エイデンは予定をよりも早く来たもんだなと、準備を一通り整えて相談室に向かった。
相談室に行くと、茶色い髪をした一人の男性が座っていた。その男性を見たエイデンはすぐに誰なのかを察してしまった。
(こいつ、アメリアのところで働いている男)
エイデンは目の前の男を見て確信した。
「あっ。始めまして。アイソン・デイルと申します」
「エイデンです。どうぞよろしくお願いします。そのまま椅子に座っていただいて大丈夫です」
エイデンはそう言いながらアイソンの目の前にいる席に座り、書類を置いた。
「あの、もう一人来る予定だったんですけど、ちょっと急用で来られなくなってしまったので録音しても大丈夫ですか?」
「えぇ。構いませんよ」
エイデンの言葉にアイソンはスマホを取り出し、録音機を再生し始めた。
「それでは、土地関係の相談ですよね」
「はい」
エイデンは土地関係の書類を見せながらアイソンに事細かくしながらもわかりやすく説明をした。質問にも丁寧に答えた。
エイデンはより多くの人の相談を伺わせるため、土地関係や相続や浮気といったものを専門的にしているためこう言った相談にはお手の者だった。
「この他に何か質問はありますか?」
「はい。大丈夫です」
「それはよかった」
アイソンは録画を止めると、あのと声を掛けてきた。
「ん? なんでしょうか」
「アメリアさんとはどう言った関係なんですか?」
アメリアの名前を口にしたアイソンにエイデンはなぜその質問だと思った。
「どう言った関係、まぁ簡単に言えば同じ会社で働いている人の娘さんで、困っていたものですから私が助けた、なんていうか彼女にとっては簡単に恩人と言ったほうが簡単ですかね」
エイデンは書類をまとめて言った。
「そうですか。すいません、変に質問をしてしまって」
「いえ、ちなみになぜ質問を」
エイデンは思わず気になって質問をした。
「あぁ、いえ、特には。それでは失礼します」
アイソンはそう言うと、早々と相談室を出ていった。エイデンは少し違和感を感じた。
(あの男、何か勘づいているのか)
エイデンは襟元を直すと、荷物をまとめて部屋に戻った。
数日後、また再び訓練の日になり、エイデンはアメリアをいつものように人気のない場所に待ち合わせをし、自分の家に向かった。
家に送りながら、エイデンは「今日は2人を殺すからね」と一言言った。
「えっ。2人ですか」
「あぁ、同時にね」
エイデンは優しく言うと、アメリアは「わかりました」と言った。
その様子に、エイデンは段々と自分と同じになっていくことを感じていた。前なら抵抗があったはずが今は素直に受け入れている。
そんなことを感じていると、家に着いた。
家の中に入り、エイデンは自分の寝室にある服に着替えてくるように言った。
アメリアは「わかりました」と一言言うとそのまま部屋に行った。エイデンは廊下で待っていると用意した黒のパーカーと短パンに着替えているアイメアの姿があった。
「あの、今日はこれで大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。さぁ、行こう」
エイデンはアメリアの腰に手を置くと、そのまま地下室に向かった。
地下室に行くと、男女が縛られながら横たわっていた。
「今日は、どれを」
「あぁ、その土台の上にある奴で好きなのを一個ずつ使ってくれたまえ。それから、好きな順に殺していいよ」
エイデンは土台を指差して言った。
土台の上にはナイフ、銃、包丁が様々置かれていた。
アメリアは唾を飲み込むと、銃を手に取った。
そしてそっと、目の前に倒れている人に近寄った。
ガムテで口封じをされている男女は叫びながら体を暴れさせていたが、アメリアは虚な目を2人に向けながら近寄り、持っていた銃を男に向けた。
息を整え、ゆっくりと指を引き金の方に入れて曲げた。
地下室に銃の音が響き渡り、横たわっていた女性の顔には少々だが血が着いた。
「うんうん。上出来上出来! さぁ、次は何で殺す」
エイデンはその光景にワクワクしながら見ていると、アメリアは唾を飲み込むと銃を土台の上に戻し、そばにあったナイフを持った。
ナイフを強く握り、暴れている女の首元にナイフを置いてそのまま引き裂いた。血がアメリアの顔に飛び散った。
エイデンはその光景に歓喜の声を上げた。
「素晴らしいよアメリア! 前よりもそのまた前よりもはるかに超えている。あぁ、女性の血で汚れている君も素敵だ」
エイデンはそう言いながらアメリアを後ろから優しく抱きしめた。
「ありが、とう、ございます」
「いやぁ、素晴らしい」
エイデンはそう言いながら男と女から流れている血を自分の指につけると、アメリアに差し出した。
「さぁ、舐めて」
エイデンはそう言うと、アメリアは言われるがままに指を舐めた。前までは抵抗をしていたが、何回かするうちにこれも慣れてしまったんだなとエイデンは思った。
よく味わえるようにエイデンは舌に合わせて指を動かした。ひとしきり舐めたことを感じると、指を離した。
アメリアはじっくりと味わった後、静かに飲み込んだ。
「じゃあ片付けをしよう」
エイデンの言葉にアメリアは静かに頷いた。
死体を全て片付け、アメリアは片付け終えると風呂場に向かった。
エイデンは数日まに貰ったチョコレートと紅茶を用意した。
「お待たせしました」
振り返るとアメリアが虚な目をしながら立っていた。
「あぁ、おかえり。じゃあいつものようにソファに座ってくれたまえ」
エイデンの言葉にアイメアは「はい」と返事をして、静かにソファに座ると家族が近づいた。
アメリアは家族をいつものように優しく撫でた。
エイデンはその光景を見ながらもチョコレートと紅茶を目の前に出した。
すると、アメリアアはチョコレートを見た。
「あれ、チョコート。まぁまぁ高級な奴ですよね」
「あぁ、よくわかったね。実はこの前ある人がくれたんだよ。それで一緒に食べようと思ってね」
エイデンはそう言いながら自分のお皿に入れているチョコレートをひとかじりした。
アメリアもチョコートをひとかじりすると美味しいと口に出して言った。
「そうだろ。この紅茶と中々合うんだよ」
エイデンはそう言うと、チョコレートを食べてから紅茶を飲んだ。
すると、アメリアは「あの」と一言言った。
「なんだい」
「私、告白されました」
アメリアの言葉にエイデンは紅茶を飲む手が止まった。
「誰にだ」
エイデンの低い声に少し肩を震わせながらもアメリアは「アイソン」と口にした。
アイソン、数日前に相談しにきた人物。そして、何か勘づいているような男性。
そいつがアメリアに告白をしたってことは、相談きた時の反応はそれかと確信に変わった。
「あいつか」
「でも、私、断りました。流石に、私は」
「人を殺した。そして、私と同じ人ってことを確信して言っているのかな?」
エイデンの発言にアメリアは唇を噛み締めた。
「でも、まいったな。まさかそこまでとは」
「お願いします! 彼には告白をされただけでそのほかは何も。だから、殺さないでください!」
アメリアは少し焦りの表情を見せながら必死に訴えた。
エイデンはアメリアを優しく抱きしめた。
「もちろん君の言うとおりにしよう。だが、何かあったなら言いなさい。その時は私の考えも少々変わっている頃だろうからね」
頭を優しく撫でながらエイデンは言った。アメリアはただ撫でられているだけだった。
エイデンは優しく撫でながらも、恐ろしい表情をしていたのだった。
(アイソン、私に接近をしたのはまさかあの確認だったとはな。これは少し、彼を調べる必要性がありそうだ)
エイデンは心の中で今度調べてみるかと考えた。
いつものようにお菓子を食べ終えるとアメリアを家の近くまで送り、帰り間際に猫カフェ近くに車を停めて、店舗内が見える場所に停めた。
見てみると、そこにはアニソンが働いていた。笑顔でお客とお話しをしたり、接待や猫のお世話をしていた。
どのように個人情報を入手するか、そのことを考えているとそうだと思いながらアメリアに連絡をした。
電話をすると、すぐに出てくれた。
「はい」
「あぁ、アメリア。突然の連絡ですまないが、できればなんだか彼の個人情報を事務所から盗むことはできるか?」
「えっ。盗む? どうしてですか?」
「それは後ほど説明しよう。ちなみになんだが、盗むことは可能か?」
エイデンは店を見ながらアメリアに質問をした。
「盗むことは、可能ですが、もしもの場合のためにメモとか、あとは写真とかでいいですか? 店長にばれたら」
「あぁ、それで大丈夫だ。頼んだ」
エイデンはそう言うと電話を切った。
エイデンは首を鳴らすと、早々とその場を去った。
家に着き、家族に挨拶をしながらソファに座り込み、ポケットからタバコを取り出し、火を付けて煙を吸った。
口から煙が出ると、そのまま天井に付いて消えた。
すると、昔のことが再び思い出された。それはもぉ、忘れていた記憶だった。
まだ若い頃、いつものように相談相手をしたり、裁判などをしていく中で掲示板で釣れた人間を拷問をしてから、使い物になれなくなった時点で殺した行動を続けていく中で一人の記者が勘づいたかのように尾行をしていた。
すぐにそいつの住所を特定し、先に家に行くと家族がいた。
怯えている女性と子供。だがエイデンにとってはどうでもいいことだった。いようがいないが同じこと。それなら早めに殺してしまおうと考え、持っていたナイフで目の前にいる家族を殺した。
血まみれで痙攣をしている姿を眺めていると、その記者が家の中に入る音が聞こえた。
すぐに身を隠すと、その記者の悲痛の叫び声が聞こえた。叫びながら我が子と妻を抱きしめる姿。
その姿を背後から眺めながらも、エイデンは後ろから睡眠薬を仕込ませた布を口に押し当てた。
妻と子供の遺体はそのままにし、男だけを車の中に入れ、自分の家まで急いだ。
まだ気絶をしている記者を起こすと、エイデンは娘の形見らしきものを見せた。それを見た記者はエイデンが殺したことを確信すると怒り叫んだ。
その行動にエイデンはため息を付いた。
「あんたが俺を探ろうとしたのが悪い。そうでなければ、自分の家族がこんなことにはならなかっただろうからな」
エイデンは見下ろしながら言うと、記者はそのまま黙り込んでしまった。
家族に殺すことを命じると、叫び声が地下室に響いた。
噛みつかれ、引きちぎられる姿をエイデンは見続けていた。
死んだことを確認し、残したものを細かく刻んで冷蔵庫に入れた。これは自分専用の船で遠くに捨てるものとしようと考えながら証拠隠滅をした。
その翌日、あの奥さんと子供が自宅で何者かに殺害をされたと報道された。そして、旦那の記者がいないことから殺害をした可能性が高いという警察の考えも報道された。
(だが、世間の目としてはそんなことはどうでも良かったのか、すぐに忘れさられたな)
エイデンはタバコを吸いながら思った。あの報道は約一ヶ月でパタリと報道はされなくなった。今頃あの記者の残骸は海のサメの腹の中にいるだろうと思いながらタバコを吸い終え、揉み消した。
(まさか過去と少しだけ似たやつがいるとはな)
エイデンはそう思っていると、もう一台のスマホが鳴った。なんだろうと思うとアメリアからだった。
見てみると、アイソンの個人情報を入手できたと言うことだった。すぐにロックを解除し、見てみることにした。
住所と行っている大学を見てみると、住所はテキサツ大学ルークの近くだった。
(あそこの大学か。これで様子とか見たくなったらいつでもできるな)
エイデンはお礼のメールを送り、そのまま電源を落とした。
翌日の朝、普通に起きて、支度をして、天気を確認をすると家族に挨拶をして扉を頑丈に閉めた。
向かう途中にコーヒーを買い、事務所に向かった。
車を駐車場に停め、コーヒーをこぼれないように持ったまま部屋に向かった。
受付の人や仲間に挨拶をし、部屋に向かった。
椅子に座り、カバンの中に入っている書類を取り出して机の上に置いた。今日の予定を確認し、二つだけ相談があることを確認するとその間まで書類をまとめた。
一つ目の予定を終え、昼食をしているともう一台のスマホが鳴った。
なんだろうと見てみると、アメリアからだった。すぐにエイデンは昼食を食べるのをやめて内容をみた。
”やっぱり、アイソンは何か探っています。この前、ちらっと見たのですがエイデンさんのことを調べていました。”
エイデンはその内容に、やはりかと口にしたのだった。
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